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2012年01月24日

本の雑誌2012年1月号「特集=本の雑誌が選ぶ2011年度ベスト10」

 昨年末は「本の雑誌」特集号が待ちきれなくて「ダ・ヴィンチ」を買ってしまった。その後、本誌も買ったので、いわゆる年末のランキング本を2冊も買ってしまったことになる。僕はそれほど熱心にランキング本を購入する方ではないと思う。それほど信用がおけるものでないと知っているからだ。

 ミステリーのランキング本はいろいろと出ているが、結構ベスト10の内容が違っている。順位が違うくらいならまだしも、ある本の1位が別の本のベスト10に入ってないということもある。絶対的な尺度というものはないだろうが、「誰が読んでも面白い」という点にこだわれば、それなりに似よったランキングになるのではないだろうか。ならば、そうならないのには編集部の方針というものが違っているのだろう。そうすると、どれがいいか選択すべき読者の方が戸惑ってしまう。

 「本格ミステリー」だけに特化したランキング本もある。そう名乗っているだけ方針が明確で、買う方もありがたい。そのランキングを見ると、なるほどと思う。常連のベテラン作家の新作が必ずと言っていいほど上位にランキングされる。その手の本に、あるいは同じ書き手にそうそう傑作が生まれるわけまいので、狭いジャンルの中で、特定の愛読者による持ち上げにすぎないだろうと予想する。そういうときは、ノンジャンルのランキング本との突き合わせが必要になる。

 ましてや、毎年ランキング本が大量にでるので、もはや一年前のランキング本はすぐに価値が劣化する。海外の翻訳で、一年後にはある作家のあるシリーズの新作がランキングに登場するとなると、ではいったい僕などはその本を読めばいいのか、そのシリーズを第一作から読むべきなのか悩ましくなり、結局読まないという結論になってしまう。

 ならば、ときおり意表を突くようにベスト10に躍り出る孤高の傑作こそが狙い目なのだとわかっているが、そういう傑作が一年経っても見ばえがするのかは「飛蝗の農場」のような作品を読むにつけ、少々疑わしくなる。一年間に区切って選んだベスト10なので、当然ながらワインのように当たり年・はずれ年という考えがあってもいい。どなたか、ミステリーのランキング本の10年後、20年後の総括というのをやっていただけないだろうか。

 もしやる人がいないならば、自分でやってみたい気もするが、かなり検証に時間がかかりそうだ。やってみても誰一人喜びそうにないし、僕だけの自己満足に終わるのだろうけど、ちょっと頭の中で気にしてみよう。

 ところで僕のランキング本の本命は、なんといっても「本の雑誌」の上期ランキングと年度ランキングの2つだ。本の雑誌の編集者と出版人とがそれこそいいかげんに決めてしまう独特のランキングだけれども、当初は椎名誠と目黒考二の特別枠、および気合いで入れてもらおうと熱く主張する編集者たちのお気に入りで埋まっていくランキングだ。その中で、たとえば僕は小野不由美の「図南の翼」と知ったり、昨年の「ふがいない僕は空を見る」などに出会ったりしている。「誰が読んでも面白い」ことに徹底している点に、僕は絶大なる信頼をおいている。

 今年は、いったいなにがどうランキングされていくのか。すでに椎名誠も目黒考二も参加しないランキングの信頼度は、今なお編集者たちによって守られているのだろうか。

[2011年度ベスト10]
1.なずな 堀江敏幸 集英社
2.マザーズ 金原ひとみ 集英社
3.ジェノサイド 高野和明 角川書店
4.秋葉原事件 中島岳志 朝日新聞出版
5.コンニャク屋漂流記 星野博美 文藝春秋
6.今日もごちそうさまでした 角田光代 アスペクト
7.桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活 奥泉光 文藝春秋
8.舟を編む 三浦しをん 光文社
9.「絵のある」岩波文庫への招待 坂崎重盛 芸術新聞社
10.これが見納め D.アダムスほか みすず書房


 このランキングの特徴だが、まず順位にはそれほど意味はない。だって「誰が読んでもおもしろい」に順位というものはつけられないからだ。だいたい1位の枠は決まっているようなものだから、1位は本当におもしろい(はずだ)。いきなりだが、2位はちょっとあやしい。1位ではなく2位へと譲るようであれば、きっと何か問題を抱えているはずだ。ところが3位は、誰もではないかもしれないが手放しにおもしろいものがくる。あとは、控えめな編集者たちが「せめてこれは入れてください、7位でいいですから」などと主張しあう。だから7位あたりの作品は、面白さの点ではひょっとすると1〜3位を凌駕する大穴の可能性があるのだ。

 もちろん、本の雑誌の場合はランキングの決まる会議そのものの様子がおもしろくて、それを読めば、なによりなにを読むべきかなどは決まってしまう。僕の今年の注目は

なずな
マザーズ
秋葉原事件
「絵のある」岩波文庫への招待


だ。たとえば「ジェノサイド」「舟を編む」「桑潟幸一准教授の…」はダ・ヴィンチでも上位のランキングされていたが、果たして上記の4冊はどういう扱いだっただろうか。それが素人と玄人の差ではないだろうか。これだけの振れ幅のあるランキングでありながら、おそらくははずすことがないに違いないところに、僕は絶大の信頼を置いている。もちろん、以前は目黒考二さんのオススメを狙い目にしてたんだけれどね。それが無くなってしまったのは残念だ。

 さてそれ以外に拾ってみる。

[読者が選んだベスト1]

木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか 増田俊也
みちくさ2 菊池亜希子


 「木村政彦は…」の方は、すでに言わずと知れた本らしいので、僕も何も言わない(いや、言えない)。とにかく読もう。「みちくさ」はファッション誌「PS」(って何だ?)に連載されたイラスト満載の紀行エッセイだそうだ。女性誌なので男性の僕には目に付く事がないので、こういう風に紹介してもらうか、書店の平積みでつかまえるしかない。なんと「PS」自体が休刊してしまったそうなので、埋もれないうちに拾っておこう。

[2011年度SFベスト10(鏡明 選)」
3.11 eleven 津原泰水
6.クロノリス R.C.ウィルスン


 鏡明さんのSF哲学談義は相変わらず重い。どうしてもSF部外者には共有する事ができない事をくだくだと言いつのっているとしか思えない。そういう部分を取りのいてしまうと、あとはこの2冊しか残らなかった。「クロノリス」は既に読んだから、津原さんの短編集「11」に注目だ。

[2011年度ミステリーベスト10(池上冬樹 選)」
2.二流小説家 D.ゴードン
8.ユリゴコロ 沼田まほかる



 やはり「二流小説家」と「まほかる」なんだな。「二流…」の方は小説に注目だが、まほかるの方は「まほかる現象」の方に注目。つまりはどれでもいい。まずは読まないと。今のところ「まほかるってなんだよ?」状態です、わたくし。

[2011年度私のベスト3]

(北村薫 選)
花もて語れ 片山ユキヲ

(坪内祐三 選)
死んでも何も残さない 中原昌也

(嵐山光三郎 選)
三時のわたし 浅生ハルミン

(クラフト・エヴィング商會 選)
遠い町から来た話 ショーン・タン

(田口俊樹 選)
二流小説家 デイヴィッド・ゴードン

(紀田順一郎 選)
探偵小説の室内 柏木博

(風間賢二 選)
パラドクシア・エピデミカ ロザリー・L・コリー

(田口久美子 選)
人質の朗読会 小川洋子

(深町真理子 選)
忘れられた花園 ケイト・モーガン

(鉄人社 選)
差別語・不快語 小林健治

(羽田詩津子 選)
犯罪 フェルディナント・フォン・シーラッハ

(佐久間文子 選)
なずな 堀江敏幸


 なんか、店頭で手にとった本が再び手元に戻ってきた感じがする。「三時のわたし」は、なんか往年のワイドショー「三時のあなた」のパロディーのようなタイトルで、その後の関心が続かなかったのだが、三時きっかりのタイムログ(日記)なのだそうだ。面白いというからには面白いんだろう。「パラドクシア・エピデミカ」は風間さんの説明からでは、やはりよく分からない。パラドックスの総ざらいという事だろうか。やはり一度は借りて読んでみないと。

 ショーン・タンは「アライバル」も読んでない(いや、この絵本について言えば「見てない」が正しいか)。「遠い町から来た話」でもどちらでもいいや。早く読もう。紀田さんが推薦しているんだ、「探偵小説の室内」。店頭でスルーしてしまったが、もう一度積まねば。

 そして最後は、永江朗さんによる「高橋源一郎の10冊」。これはもうランキング本としてはお年玉のようなものだ。「恋する原発」はただいま川崎市立図書館で8人待ちだ。あともうすぐだが、その前に「さようなら、ギャングたち」や「優雅で感傷的な日本野球」を読み直しておくべきだな、これは。

[高橋源一郎の10冊(永江朗 選)]
さようなら、ギャングたち
優雅で感傷的な日本野球
ブライト・ライツ,ビッグ・シティ ジェイ・マキナニー著/高橋源一郎訳
ゴーストバスターズ
あ・だ・る・と
日本文学盛衰史
ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ
文学がこんなにわかっていいかしら
13日間で「名文」が書けるようになる方法
恋する原発
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2011年12月27日

ダ・ヴィンチ2012年1月号(特集「BOOK OF THE YEAR 2011」)

 ダ・ヴィンチは滅多に買わない雑誌だ。これまでに買ったのは、たとえば「中島みゆき」とか「小野不由美」などの、僕にとって見過ごすことのできない作家やアーティストを特集した号だ。そうだ、結婚を機に実家をでるときに、家にあった本や映画のパンフレットを半分ぐらいは処分しようと買い取り業者を呼んだ。その当てを見つけるのに、この雑誌は非常に役立った。

 日頃買わない理由は、僕の読書のために有用な情報がほとんど得られない事だ。要は、特集の仕方が僕のような世代よりもかなり若者向けだと感じられるし、同世代にしても僕のやや内向した好みに十分答えてはくれないという個人的な理由も荷担している。

 若者向けというのはコミックを小説と同等に扱っているという姿勢にあらわれている。もちろん僕はマンガに対して「最近の若者は本を読まずにマンガばっかり読んでいる」などというつまらぬ偏見を抱く者ではない。そもそも子供の頃は少年マガジン、サンデー、チャンピオン、キング、ジャンプに育てられた世代なので、その頃にはまだなかった青年向けのマンガの成長を含めて、今の百花繚乱的なマンガの充実ぶりをうらやましいとさえ感じている。

 だが、それはそれとして僕は「文章」を読みたいのだ。コミックと散文(小説など)とは、まったく違う芸術だし、まったく違うメディアだと思う。それを等価に扱うには、それを受容できる環境が必要だが、いまだに図書館で借りられるマンガは限られている。せめて、この本で取り上げられるような名作コミックは、町の図書館で貸し出してくれるのであれば、ダ・ヴィンチの編集方針に少しは賛同できるのかもしれない。

 例年だと本誌のランキングに関心が持てないので購入する事はないが、今年は「BOOK OF THE YEAR」の特集号を買ってしまった。最近、自分にとって毎月待ちわびる雑誌が皆無なのがあまりに寂しいので、少し敷居を下げてみた。いや、単に「本の雑誌」の特集号が出るまでのつなぎという意味もある。

[今月の絶対はずさない!プラチナ本]
野蛮な読書 平松洋子


 「本読みにはたまらない」という編集者の意見が見えるが、数ある書評本は基本的にどれもこれも「本読み」にはたまらない本だと思う。だから僕は書評本というジャンルそのものが好きなのだが、これが厄介を抱え込む事でもある。なぜなら1冊の書評本を読み切ると、かならず読みたい本のリストが、どーんとできあがるからだ。高橋源一郎の書評本などは常にその危険(運命と言い換えてもいい)をはらんでいる。この「野蛮な読書」もそういう匂いがする。一言で言って「ヤバイ!」。惜しむらくは、編集部寸評で皆が口を揃えて絶賛するのはやめてほしい。プラチナ本というのは、そういうモノなのかもしれないが、そういう本に限って隙のなさにげんなりしてしまうからだ。

[天海祐希さんが選んだ一冊]
ある日どこかで リチャード・マシスン


 リチャード・マシスンは、最近お気に入りになった作家の一人だ。映画ファンとしては意外に彼の小説が原作の作品を見ているのでびっくりしたりする。「ある日どこかで」もかなり昔に映画化されている。映画も見たいが、原作も読みたい。なぜ天海さんかと言うと、彼女が宝塚時代に舞台で上演した演目だからだ。彼女自身に思い入れがある。でも本当の事を言えば、やはりマシスン原作の「リアル・スティール」の宣伝に荷担されたというわけだろう。

[二階堂ふみさんが選んだ一冊]
鱗姫 嶽本野ばら


 二階堂ふみは、映画「ヒミズ」の主演俳優の一人だそうだ。と言って「ヒミズ」という原作の漫画も知らないし、今をときめく監督の園子温にもまったくなじみがない。単に前日見た「おねがいランキング」のストライク映画で、辛口評論家3人がそろって絶賛して「ストライク」になったのを見たばかりなので、多少のすりこみが出来ていた。それにしても、映画の中では一途でクレイジーな女子高生を演じている彼女が、私生活でもゴスロリだというところに面白さを感じた。ならばオススメもぜひ一度くらいは読んでみよう。今まで手を出していなかった嶽本野ばらを。

 さて、ここからがいよいよ「BOOK OF THE YEAR 2011(ブック・オブ・ザ・イヤー2011)」になる。

[総合ランキング]
1.県庁おもてなし課 有川浩
3.真夏の方程式 東野圭吾
6.三月のライオン 羽海野チカ
7。ジェノサイド 高野和明
8.ゴーストハント全7冊 小野不由美
10.鋼の錬金術師 荒川弘
11.聖☆おにいさん 中村光
40.うさぎドロップ1〜9 宇仁田ゆみ


 もちろんランキングの紹介記事や横流し記事を書くつもりはないので、順を追いたければちゃんと雑誌を買いましょう。たかだか490円。今月号に限っていえばずいぶんとお得です。

 1位の「県庁おもてなし課」は、有川浩が「図書館戦争」以降についにたどり着いた頂点だ。どんな作品かといっても解説も詳しく読んだわけではないし、作者本人へのインタビューに動かされたわけでもない。ただ、買う前からお得だと信頼してるからこその選択だ。近頃読んだ「シアター2」のあとがきに書かれていたように、有川浩の登場人物は作者に動かされているというより、作者の思い通りにならずに勝手に動き出す。そんな希有な有川ワールドが今まさに旬を迎えようとしている。

 3位「三月のライオン」は、6歳になる我が子が将棋にハマらなければ手を出す機会はなかったかもしれない。前々から評判は聞いていたし、近頃少ない将棋をテーマにしたマンガだと知ってはいたが、我が子がたどる人生に思いいたせば、この作品の深さはひとごととは思えない。手に入れた第一巻をカフェで何気なく読みだして、冒頭のエピソードで号泣しそうになってやめた。これは人前では読めない。「アルジャーノン」以来の要注意本だろう。

 7位「ジェノサイド」は、どこぞのエンタメランキングでも絶賛されていた。予約しようと図書館予約システムにアクセスしたが、すでに長い長い待ち行列が出来ている。一年寝かせるかな。

 8位「ゴーストハント」は、いわずとしれた小野不由美さんの「十二国記」でブレイクする以前の作品。講談社X文庫の時にはさすがに読む気にならなかった。今回7冊で完結したのを機に一気に読んでみたい。

 10位は「鋼の錬金術師」。もう何年前になるのか。ガンダムの新作でもやっているのかとチャンネルを合わせると、摩訶不思議な「等価交換」という理念が人々の生き方を左右する、ずいぶん重苦しいアニメが目に飛び込んできて、人間と異形のモノたちとの圧倒的なドラマにたちまち魅了された。最初のシリーズを再び最初からやりなおして別の結末へと導くアナザーストーリー「フルメタルジャケット」もすべて見た。その最中に原作が完結したというニュースが事件として世間をかけめぐった。いったい原作はどう展開し、どう終わったのか。知りたい。読みたい。全27巻?計画が必要だ。

[恋愛小説ランキング]
1.県庁おもてなし課 有川浩
5.本日は大安なり 辻村深月
10.ゆず、香る 有川浩
11.心はあなたのもとに 村上龍
15.飲めば都 北村薫」


 1位の「県庁…」はどうやら公務員モノというだけでなく恋愛小説でもあったらしい。なにやら「県庁の星」の織田裕二と柴咲コウの顔が浮かんできてしまう。いけない、いけない。5位「本日は大安なり」の辻村と言えば、屈折しまくった高校生の男女二人の、近くて遠い恋愛しか思い浮かばないのだが、タイトルを見る限り、ひょっとしてベタな恋愛モノなんですか?

 10位「ゆず、薫る」は、またまた有川浩。これは書店で既に見かけたが、小説というよりは、ゆずベースの入浴剤?とのコラボレーションが変わっている。これって図書館で借りられるんでしょうか?

 11位「心はあなたのもとに」。そういえば村上龍の恋愛小説って読んだことがなかったなぁ。どちらかといえば近未来小説や「コインロッカーベイビーズ」のような重厚で刺激的な作品を好んで読んできた。恋愛モノでは村上龍を読むという体験として物足りないのでは?などと考えてしまう自分がいる。この作品が突破口になるか。

 15位「飲めば都」。北村薫と綾辻行人の新作と言えば、かならず購入して読破していた独身時代が懐かしい。今や北村薫は流行作家の仲間入りをしてしまって、出るたびに買って読む律儀さは慎まねばならなくなった。でも「飲めば都」は完結したベッキーシリーズ同様、味わい深い作品の予感がする。

[ミステリー・エンターテインメントランキング]
1.麒麟の翼 東野圭吾
2.真夏の方程式 東野圭吾
4.ジェノサイド 高野和明
5.県庁おもてなし課 有川浩
6.ゴーストハント全7巻 小野不由美
8.折れた竜骨 米澤穂信


 1位「麒麟の翼」は、例の「新参者」に出てきた探偵のシリーズ最新作だと言う。いやはや、ガリレオの方は今のところ順を追って読んできているが、こちらは初見だ。だとしたら「新参者」を先に読まねば。と思って調べたら、この探偵のシリーズははるか昔の作品から続いているそうだ。そしてなんと「どちらかが彼女を殺した」にも登場していたらしい。なんだ、初めてではなかったのか。探偵の記憶がないけれど…。

 1位、2位独占の東野圭吾の人気シリーズ・探偵ガリレオの最新作が「真夏の方程式」。これは当然読むつもりなのだけれど、どうやら図書館で予約するのを失念していたらしい。立川図書館で310人待ちはキツいな。

 8位の「折れた竜骨」は、どこかで好評を聞きつけたので一度は予約しかけたのだけれど、ファンタジーだと知って尻込みしてしまった。しかし、もう一度チャレンジしてみようか。


[コミックランキング]

2.3月のライオン 羽海野チカ
3.聖☆おにいさん 中村光
4.鋼の錬金術師 荒川弘
11.うさぎドロップ 宇仁田ゆみ
20.海街diary1〜4巻 吉田秋生


 そろそろ読みたい漫画もたまってきた事だし、ランキングから見繕った5タイトルは全部読んでおきたい。特に「3月のライオン」は、まっさきに読破したいと思って、ブックオフで必ず探していた。ところが、これがまた探しにくい。店頭で探そうと思うたびに作者名が思い出せない。なんと読むかわからなかったし。近ごろようやく先頭の「羽」がフランス語のように無音文字である事がわかった。しかも白泉社から出ていると知ったあとでも、女子漫画の棚にはないので、結局漫画の棚を端から端までみる羽目になる。その甲斐あって、6巻まですべて揃えた。

 「聖☆おにいさん」は携帯に届いた立ち見マンガでわしづかみにされた。これも第一巻は105円でゲットした。「うさぎドロップ」はノイタミナで放映されるずいぶん前に第一巻だけは購入して涙した。続きはどうする?結構先は長いぞ。全27巻のハガレンとあわせて、ツタヤのマンガレンタルに頼ることにしよう。これなら「JIN」も読めるし。

 あとは20位だけれども久々の吉田秋生作品を楽しみたい。第1〜3巻まで購入済みだ。

 うーむ、書いても書いても終わらない。ここらへんでしめよう。残りは、各ランキングから抜き出した本のタイトルだけ列挙して終わるとしよう。

[個性派書店員が選ぶ極[私的ランキングベスト3]
マーベル・アベンジャーズ事典
シビル・ウォー マーク・ミラー作/スティーブ・マクニーブン画
これは本 レイン・スミス
数寄です! 山下和美



[あの人が選ぶ、今年ひとめ惚れした本]

世界の使い方 ニコラ・ヴーヴィエ
神の左手悪魔の右手 楳図かずお


[出版ニュースクリップ]
どくとるマンボウ航海記 北杜夫
どくとるマンボウ青春記 北杜夫
黒猫の遊歩あるいは美学講座 森昌麿


[BOOKMARK of this month]

トワイライト・テールズ 山本弘
ネオカル日和 辻村深月


[文庫ダヴィンチ]
魔女の目覚め デボラ・ハークネス
スノーボール・アース ガブリエル・ウォーカー


[旬の本棚]
世界の夢の本屋さん エクスナレッジ
アンデルセン童話名作集 愛憎豪華版


[注目の新刊情報]
三本の緑の小壜 D.M.ディヴァイン
ボトムレス 拓未司
ホテル・ビーベリー 近藤史郎
世界の裏側で、ユキはダンスを踊る 荒木スミン
小説を、映画を、鉄道が走る 川本三郎
はげまして、はげまされて 93歳正造じいちゃん56年間のまんが絵日記 竹浪正造
謎解き名作ミステリ講座 佳多山大地
週刊ブックレビュー20周年記念 ブックガイド NHKサービスセンター


[本読みのプロが選ぶ、「とっておき」の今年の3冊]

いとま申して 「童話」の人びと 北村薫
折れた竜骨 米澤穂信
開かせていただき光栄です 皆川博子
狩場最悪の航海記 山口雅也
木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか 増田俊也
忘れられた花園(上・下) ケイト・モートン
犯罪 フェルディナント・フォン・シーラッハ
二流小説家 デイヴィッド・ゴードン
背後の足音 ヘニング・マイケル
七月の骨 吉田聡
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2011年12月02日

平積みに魅せられて(2011月11月号)

 会社帰りに新規書店を開拓するなどという余裕もないし、週末は子供との時間でぎっしりと予定が詰まっているとなると、行ける書店が決まってしまい、平積みの本も代わりばえしない。つまりは、つまらない。なんとか、ならんかな。と愚痴を言いながら、それでも僕は平積みに魅せられていく…。

[2011/11/01 オリオン書房アレアレア店]
  ボ−ドゲ−ムカタログ すごろくや編(スモ−ル出版)
  かわいそうだね? 綿矢りさ(文藝春秋)


 装丁がなにより綺麗でかわいらしい。中身がどうであれ、1冊買い求めてしまいそうな引力がある。それにしてもボードゲームのカタログってどういう事?などと気になって中身をのぞくと、「一生手放したくなくなるような」世界中のボードゲームを紹介している。それがまた、どれもこれも写真を見た感じでは見事なできばえ。確かにこれは欲しくなるし、捨てたり売ったりできなくなるかも。

 実は僕も、小学生の頃に買ってもらった「ティルト」というボードゲームを気に入って、ずっと捨てずに実家に置いておいた。ボードゲームをやれる条件というのがあって、あたたかい家族団らん、あるいは子供同士のつきあい、はたまたパーティをやるグループつきあい、みたいなものが必須条件だろう。それが無くなってしまったつまらない大人としては、いよいよ子供が小学生になったのを待ち受けて、実家から自宅に持ってきた。そういう一生もののボードゲームのバリエーションがどれほどあるか、このカタログで確かめてみたい。



 綿矢りさは、もちろん芥川賞受賞作「蹴りたい背中」からのつきあいだ。いや、高橋源一郎さんがオススメしていた「インストール」が先だっただろうか。とにかく屈託のない女子高生(というのはもちろん、大人の幻想に過ぎないのだが…)が書いた文学作品に一般大衆が群がったわけだ。しかし、その後彼女は過度に屈託してしまい、なかなか新作にお目にかかる事がすくない寡作作家の仲間入りを果たす。逆にそうなると、次回作が出るたびに気になるのは良心的な批評家や物見高い僕のような本好きだけという次第になる。

「夢を与える」も「勝手にふるえてろ」も読んで、言いたい事があったのだが、言葉にしてしまうと批判めいた事が先に出てしまいそうでつまらない。それよりは、なんとなくしばらくは「インストール」のような手放しに楽しめる作品は出てこないものかと期待しながら、次回作を楽しみに待つというのがいいような気がする。そして「かわいそうだね?」を、当然のごとく読むのだ。

 

[2011/11/07 東京堂書店]
  乱歩彷徨―なぜ読み継がれるのか 紀田順一郎(春風社)
  別名S・S・ヴァン・ダイン―ファイロ・ヴァンスを創造した男 ジョン・ラフリー(国書刊行会)
  「解説」する文学 関川夏央(岩波書店)
  甦る相米慎二 木村建哉/中村秀之/藤井仁子・編(インスクリプト)
  陸橋殺人事件 ロナルド・ノックス(東京創元社)



 紀田順一郎。一応「評論家」と見なされているが、その発表作品を見ると書誌学者のそれのような趣がある。僕が興味深かったのは、一太郎、ATOKでおなじみのジャストシステムから出版された「日本語大博物館」や「日本語発掘図鑑」だ。言語や文字に関心があり、そこから生み出される文学や周辺文化への造詣が深く、信頼できる批評家というイメージが強い。彼が乱歩の現代に至るまで「読み継がれてきた」不思議を丁寧にたどっている。ぜひ、読みたい。


 「別名S・S・ヴァン・ダイン」は、いわば今日本で主流の一つを形成している本格ミステリーというジャンルの原型を作り出した作家であるヴァン・ダインが、実はアメリカでは元々美術評論家として名が通っていたという話である。これは、まあ本格ミステリー好きにとっては常識のような話であるが、僕が名探偵ファイロ・ヴァンスの活躍する12編の長編を好んで読んでいた当時には、病の床で本業に関わる一切の読書を禁じられた彼が、唯一許されたミステリーを2000冊近くまで読破した挙げ句に、自分にも書けると思い込んだ事がきっかけで、その後の流行作家が誕生したという来歴がまかり通っていた。しかし、その来歴のほとんどが、この本によるとヴァン・ダインと出版社によるプロパガンダに過ぎない事が分かってきた。その点が興味深い伝記と言えるので、図書館で借りられる日を待ち望んでいるのに一向に入りそうにない。仕方なく、大枚はたいて、いや、ブログで稼いだ小銭(アフィリエイト)で中古本を入手した。早く読め!


 『「解説」する文学』は、関川夏央さんが書いてきた文庫解説から選りすぐった24編を納めた本だと、今この記事を書くために下調べをして初めて知った。それでタイトルの「解説」という言葉が括弧付きだったのか。店頭で目次をさらったときは、伊藤整の「日本文壇史」や宮部みゆきの「蒲生邸事件」について書かれているのに惹かれた。それと、今まさに関川さんに良さを教えてもらおうとしている司馬遼太郎の本についての文章もいくつか含まれている。

 解説と書評とは自ずとスタンスが違うが、そもそも関川さんの読み込みは深く深く文章の裏側に入り込んでいき、単なる印象をぬぐいさった後に必然的に残る解釈を目の前にさらしてくれる。それが解説ともなれば、まだ読んだ事のない初心者への良き道しるべとして、やさしくやさしく教え導いてくれる文章だろう。必読、だ。



 映画監督・相米慎二が亡くなってから、早いもので10年経ってしまった。名画座で「台風クラブ」を見て、その破れかぶれの破調についていけず、ついダメだしをしてしまった。その後、もう一度見直して以来、相米調の虜になった。僕が映画館に通い詰めてむさぼるように映画を見るようになったきっかけの一本と言ってもいいだろう。いつの間にか、あの当時の初々しいアイドルたちが立派な大人になり、相米を師とも恩人とも仰ぐようになった。それだけのカリスマ性を内に秘めていた作家だった。でも「台風クラブ」で役者としてステップアップしたのは、三浦友和だった。彼の演技は台風にあえぐ中学生たち以上に刺激的だった。相米慎二よ、再び!



 「陸橋殺人事件」は近ごろ復刊フェアで店頭にならんだ創元推理文庫の1冊。作者は、あのロナルド・ノックスだ。「あの」というのは、これまた本格ミステリーの愛読者ならばおなじみの「ノックスの十戒」のノックスなのだ。これでもよく分からんというならば、「探偵は、偶然や第六感によって事件を解決してはならない」とえらくもっともな戒律を挙げておきながら、「中国人を登場させてはならない」などと不可解な事も言い出す人物だと知っておけばいいだろう。ノックスの作品はそう読む機会はないと思うが、「密室の行者」は密室トリックとしては非常に有名な一作だ。この「陸橋殺人事件」も、確か、エラリー・クイーン愛好者なら誰でも知っている(はずの)「バールストン先攻法(ギャンビット)」を用いた作品と指摘されていたはず。ふーむ。これってひょっとしてネタバレだったでしょうか。とにかく、その意味で読んでみたい1冊だ。
 


[2011/11/11 オリオン書房アレアレア店]
  なにもないシアワセ大東京ビンボ−生活マニュアル 前川つかさ(イ−スト・プレス)


 オオトリにひかえているのは、あの週刊誌「モーニング」に1986年ごろに連載されていた漫画「大東京ビンボー生活マニュアル」を再出版した1冊。本来は5巻からなるオリジナル単行本は、いまだに実家の書棚に大切に保存されている。田舎者のコースケが主人公で、彼はあたかも漱石の「三四郎」のごとく、東京の大学に通い、卒業後も大学近くの下宿から動かず、それだけでなく定職にもつかずに「高等遊民」のように、その日暮らしをしている。

 当然ながら「それから」の代助のような裕福なすねかじりではないので、東京の下宿住まいは「ビンポー」そのものだが、そのビンポー感が非常にゆったりとした明るさに彩られていて、非常に魅力的な作品だった。それが、著者のインタビューなどを含めた形で傑作選として1冊にまとめられて出版されている事を知ってびっくりした。こういう本(漫画)は、漫画喫茶で読めるんだろうか?そうでなければ買うしかない。とにかく読んでみたいなぁ。

posted by アスラン at 12:50 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | あっ、これ読みたい | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年11月21日

2011年12月の新刊

 いつものように大洋社のHP「Book Index」調べの新刊チェックだ。「いつものように」と言っておきながら、10月分、11月分をすっとばしてしまった。相変わらず、チェックしてまとめてブログに書くのも楽じゃない。

2011年12月分をざっと見渡してみたのだけれど、正直僕好みの新刊はあまりなかった。四方田犬彦さんの「李香蘭と原節子」というタイトルも、ちょっと意外な組合せに惹かれるけれども、かといってそれほど二人の女優に思い入れがあるわけではないなぁとピックアップしなかった。そんな感じだと1冊もなくなりそうだなぁと思って、無理矢理選んだところ、いつもの月ぐらいには冊数がそろった。

12/07 旧約聖書の誕生 加藤隆 筑摩書房・ちくま学芸文庫 1680
12/20 二重言語国家・日本 石川九楊 中央公論新社・中公文庫 800
12/06 おひとりさまの老後 上野千鶴子 文藝春秋・文春文庫 630
12/02 透明人間の告白(上) F.H.セイント 河出書房新社・河出文庫 998
12/02 透明人間の告白(下) F.H.セイント 河出書房新社・河出文庫 998


 「旧約聖書の誕生」をまず拾った。ちくま学芸文庫なので必ずしも面白いかは手にとってみないと判断できない。でも、以前からユダヤ人の歴史や聖書の成り立ちには関心があって、それなりに読み継いできたので、「旧約中に十戒は2種類ある。…」のようなコピーで出会うと、はてそうだったっけ?などと気になってきた。旧約・新訳あわせて1500ページぐらいの、まるで辞書のような1冊をまがいなりにも一度通して読んだ事がある身としては、久々に「旧約聖書」の世界に再会してみたくなった。

 「二重言語国家・日本」は、書家・石川九楊さんの作品。書を生業とする者にとって「漢語」と「和語」の二つを心に併存させながら、世界を構築していかざるを得ないのは自明な事なのだろう。しかも、この言語区分の立て方が可能ならば、現代人は一体いくつの言語を所有している事になるのだろう。柳父章言うところの翻訳語も、見栄えは漢語でありながら心は西洋製なのだ。外来語(カタカナ語)も入れれば、日本の多言語国家の資質が見えてきはしないか。などと馬鹿は先走りはやめて、この本をまず読んでみよう。なんとなく実家に単行本を置き忘れてきたような気がするのだが…。

 「おひとりさまの老後」は、かつてのフェミニズム論者の雄、上野千鶴子さんの1冊。思えば、吉本隆明との対談で「共同幻想論」の価値を認めておきながら、対幻想の部分については吉本の男性視点からの甘さを思う存分突いていた、雄々しきカリスマ批評家であったが、いつの間にか東大の教授におさまって近頃退官したとはびっくりした。時代は移り変わっていくものだ。その上野さんが書いた「おひとりさまの老後」。タイトルが上野さんのフェミニズム論の行き着く終着なのか。なにやら吉本の「最後の親鸞」と呼応するところがないだろうか。気になって取り上げてみた。

 最後に「透明人間の告白」(上・下)。実はどんな本かよくわからない。透明人間が出てくるのだから、SFとかホラーなのかと思ったのだが、そうでもないようだ。実は会社に行くまでに通る駅前商店街の、行きつけの古本屋の105円コーナーに2冊で210円で、ずっと前から収まっている。これは新潮文庫版なのだけど、このたび河出文庫から出るところをみると、新潮文庫は版権が切れたのかな。こういうのをシンクロニシティと言うのか、いや単なる「出逢い」か。買うと大変な事になるので、読むなら図書館から借りておこう。

「透明になったら無限の自由が手に入ると思っているあなた、ちょっと待って下さい。透明な人生は決して楽ではありません。」

 うーむ。なにやら透明人間に仮託して、人生の悲哀を描いた作品のような気がしてきた。
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2011年11月04日

平積みに魅せられて(2011月10月号)

 独身時代は金に糸目をつけず、いや「金に糸目はつけず」とは大げさだが、ほぼ予算を計上せずに好きな本を好きなだけ買っていた。振り返れば5000〜10000円ぐらいは月に使っていただろう。好きな作家の新刊本は単行本で購入して、数年たって文庫化されると再購入するのは当たり前の消費生活だった。しかし結婚して、さらに子供ができたともなると、サラリーマンの夫、一児のパパの小遣いなどたかが知れている。時間がないのを言い訳にして、週末の映画館ハシゴ三昧の日々にもお別れして、書籍も原則「非カク…」いや「非購入三原則」を作って「(新刊)買わない(蔵書)増やさない(図書館から)借りる」の日常を、かれこれ10年続けている。

 それでも、本屋通いがおさまったかと言えば、さにあらず。ますます書籍そのものに対する思慕は増す一方だ。図書館でいずれ借りるためでもあるが、まずは手にとって装丁や中身を楽しみたい。できれば「買いたい」。ジレンマと闘いつつ、きっと図書館で「借りて読むぞ」と、せっせせっせと携帯にメモっていく。そんな新刊の「平積み」に魅せられた痕跡をたどっていこう。

[2011/09/26 オリオン書房アレアレア店]
 字幕の花園 戸田奈津子(集英社文庫)
 ル−=ガル−<上・下> 忌避すべき狼(分冊文庫版) 京極夏彦(講談社文庫)
 神様2011 川上弘美(講談社)


 とにかく字幕翻訳家と言えば戸田奈津子だ。今でもそうかもしれないが、映画三昧を続けていた1990年代に、ビッグタイトルからミニシアター系にいたるまで、いわゆる「おいしい」洋画の字幕は、この人が手がけていた。大物ハリウッドスターが来日すると通訳をかってでるのもこの人なので、「なんなの、あのメガネのおばさん」と知らない人は目くじらたてたりするのかもしれないが、映画業界では偉い人なんですよ。でも「ロード・オブ・ザ・リング」の字幕に、主に原作のファンから激しいクレームが来て、一気に権威が失墜した感じがあった。でも、書店で「字幕の花園」をパラパラめくってみると、やはり戸田さん本人も原作ファンの怖さを思い知らされたと自戒するも、ちゃんと言い分はあるようだ。これはもう少し突っ込んで読んでみたい。

 「ルー=ガルー」、実はまったく読んでいない。京極さんの「百鬼夜行シリーズ」(いわゆる京極堂の活躍する妖怪もの)は何度も読み込んでいるのに、他のシリーズにはなかなか手がのびない。やはりちょっととぼけたタイトルと、SFのようなストーリーに食いつけない自分がいた。それでも書店で平積みされると興味が出てきた。でも、買いはしないよなぁ。借りるかなぁ、などと逡巡していたら、先日いきつけの地元立川の図書館の入り口脇に「リサイクル書籍」のワゴンが出ていて、その中に分厚い「ルー=ガルー」の単行本があったので、迷わずもって帰った。こうなったら読むしかないぞ。

 「神様」は川上弘美の初期の代表作の一つだと思う。なんとも「熊」が当たり前のように人間社会に居座って、でも、やはり熊だという怖さは存在している。その微妙にアンニュイで、微妙にリアルな設定と文体に惹きつけられた。それが、東北大震災を契機に書き改められたそうだ。そういう経緯であれば、やはり「神様1911」も読んでみたい。

[2011/10/12 武蔵小杉]
 小惑星探査機「はやぶさ」の超技術−プロジェクト立ち上げから帰還までの全記録− 川口淳一郎/監修「はやぶさ」プロジェクトチーム/編(講談社ブルーバックス)
 カ−テン ― ポアロ最後の事件 アガサ・クリスティ(ハヤカワ文庫)
 スノ−ボ−ル・ア−ス ― 生命大進化をもたらした全地球凍結 ガブリエル・ウォ−カ−(ハヤカワ文庫)


 はやぶさ関連の本はかたっぱしから読んでいるので、もうあらかた読んでしまった。この夏にも「はやぶさ君の冒険日誌」を読んだ。川口さんの書いた本も2冊は読んでいるので、もう目新しいところはないかなと思ったのだが、この「超技術」という本は、もうちょっと突っ込んで「はやぶさ」の成果を生み出した日本の宇宙探査技術の始まりから「はやぶさ」以後を川口さん自身が概括した上で、各分野の担当者による「はやぶさ」に採用した技術の解説本になっている。これは読みごたえがある。実は今ようやく予約待ちが解消して手元にあって、読み出している。改めて昨年の昂ぶりが甦ってきた。

 クリスティは今僕にとっての旬だ。会社の同僚が「ABC殺人事件」を読み出したのを機に、ストップしていた〈クリスティ読み〉に火が付いた。そうなってくると、安い本を収集する気持ちにも火が付いてしまった。105円棚にあるクリスティ文庫ならばさきほどの「非購入三原則」に引っかからないと、勝手に解釈をねじ曲げているからだ。どうやら、図書館にはクリスティ文庫は完備されているのだが、今回のような新訳を購入する予算はなかなか取れないようだ。既に読んだ「そして誰もいなくなった」や「オリエント急行の殺人」の新訳も、今回自腹を切って購入したからこそ読めた(非購入三原則はどうした!)。でも、もうこれ以上は買えない。他の新訳は図書館の入れ替えを待つか、あるいはどこぞの古本屋で安く買い叩けるかにかかってきそうだ。

 「スノ−ボ−ル・ア−ス」は単行本が書店に平積みになったときから気にかけていた1冊だ。広大な宇宙の謎もさることながら、地球そのものの成り立ちにも同様に関心がある。それがいつのまにか文庫化されている。これはよっぽど評判がいいに違いない。

[2011/10/16 オリオン書房アレアレア店]
 007白紙委任状 ジェフリー・ディーヴァー(文藝春秋)


 さてさて、あのジェフリ・ディーヴァーが「ボンド、ジェームス・ボンド」の物語を書くのだ。007の正当なシリーズ本を書くというオファーが舞い込んだという話は、ずいぶん前から耳に入っていた。あれは翻訳家・池田真紀子さんの訳者あとがきでだったと思う。いや、もしかするとNHK−BSの週間ブックレビューで、今は亡き児玉清さんが来日したディーヴァーさんにインタビューした時に明かしたビッグニュースだったか。いずれにしても、ずいぶんに知能的なボンドになるだろうなと思った。ピアーズ・ブロズナンが演じた5代目ボンドがずいぶんと超人的なヒーローなところを魅せてくれて、しばし映画的なダイナミズムを味わわせてくれたが、ディーヴァー版007は頭脳を駆使した個性的なボンドになることだろう。

[2011/10/25 オリオン書房サザン店]
 中央公論特別編集「江藤淳1960」 中央公論編集部(中央公論新社)
 文学と非文学の倫理 吉本隆明/江藤淳(中央公論新社)


 つい最近見かけた2冊だ。「文学と非文学の倫理」というのは聞き覚えのあるフレーズで、吉本さんと江藤さんの二人が最後に対談した際につけられた対談のネーミングだ。この対談で、日頃対立しているとみられた二人の意見が思いの外かみ合っていて、終始和やかな、しかし実りあるわかりやすい対談となっていた。それ以前に彼らの対談は全部で5回あったようで、今回それをすべて収録した。中央公論新社では「江藤淳1960」という企画本(雑誌?)を同じタイミングで出版した。そういえば鹿島茂の「吉本隆明1968」という本を読んだ事があったが、やはりこの二人の批評家を語るには、あの1960年代にまで遡る必要があるのだろう。僕にとってはなかなかに取っつきにくい時代の話ではあるが、決して知らない時代ではない。少しは時代に付き添ってもいいだろう。
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2011年08月25日

2011年9月の新刊

もう、8月も終わりに近づいたなんて信じられない。
言い訳ばかりだが、いまだに「夏の文庫フェア」の比較記事はアップできないし、なんだか気ばかり急いても、暇がないのは仕方ない。
この文庫の新刊調べだけが、この夏の気晴らしになってしまった。

09/22 レーン最後の事件 エラリー・クイーン 角川文庫 735
09/07 アインシュタイン論文選「奇跡の年」の5論文 ちくま学芸文庫 1365
09/15 小さなトロールと大きな洪水 T・ヤンソン


 そういえば、8月の新刊調査で、そろそろディクスン・カーの新訳(「火刑法廷」)とエラリー・クイーンの国名シリーズ新訳(「ローマ帽子の謎」)がそろい踏みする頃なのだが、8月下旬とだけあって、詳細な日付が分からない。ここのところ、毎朝・毎晩最寄りの書店に立ち寄っては、平積みに見当たらないでがっかりして出てくるのが日課になってしまった。そうか、ハヤカワと創元社のHPで確認すればいいのか。おそらくは来週なんだろうな。

(追記:その後、各HPで出版日が判明。なんと「火刑法廷」は8月25日。なんと今日ではないか。帰りに書店に寄らねば…。「ローマ帽子」の方は8月30日。いずれも即時購入のつもりだ。)

 そこに来て、またもやタイムリーな話題は「レーン四部作」の最後の作品がいよいよ角川文庫から出る。あの「ダヴィンチ・コード」の越前敏弥さんのきりっとしまった翻訳で読むのが楽しみだ。

 2冊目のアインシュタインの論文は、例の特殊相対論の論文から始まって、その数日後に補遺を数ページ分送り、その中にアインシュタインの成果の代名詞になったE=mc2の公式が姿を現すと、春先に読んだ「E=mc2−世界一有名な方程式の「伝記」−(デイヴィッド・ボダニス)」というノンフィクションに書かれていた事を思い出した。論文など読めるとも思わないが、ちょっとのぞき見してもいいだろう。

 三冊目はトーベ・ヤンソンの「小さなトロールと大きな洪水」。先日NHKーBSでムーミンと作者ヤンソンの特集をやっていた。そのとき初めて知ったのだが、画家でイラストレーターだった彼女が戦後初めて書いたムーミンを主人公にした童話が、「小さなトロールと大きな洪水」だった。僕はてっきり「楽しいムーミン一家」が第一作だと思っていたのだが、違うらしい。いや、それともまだ「小さなトロール…」では、あの愛らしいムーミン一家ではなくて「ムーミントロール」という妖精を描いてみせたに過ぎないのかもしれない。詮索はさておき、ぜひ読んでおきたい一冊だ。
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2011年07月18日

2011年8月の新刊

 うーむ、今年の夏は早くから「夏の文庫フェア」の準備を始めたので、7月早々には比較記事をアップできると思ったのに、とんでもない事ばかり起こってしまって、いまだに出せない。夏休みもついに今週から始まってしまうし。いったいいつになったら3社比較までたどりつくやら。

 そうこうしてるうちに、大洋社のHP「Book Index」調べの新刊チェックも7月分を出し忘れてしまった。ちなみに2011年5月分の戦績について申し述べておくと、

クロノリス─時の碑─ ロバート・チャールズ・ウィルスン(読了)
言壺 神林長平(書店にて購入済み。って、早く読めよ!)

さて、8月分を調査。いやはや、待ち遠しい本がラインナップされているではないか。

08/09 翻訳者の説明責任 別宮貞徳 筑摩書房・ちくま学芸文庫 998
08/09 全身翻訳家 鴻巣友季子 筑摩書房・ちくま文庫 798
08/下 火刑法廷 新訳版 ジョン・ディクスン・カー 早川書房・ハヤカワ・ミステリ文庫 815
08/30 ローマ帽子の謎【新訳版】 エラリー・クイーン 東京創元社・創元推理文庫 987



 まずは、久々にベック先生の辛口翻訳批評が読めると思うと、懐かしさのあまり嬉しくなる。僕は、欠陥翻訳時評を厳選した「誤訳・悪訳・欠陥翻訳」シリーズの愛読者だった。単行本が出るたびに買い求めていたのだが、結婚を機に実家の本を大量に処分する際に、どうやら別宮先生のシリーズ本をすべて売ってしまったようだ。なんたる失敗。いずれ文庫になるはず、あるいは図書館でいつでも借りられるはず、などと思ってしまったのだが、ここに盲点があった。翻訳時評というのはなかなか文庫化がかなわない。というのも、批評対象となる翻訳本が古びて絶版になってしまう事が多いからだ。だって、もともと時評で取り上げられるような翻訳の質なのだから、絶版になるのは当たり前だろう。となると、絶版になった本の時評を読むというのも不毛な行為になってしまう。

 それでも、ちくま学術文庫から「厳選 誤訳・悪訳・欠陥翻訳」が出た時は嬉しかった。もう二度と、あの「国富論(水田洋)」での著者との大激論が読めないかと思っていたのだが、やはりと言おうか、当然と言おうか、載っていました。その別宮さんの「翻訳者の説明責任」。楽しみです。と同時に、現役ベテラン翻訳家の鴻巣友季子の「全身翻訳家」という本も、また楽しみだ。鴻巣さんと言えば、新潮文庫の「嵐が丘」の翻訳で、改めてこの作品の尋常ならざる愛憎劇を十分に堪能させてもらった。

 そして後半の2冊は、本格ミステリーファンにとっては垂涎の2冊と言える。ディクスン・カー(カーター・ディクスン)のミステリーをすべて読破しようとしているものにとって、今こそ、いい時代はないだろう。未訳の長編も刊行されたので、なんとか読み切る事が可能だ。だが、慎重にも慎重を重ねて、あますところ8冊になった未読本を読みつぶすのではなく、最初から長編を丁寧の読み直そうと思って、リストを整理して、そろりそろりと最初の方から読み直していたところで、あの歴史ミステリーの傑作「火刑法廷」の新訳がでると言う。こちらはハヤカワ・ミステリ文庫だが、先日の創元推理文庫版「帽子収集狂事件」の新訳出版に刺激を受けているのかもしれない。こうして、他の古びた訳がもう少し読みやすい形で新訳として再生したならば、僕の再読の旅も弾みがつくかもしれない。

 ところで、最後の最後に真打ち登場だ!まさかエラリー・クイーンの国名シリーズの新訳を創元推理文庫で読めるとは思わなかった。もう、井上勇さんの訳で動くことはないのかと思っていたからだ。でも、まあエラリー・クイーンとて、すでに本格ミステリーの古典と化しているわけだから、新しい読者を獲得するためには、新しい息吹を吹き込む必要があるだろう。そういう意味では、角川文庫版「悲劇」三部作の新訳は新鮮だった。「ダヴィンチ・コード」の越前さんの翻訳はスタイリッシュで、いわば従来の苦み主体のビールではなく、喉越しさわやかなな「ドライ」ビールだった。

 では,今回の「ローマ帽子の謎」はどう変わるのか?なんと、なんと。女性翻訳家がクイーンを訳す。ちょっとびっくりだ。どうしたって緻密な論理主体の男っぽい文体が要求されると思われるからだ。翻訳者の中村有希という方は、あのイギリスの女流作家サラ・ウォーターズのミステリーを訳してきた。当然ながら中堅(ベテラン)と言っていいのだろうが、果たしてクリスティーではなく、クイーンの文章を女性がどう訳すか、かなり興味津々というところだ。
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2011年05月13日

2011年6月の新刊

 いつものように大洋社のHP「Book Index」調べ。に加えてハヤカワ・オンラインとちょっと眺めていたら、ウィルスンの新作を見逃しているのに気づいたので、今月(5月)分だけど追加しておいた。

05/28 クロノリス─時の碑─ ロバート・チャールズ・ウィルスン
06/上 言壺 神林長平
06/21 フレンチ警視最初の事件 F・W・クロフツ
06/08 公共哲学 政治のなかの道徳をめぐる小論集 マイケル・サンデル


 まずはなんといっても目玉は神林長平「言壺」(ことつぼ)だ。僕はSF読みではないので、神林長平作品をほぼ全く読んでいないが、この作品だけは言語論や日本語論などの本と同様の関心をもって愛読している。なんといってもワープロ専用機の進化形が存在する近未来が舞台というところがそそられる。すでにワープロ専用機が消えた今、設定自体は古めかしくなってしまった感は否めないが、そのAI機能そのものがユーザの言語・思想を統制していくという視点は斬新で、今でも通用する。なんといっても「姉が僕を産んでくれた」と書くと、論理的に破綻しているから書き直せと言ってくるワープロなのだ。凄いよなぁ。書き直さないと執拗に「では『姉』と括弧にくくれ」と迫ってくる。つまりメタファーだと示せと言うのだ。とにかくこれを図書館で見つけた時には「やったぁ」と思った。それが、新装版になって再出版されるという事かな。楽しみだ。

 「時間封鎖」三部作のロバート・チャールズ・ウィルスンの新作だ。SFのなんちゃら賞というのを取った作品らしい。なんちゃら賞がなんなのかさっぱりわからないが、権威には滅法弱いので読みたい。そうでなくても彼の作品は、まだまだ読みたいと思う。

 クロフツ作品の新刊(新訳ではない?)はとりあえず挙げておこう。一ミステリー愛読者として。まだ「樽」と江戸川乱歩の短編集の中に1作ぐらいしか読んでないけど、いずれ読むぞ、と言う事で。とりあえずは自宅に買ってある「クロイドン発…」を読まないとね。タイトルさえうろ覚えでスマン。

 サンデルさんの「公共哲学」はとりあえずマイブーム中という事で抑えておこう。小林教授のサンデル論(新書)は読み損なって返却してしまった。だって、やっぱりサンデル本人の書いたものより面白くないんだもの。だったらサンデルさんの話術、文章術を直接味わうべきだろう。
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2010年06月17日

2010年7月の新刊

 いつものように大洋社のHP「Book Index」調べ。毎月10日前後でトップページに「文庫発売予定一覧 更新しました」と表示されるのに出ていない。それよりも「文庫発売追加一覧 更新しました」の表示のみが出ている。これって「文庫発売予定一覧」に追って更新されるものじゃなかったっけ?で、調べてみると「文庫発売予定一覧」は2010年6月11日付けで更新されている。なぜいまだにトップページにその旨のお知らせが表示されないのかは謎だ。

 とにかく、ざっと見渡してピックアップ。今月は少ない。

07/08 初めての飛行機(仮) ウェルズ
07/08 夜間飛行 サン=テグジュペリ
07/27 回想のシャーロック・ホームズ【新訳版】 アーサー・コナン・ドイル


 最初の2冊は光文社古典新訳文庫の新刊。「初めての飛行機(仮)」というのはH.G.ウェルズの作品としては初耳のタイトルだ。仮タイトルというのは、国内で確定したタイトルがない証拠かもしれない。でも古典を標榜しているレーベルならば有名な作品に違いないんだよね。そもそもSFなんでしょうか。意外性が感じられるタイトルなので、ちょっと読みたい気がする。

 「夜間飛行」は、これまで新潮文庫版を読んだ事がある。高校生ぐらいだったので味わい切れていない思いがあり、改めて古本屋で手に入れた文庫が自宅の本棚に積まれている。今回、新訳で読むのも面白いかも。

 最後の一冊は、さきごろ始まった新訳の「ホームズシリーズ」の第2巻目だ。「シャーロック・ホームズの冒険」もシリーズの翻訳家・深町真理子の訳で現代風に甦った。「回想」も今から楽しみだ。新潮文庫版だと「シャーロック・ホームズの思い出」となるところだが、創元推理文庫だと「回想の…」となる。
収録短編は、
* 白銀号事件
* 黄色い顔
* 株式仲買店員
* グロリア・スコット号事件
* マスグレーヴ家の儀式
* ライゲートの大地主
* 背中の曲がった男
* 入院患者
* ギリシャ語通訳
* 海軍条約文書事件
* 最後の事件


 おお、「白銀号事件」や「海軍条約文書事件」などが入っている。そして言わずと知れた宿敵モリアティー教授との対決を最後に滝底に姿を消す「最後の事件」が、文字通りのクライマックスとして用意されている。
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2010年05月12日

2010年6月の新刊

 大洋社のHP「Book Index」で来月の文庫新刊リストが公表された。毎月10日近辺で公表されるのを楽しみに待っている。ざっと見渡したところで気になる本は以下のとおり。

06/04  オン・ザ・ロード ジャック・ケルアック
06/10 沈黙するソシュール 前田英樹
06/10 書物の解体学 吉本隆明
06/10 経済学・哲学草稿 マルクス
06/上 歯と爪【新版】 ビル・S・バリンジャー


 ケルアックの「オン・ザ・ロード」は「路上」の事だよなぁ。河出文庫版はずっと「路上」で出版してたようなきがするが、池澤夏樹編纂の世界文学全集の中の一冊が「オン・ザ・ロード」だったから、それを文庫化したんだろうか?あれは第一部だけ読んだところで返却してしまった。続きを読み直すには文庫は最適だ。すぐに図書館で蔵書にしてくれないかなぁ。

 文芸批評家の前田英樹の「沈黙するソシュール」は単行本の際に気に掛けていた。こちらも文庫なら気兼ねなく読み終える事ができそうだ。

 吉本隆明の「書物の解体学」は中公文庫版でずいぶん昔に読んだ。名前は難しそうだが、良質の書評書と考えた方がいい。思想家・批評家として知られる著者だが、本芸は文芸批評にあるのではないかと思われるくらい判りやすいし、面白い。書評の第一義は、まずもって紹介した本なり作家なりに興味をもってもらうことだろう。読む気にさせてくれる本として、本書や「悲劇の解読」などはお薦め本だ。今回は講談社文芸文庫からの出版だ。

 マルクス「哲学草稿」は何かと問題が多い光文社・古典新訳文庫からの翻訳だ。問題があろうと「読みやすさ」は一つの美徳だ。読まなければ、どんな名作とて無用の長物。まずは触れてみる必要あり。ついでに、家にある積ん読本、吉本隆明の「マルクス」も併読するか。

 バリンジャーの問題作「歯と爪」(仮名漢で「鳩爪」と出てきて度肝を抜かれた)が新版になる。驚きだ。何が問題作と言って、結末部分が袋とじで、開封しなければ返品可という趣向が果たして継続されるのか、注目だ。

 
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2010年04月15日

「アルプスの少女アデレード」が読みた〜い

 「アルプスの少女ハイジ」の原作に盗作疑惑が持ち上がっている。原作と言えば、岩波文庫から出版されているヨハンナ・スピリ「アルプスの山の娘(ハイヂ)」を読んで、このブログでも感想を書いた。その際には、世間で一般に流布されているTVアニメ版「ハイジ」と原作との違いにクローズアップした。

 アニメと原作ではいくつかはっきりとした違いがある。例えば、ハイジとクララ以外の登場人物の役割がはっきりと違っている。クララのお祖母さんはフランクフルトでのハイジの心のよりどころだが、原作ではそれ以上の存在で、ハイジに神様への帰依をもたらす。さらには人間不信から不遜な態度をとり続けたお爺さんを改心させるのが、都会から戻ったハイジの伝道者としての新たな役割となった。アニメでは急に人が良くなったアルムおん爺に違和感を感じた人も多いだろうが、そもそもが原作通りにキリスト教への帰依というテーマを持ち込まないと、話のつじつまが合わないのだ。だが、もちろんそんなテーマは日本人にとっては馴染みがない。ましてや子供にはちんぷんかんぷんだろう。

 そういう比較をしながら原作を読んでいくと、原作が書かれた背景や作者の考え方が透けて見えてきて面白い。ところが、その原作が盗作だったかもしれないとなると、その真偽に俄然注目がいくのはわかるが、僕としてはもし〈原作の原作〉とでも言うべき作品があるのなら、率直に言って読んでみたい。社会的な道義といっても、すでに1880年という130年前の作品だし、その盗作されたという作品はさらに50年前のドイツ人作家の作品だというから、僕ら「ハイジ」ファンにとっては、原作者スピリへの態度を変えようがないではないか。

 それよりも原作が発表当時にすでに話題になっていたはずなのに、なぜ今さらのようにスキャンダル化したのか不思議だ。ヘルマン・アダム・フォン・カンプというドイツ人詩人がどの程度有名だったかは、ググっても盗作騒ぎの記事しか出てこないところで推して知るべし。あまり知名度が高くない作家だったようだ。さらには、原作の原作も世に出たときにはほとんど反響がなかったのかもしれない。それにはそれ相応の理由(例えば作品自体の瑕疵)があったのかもしれない。

 想像すればするほど、読んでみたくなる。アデレートとアーデルハイド(ハイジ)はどの程度うり二つなのだろう。どの程度、作家の技量が問われる物語になっているのだろう。すごく興味がある。この騒ぎにのっかって、どこぞの出版社で「アデレート」の翻訳を出してくれないかなぁ。 
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2009年11月26日

バルタン星人―不滅のダークヒーロー (COSMIC MOOK ウルトラマンシリーズ)

 ストレス解消に、というよりも中毒症状を緩和するためにと言った方がいいか。毎日のように書店を覗いて「何か面白そうな本はないか」と物色する。その場で買えるほど懐はあたたかくないから、携帯にタイトルをメモして、この場で紹介して気を済ませるか、もしくは図書館の蔵書になったら借りようと記憶にとどめておく。

 流行作家のタイトルならば、川崎図書館が1〜2週間おくれで購入して検索可能となるので気が抜けない。一方で、読みたいのになぁと思っても川崎でも立川でも蔵書にしてくれそうにない本もある。そういう時はただただ途方にくれる。今回の紹介本はそういう本だ。

 まずはムックという存在に図書館は冷たいと思える。そこまで手が回らないと言ってしまえばそれまでだが、流行を先取りすることなく、流行に後れることなく、ちょうどジャストのタイミングに、あるいは何事の流行とも関係なく、サブカルチャーの歴史的資料となるような題材で出版され、売り切ればそれで消えていくような存在が、ムック本だ。

 よくある「僕たちの好きな」シリーズとか、アルティマニア系のムックは僕も関心があるので時々買い求める。刑事コロンボだとかエラリー・クイーンのガイドだとか、あるいはウルトラマンの全紹介だとかだ。たいていは主人公(ヒーロー)に焦点を当てて書かれている場合がほとんどだ。ところが今回は、なんと歴代ウルトラマン(ウルトラ兄弟と言ったほうがいいか)の永遠のライバルである「バルタン星人」にフォーカスが当てられているのだ。

 なにしろ初代ウルトラマンの最初の方の回で、バルタン星人は僕らウルトラ世代にとって決定的な位置を獲得してしまった。あれから40年は経とうとしているのに、その後のウルトラ世代にとってもバルタン星人は大きな位置を占めてしまったようだ。本当に歴史というのは面白い。

 本をパラパラとめくると、バルタン星人は6代目(7代目?)を数えるらしい。僕の記憶としては「ウルトラマン」で2代目まで出た。いや、メフィラス星人の回の出演を一回と見なすならば、そこで3代目なのだが、このムックではどうカウントしているか。「帰ってきたウルトラマン」でバルタン星人Jr.なるものが登場するが、あれも一代と数えるのだろうか。それと、本当に昆虫のようなエイリアンのような気色悪さを湛えて「ウルトラマングレード」のバルタン星人もいた。そのほかにどのシリーズで出たのか。ああ、「ウルトラマンメビウス」には各シリーズの有名怪獣や宇宙人が出ていたはずだから、当然ながらバルタン星人も登場していたに違いない。その回だけでも見たいものだ。

 昔、小学生の夏休みの自由課題で、方眼紙を使って全長40cmぐらいのバルタン星人を作って提出した記憶がある。フォルム自体は、その当時の「小学○○生」という雑誌に掲載されていた記事を参考に作ったのだが、できばえがとっても良くて、強烈に残る思い出となった。

 あぁ、読みたいなぁ。保存版にするために買って手元に置きたいのは山々だが、1260円もする。せめて、どちらかの図書館で蔵書にしてくれないかしら。
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2009年11月23日

「バリー・リンドン」を探して…

 平日にまでガチャガチャをやりたがる息子を我慢させ、やっとのことで迎えた週末。おまけに三連休。金曜の夜にはすっかり我慢しきれなくなった息子の「ガチャガチャやりたい」コールに押されて、ママは「明日パパとやってきなさい」と寝かしつけの際に約束してしまう。

 その翌日の土曜日。遅寝をしていた僕に息子の冷たい声が。「パパ、いつまで寝てるんですか。朝になったから起きなさい」。偉く元気が良い。こっちはまだ寝たりないと言うのに。平日より遅いが、いつもの週末よりは早く起きて、朝食。終わるとすかさずガチャガチャに行きたいとアピール。

 行き先は、南武線西国立駅の踏切向こうのブックストアいとうだ。ここは息子が幼い頃から連れてきたせいで、僕の趣味を満たす店というより、僕と息子の欲求を満たす多目的アミューズメントプレイスとなっている。息子の楽しみは、階段の踊り場と2Fに置かれたガチャガチャ、それにポケモンや戦隊ものの絵本、そして入口近くの置かれた駄菓子だ。僕の楽しみは、もちろん古本、そしてやはり駄菓子かな。

 まずはガチャガチャだが、踊り場のマシンのラインナップが変わって息子好みでなくなってしまったので、2Fに行ってカードが出てくるガチャガチャに息子の気に入ったものを見つけたので、なんとか望みを叶えてあげられた。脇にあった映画の輸入ポスターを見るともなくパラパラめくっていたら、「バリー・リンドン」のかなりモダンなポスターが現れた。なんと!シンクロニシティだ。先日の「笹塚日記」の記述と見事に同期している。

 次に絵本コーナーを見せている間に、僕はそっと文庫を物色。しようと思ったら息子に呼び出され、ゴーオンジャーの絵本とポケモン図鑑、しめて155円をチョイス。今日はなかなかいい獲物があった。

 次こそは息子に駄菓子を買いに行かせ、かごに絵本と駄菓子を入れてくるように指示して、その間にそそくさと文庫を物色。すると角川文庫で、ひょっとして「バリー・リンドン」は見あたらないものか探し出す。よくよく後で考えると、かつて出版された本が文庫であるとは限らない。間違えているとは気づかずに探しているうちに、ディケンズの「クリスマス・キャロル」に出くわす。

 そういえばブログ仲間が観たい映画にあげていたアニメが、この冬に上映される。ところが当の小説を僕はちゃんと読んだ事がなかった事に思い至る。棚を見ると2冊あり、いずれも100円で買える。かなりの年期物だ。さらに棚を追っていくと、おお、エラリー・クイーンの角川文庫シリーズが5冊ぐらい置かれていた。田村隆一訳の「Xの悲劇」などは他でも見かけるが、石川年訳の「ギリシア棺」や「エジプト十字架」それに「シャム双子」などが揃っているのは珍しい。思わず買いそろえたくなってしまったが、ここはぐっとこらえよう。

 当然ながら「バリー・リンドン」は見つからず、せかす息子をなだめながらも買う本がなかなか決まらず、結局「クリスマス・キャロル」1冊を手にして、駄菓子コーナーできなこ棒(五家宝のようにきなこでくるまれた棒のお菓子)をかごに追加してレジに持っていく。息子の駄菓子はチョコベビードーナツだ。これだけいろいろ買い込んで360円ぐらい。今日は結構いい買い物をした。店を出ると待ちきれず息子はドーナツを食べる。5つ入りで52円の駄菓子を僕ももらって、きなこ棒はそのまま家に持ち帰る事にした。

 さて、「バリー・リンドン」を読む機会はまだまだ来そうにないが、その夜にDVDレコーダーのEPG番組表をなにげなく見ていたら、NHK−BSで近々、キューブリックの名作「バリー・リンドン」を放映する。またしてもシンクロニシティだ。図書館の神様はやはりいるのかもしれない。さっそく録画予約をした。楽しみだ。
posted by アスラン at 02:20 | 東京 ☁ | Comment(2) | TrackBack(0) | あっ、これ読みたい | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月19日

バリー・リンドン サッカレ(角川書店)

 食欲の秋は実感していたが、なんとなく本を読むスピードが早くなって読む負荷も軽くなってきたのにようやく気づいて、読書の秋を実感しだした。そこで、中断していた目黒考二「笹塚日記」を一歩進めようと、第3巻の〈うたた寝篇〉に取りかかっている。

 サクサク読める。気分がいい。オマケに内容も読書好きにはたまらない。さらに目黒さんの生き方そのものも、お気楽をよそおっていながらも本に対する愛情があふれていて安心できる一冊だ。

 と言っても読んだ本のタイトルは出てくるが、内容や感想が書かれることは滅多にないので、こちらが引っかかりを求めて読み流していくことになる。と、気になる記述を見つけた。サッカレーの「バリー・リンドン」を読了しているのだ。サッカレーと言うと、あの「虚栄の市」、バニティー・フェアのサッカレーだ。したり顔で話しているが、読んだことはない。北村薫の「町の灯」で、この小説と主人公の話が出てくるのだ。そして、北村薫の小説の登場人物がベッキーさんと名付けられるのも、このサッカレーの「虚栄の市」の主人公にちなんだものであると書かれている。僕とサッカレーのつながりは、それだけだ。

 ところが、「バリー・リンドン」の作者となると話が違う。このタイトルはスタンリー・キューブリックの映画と同じではないか。あの映画の原作が、やはり同名の小説だったのか。あの超大作をパルテノン多摩の大ホールで、オールナイトで観た思い出がよみがえってくる。

 そうとなれば、サッカレーの小説を初体験は「虚栄の市」ではなく、この「バリー・リンドン」にしよう。さっそく立川の図書館で検索してみたが、ヒットせず。あれ?ならば川崎の図書館でならばあるだろうと試してみると、同じくヒットしない。サッカレーで検索すると、かつてはディケンズと並び称されるほどに人気を博したという大作家にも関わらず、日本ではあまり読まれていないようだ。あまりにも蔵書が少ない。

 ならばと、ウェブで検索する。すると一番に出てきたのは「復刊ドットコム」の投票一覧だった。角川書店からかつては出版されていたらしい。この本に対して39票が集まっている。100票集まらないと、出版社への交渉も動かないから、まだまだ先はながそうだ。あぁ、読みたいなぁ。
posted by アスラン at 12:28 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | あっ、これ読みたい | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月17日

講談社文庫「暗黒館の殺人(4)」を買えってことか?!

 気になってる事が…。会社の行き帰りにちょくちょく立ち寄る古本屋の105円コーナーに、最近、綾辻行人の文庫が大量に放出されている。館シリーズがひととおり出ていて、あぁ、なるほど。「新装版」が続々と出版されているから、ファンが買い直そうとでもしているのかなと思ったが、どうも綺麗なまま処分してるようでもある。

 極めつけが「暗黒館の殺人」だ。この、館シリーズの中でも最長最大の大作は、文庫化されたときに全4巻になってしまった。その1〜3巻までがなんと105円になって棚に置かれた。手にとってみると、ほぼ新品同様で綺麗だ。420円で「暗黒館」が読めるんだと、思わず色めきだったが、最終巻だけはない。なんだ、これって315円+700円だして、完読しろってことか。それはあんまりお得じゃないなぁ。でも切り離して考えると315円で三冊は安いなぁ、惜しいなぁ。

 などと書棚を見ては残念がってはいるが、一番残念なのは、やはり自宅の書棚に新品同様のノベルス版の上下が収まっている事なのだ。やっぱり、ノベルスで読まないで文庫版を買っちゃうなんて不毛だよな。さっさと読まねば。
posted by アスラン at 19:26 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | あっ、これ読みたい | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月16日

ほぼ日手帳公式ガイドブック−あなたといっしょに、手帳が育つ。−(マガジンハウス、2008年)

 またまた、「あっ、これ(本)読みたい」というより、「これ(手帳)ほしい」なんだけど、とりあえず本も読みたいので、このカテゴリで紹介しよう。

 映画館がよいをしていた頃は、映画のスケジュールや、見てきた映画の感想をメモする必要があったので、必ず手帳を買い求めていた。僕のお気に入りは、一ヶ月のスケジュールが見開きに収まっているやつで、縦罫と横罫で曜日別に立て積みされているフォーマットが好きだ。あとはメモできるページがあれば、なんでもいい。いや、やはり洒落てプライベートで楽しめるのがいい。

 そのうち、趣味が高じてワープロを使って手帳を自前で作っていた時期もあったが、すぐにそんな余裕もなくなった。結婚して育児に追われて、手帳を用意してわざわざスケジュール管理する必要もなくなった。スケジュールという点では携帯でダウンロードしたアプリで十分だ。あとは日々の日記だが、こちらはもっぱらアピカという会社が作っている「パーソナル」というノートを使っている。これはなんと紙が100年保つと謳われている。僕の場合、日記だけでなく書評や様々なデータを書き込んでいるから、この方がずいぶん自由がきくので重宝している。

 でも書店や文房具売り場でたくさんの手帳が並ぶ季節になると、その綺麗なデザインに惹かれて手にとって見たくなる。その中で、立川のオリオン書房では手帳コーナーとともに、「ほぼ日手帳公式ガイドブック」なるものが置かれていて、初めて「ほぼ日手帳」の存在を知った。知ったのはいいが現物は置かれていない。一度お目にかかりたいものだと思って、それからというもの手帳が置かれている店舗では必ずざっと見渡す事にしたが、一度も遭遇しない。

 ところが、ようやくルミネのロフトでロフト限定という「ほぼ日手帳」を見つけた。あとでウェブでも確認したが、店舗売りはロフトなど一部に限定されているようだ。まず値段を見てびっくり。3900円もするんだ。なんでそんなにするの?見た目が綺麗な装幀だからだろうか?中を見て、もう一度びっくり。1ページが1日分の割当てになって365日の日付入りのダイアリーになっている。それとカレンダー部分は僕の好きな見開き1ヶ月のタイプになっていた。

 なるほど、すごく合理的で判りやすいかもしれない。1日のページに自由にレイアウトを決めて、好きな事を書く。ある人は日記かもしれないし、ある人はスケジュールと計画で埋まるかもしれない。それと日々気づいた事などをずんずんメモっていくのもいいかもしれない。1ページという分量は、僕のように文字をたくさん書き込む人間には少ないようにも思えるが、毎日だと書かない日も出てしまうから、平均として1ページ分という定型が用意されていた方がいいのかもしれない。

 それにしても3900円かぁ。買えないなぁ。一つ前の記事で「大人の科学 二眼レフカメラ」2500円でさえ悩んでるのに。この手帳を買うのはなぁ。誕生日プレゼントに買ってもらうという手もあるが、僕の誕生日は来年の1月なんだよねぇ。前倒しで買ってもらわないと、もったいない。

 悩む理由はもう一つあって、この書式をまねて今使ってる「パーソナル」にどんどん毎日の日付を入れてスペースをとって書き込んでいけば、それでいいんじゃないかなぁとも思い出した。要は俳句の五・七・五のようなもので、約束事を守って書きすぎなければいいんだよねぇ。それとも、もっとこの手帳には秘密があるんだろうか?

 それには、この公式ガイドブックを読んでみないとわからない。でもいまだに川崎図書館で20人以上待ってるんだよね。仕方がないので、

ほぼ日手帳の秘密 2007−14万人が使って、14万人がつくる手帳。−


の方を借りて読む事にしました。こちらならば立川図書館ですぐに借りられそうだ。

 でも借りてはまっちゃったらどうしよう。やっぱりプレゼントとしておねだりしようかなぁ。
posted by アスラン at 19:41 | 東京 ☁ | Comment(2) | TrackBack(0) | あっ、これ読みたい | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月13日

大人の科学マガジン Vol.25(二眼レフカメラ) (Gakken Mook)

 「あっ、これ読みたい!」というより「これ欲しい!」なんだけれど、一応書籍扱いなので、このカテゴリで紹介しよう。

 かつて小学生の頃には、学校校内で業者が売りに来ていた「科学と学習」を購入していた世代なので、「大人の科学マガジン」はずっと関心を持ち続けてはいるのだが、何せ一冊が2000〜2500円もするので、なかなか手が出ない。

 最近古本屋で「プラネタリウム」が付録だったムックだけが100円で売られていた。なるほど。あれは付録がなければ、これほどの価値しかないんだ。とパラパラめくったら、プラネタリウムの作り方や鳥形の飛行機を作るための紙型なども含まれていて、十分楽しめそうだった。ちょっと躊躇したために売れてしまったようで、とっても後悔した。

 プラネタリウムもテルミンもガリレオ望遠鏡も欲しかったには欲しかったのだが、なんとか見て見ぬふりすることができた。でも、今回の「二眼レフカメラ」は無視することができない。欲しいなぁ〜。

 例の「仮面ライダーディケイド」の主人公が二眼レフを持ち歩いていたのも、やや影響してる。その前に、あの持ち歩いていた赤い二眼レフをソニープラザだったかロフトで見かけていて、魅力をインプリントされていたからかもしれない。

 アスキーの記事で、「銀塩フィルムで撮るカメラなど今時誰が買うか」などとお門違いの意見を書いていたらしいが、わざわざ「銀塩フィルム」などと言うから、市販のフィルムでは写せないのかと思った。ちゃんと市販のフィルムで撮れるじゃないか。しかも、銀塩フィルムを取り扱う現像所が少なくなっていると、わけの判らないいちゃもんをつけているが、まだまだカメラ付きフィルムの需要はあるはず。おばちゃんや家族連れ、普段そんなには撮らないけれど観光地を旅したときくらいは写真を撮りたいという人にとって、デジカメがどうのデジイチがどうのとトレンドを追う事ばかり言う記者の話などまともに読めやしない。

 なによりも、この二眼レフを欲しがる人の多くは「付録」として欲しがるんですよ、ふ・ろ・く。付録が立派に機能して楽しめる。その遊び感覚を抜きにして「今時、銀塩フィルムが…」なんて馬鹿げた話を書くヤツは「豆腐の角に頭をぶつけて…」。言わずともわかりますよね。

 欲しい、ほしい。息子みたいに駄々をこねてしまった。なんとこのサイトで3年間でチリツモで貯まったアマゾンの報酬が、ようやくクーポンになって届いた。足りない部分は自前で出して、買っちゃっていいかなぁ。
posted by アスラン at 13:08 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | あっ、これ読みたい | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月03日

キムラ弁護士、ミステリーにケンカを売る 木村晋介(筑摩書房、2007年)

 今回は「あ!これ読みたい」ではなく「これ読みたくない」本の紹介なのだ。困ってしまうのは、「読みたくない」と言って紹介すると、結局は物見高い人たちの「読みたい」という好奇心に火をつけてしまうかもしれないという点だ。

 「本の雑誌」最新号を書店でパラパラと立ち読みしたら、キムラ弁護士がコラムを書いていた。それはいつものことなのだけれど、なんとミステリーの書評だった。確かこの人は本を読まない人じゃなかったっけ?と思ったら、有名なミステリーに噛みついている文章だった。弁護士という専門家が、そんな身も蓋もない事をしてどうするんだとは思ったが、未読のミステリーに関する毒舌だったので、興味なくさっさととばした。

 次に、いわゆる〈本の本〉の棚を眺めていたら、まさにシンクロニシティではないか。本書が目にとまった。すでに一冊の本になるまでにミステリーに噛みつき続けてきたようだ。目次を読むと、あるわあるわ、本当に名作と言われる作品を多数とりあげている。クリスティは「そして誰もいなくなった」「オリエント急行殺人事件」に噛みつき、なんとクイーンの「Xの悲劇」にまで噛みついている。

 さすがにちょっと惹かれてクイーンのページを読むと、クイーンに噛みつく事がミステリーファンにとってはどんなにおおごとなのかを知らぬ顔で「どうやらたいへんなことらしい」と半ば呆れてみせる。肝心の推理については、本に書かれた事だけで犯人を特定するのは、「専門家(警察や司法関係者)と言えどもムリ」と、名探偵の推理を一蹴し、さらには犯人のメイントリック(ネタバレになるので、詳しくは書かない)を警察は何故見破れないのか、そんなことはあり得ないと切り捨てる。

 べつに僕の好きなクイーン作品や、クリスティの中で僕のお気に入りの「そして誰もいなくなった」に噛みついたところで、人それぞれの意見なのだから気にするまでもない。ただ、はじめから「ケンカを売る」ために書いている姿勢には感心しない。本に愛情がない以上は、最初から読まねばいいし、読んだところで書かねばいいのだ。

 僕がかなり違和感を感じたのは、ミステリーの世界と現実の捜査とを比較して、あれはおかしい、これはだめだと貶めているところだ。専門家の目から見れば、ミステリーのストーリー展開はありえない事だらけだろう。しかし、そもそもが現実ではありえない事件を扱う点にミステリーファンの関心があるわけだから、「解決があり得ない」などと作品の一部分を拡大してあら探しする事に意味があるとは思えない。

 「事実は小説より奇なり」という事も世間にはあるだろうが、たいていの事件では、あり得ることがおこり、あり得る捜査が行われ、あり得る犯人、あり得る動機、あり得る犯行が見出されるだけだ。そこを基準にして専門家(弁護士)が「(ミステリーは)あり得ない」と噛みつくことに、僕は「(そんなケンカの売り方は)あり得ない」と噛みつくことになる。

 社会派と言われた松本清張や、その系譜に連なる作家(たとえば高村薫など)の作品にしたところで、どんなに「あり得る事件」を緻密に書き込んでいたとしても、最後まで「あり得る」で通したらミステリーとしては詰まらない。どこかで読者があっと驚くような「あり得ない」が隠されていてこそ、ミステリーを読む甲斐があるというものだ。

 とは言え、本書のように専門家から理路整然とミステリーの欠点をあげつらわれると、こちらの分が悪い。なんとか気持ちが落ち着ける言い分はないものかとずっと考えていたら、まさにそれにふさわしい文章を見つけてしまった。「赤い館の秘密」のA.A.ミルンの冒頭の一節だ。ミルンは専門(児童文学)外のミステリーを書くにあたって、自分の好みを開陳している。

 探偵そのものについていえば、まず第一に、探偵はしろうと探偵であって貰いたい。…(中略)…科学的な探偵と称するあの顕微鏡を持った男などさっさと消えうせてしまえ!世の有名な先生が殺人犯の残して行ったこまかいゴミを検査して、犯人は醸造所と製粉所との間に住んでいるという判断をくだしたにしても、いったいなにほどのことがあるというのか?…それがどれだけ面白いというのか?(A.A.ミルン「赤い館の秘密」(創元推理文庫))


 そうです。名探偵ポアロやドルリー・レーンが、あなたのようになって、あなたのように事件に噛みついていたら、どれほど面白いと言うのでしょうか、キムラさん。あー、すっきりした。
posted by アスラン at 02:26 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | あっ、これ読みたい | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月08日

角川ソフィア文庫「仰臥漫録」出版は大事件だ!

 正岡子規の随筆で何より有名なのは「墨汁一滴」や「病床六尺」などの晩年の作品だろう。それに対して本書はいわば子規個人の日記なので、「読んではいけない秘密事項を読むことに痛みを感じる」と解説で嵐山光三郎は書いている。そうか、迂闊にも他の随筆との区別がついてなかった。なにしろ、岩波文庫から出ている子規の随筆には中味の違いが装丁に表現されていないから。岩波の素っ気なさは今に始まったことではない。
 今回の出版では表紙に子規の自画像が配され、中をみると子規の書いた写生がふんだんに挿入されて、読者を楽しませてくれる。

 おまけに解説がさっき触れたとおり、嵐山光三郎だ。芭蕉を悪党呼ばわりした彼が、芭蕉を批判しつくした先人・正岡子規をどう偏愛しているかも興味深い。

これは、大事件でしょう!
posted by アスラン at 13:19 | 東京 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | あっ、これ読みたい | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月21日

この夏、「邪魅の雫」に追いつくか

 この夏に入る前についにおそれてた文庫が出版されてしまった。京極堂シリーズ最新作「邪魅の雫」の文庫版だ。もちろん最近は同時刊行の分冊文庫(上中下)も出てしまった。なぜこれをおそれていたか。ファンならば予想はつくと思うが、手元にノベルス版があるからだ。そしてこれまた予想どおりだが、未読なのだ。

 このノベルス版は古本屋でわりとリーズナブルな値段で当時手に入れた。当時というのが、ノベルス版として久しぶりの最新作が出て長年のファンを喜ばせてくれてから、おそらく半年ほどたってからだったと思う。古本屋で半額程度には下がっていたので嬉々として買い込んだのだ。

 ところが非常にまずいことに、僕のシリーズへの熱意は「塗仏の宴」の2巻を読破した後で、迷走しはじめてしまったのだ。本来ならば 「陰摩羅鬼(おんもらき)の瑕」を読むべきだったのだが、「陰摩羅鬼」いまだ文庫が未発売の時期だったので、ちょっと躊躇してしまった。それに、最近流行の用語になってしまったスピンオフ作品である短編集も一冊も読んでない。そこで、ここはひとまず「百鬼夜行 陰」を読むことにしよう。

 するととんでもないことに気づくことになった。この短編集はたんなるスピンオフではなく、これまで京極堂シリーズに登場した主人公以外の人々に焦点を当てた作品になっている。すなわち本編を読むとたんなる使い捨てのわき役にすぎないと思っていたのが、急に主役に抜擢されたようなものだ。ところが残念なことに、それぞれの作品があれほどの分量からなり、その上に登場人物がそれぞれの作品ごとに多い。その上、本編ではただの端役にすぎない。それをいまさら思い出すのは至難の業だった。読んでいて、あの作品に出ていたような気がするというくらいの記憶しかない。本編と照らしあわせれば思い出すかもしれないが、それにはまた最初からそれぞれの作品を一通りのぞかねばならないだろう。それは大変だ。いや、ほんとうに大変なのだろうか。

 こんな趣向があるとは思わなかったから、端役に注意を払ってこなかったが、もう一度読み返して、端役の登場人物といえどもおろそかにしないで記憶につなぎ止めておけば、再度スピンオフ短編集を読む際に、もっと楽しめるのではないか。いや、そもそも、このシリーズ作品は、後発の作品に必ず先発の作品の引用があったり、人物が再登場したりするのではなかったか。ならば、その意味でも、ここで最初から読み返すのはいい考えだ。

 そこから、じっくりと読み返すために文庫版を一通りそろえることに決めた。今でこそ、箱本がごろごろとブックオフの棚にころがっているが、これを思いついた頃はなかなか全部をそろえるのは骨がいった。しかもできるだけやすく手に入れたいし。ぼちぼち町の古本屋やチェーン店をのぞきまわって、買いそろえた。その間に、ノベルス版「邪魅の雫」が出て、ついには文庫版「おんもらきのきず」が出てしまい、こちらはたぶん大枚はたいて新刊を買ってしまった。というわけで最新刊まで箱本が全部そろったわけだ。

 と思いきや、またまた現在の最新作「邪魅の雫」が文庫になってしまった。ここはどうしても本腰を入れて、最新作に追いつかねばならない。ついせんだって、「狂骨の夢」「鉄鼠の檻」まで読破した。今は忙しい読書計画の隙間に「絡新婦の理」を入れて読んでいる。この夏に、いったい「邪魅」まで追いつくことができるだろうか。あとは、
「絡新婦の理」
「塗仏の宴 宴の支度」
「塗仏の宴 宴の始末」
「陰摩羅鬼の瑕」
そして
「邪魅の雫」

あと5冊もあるのかぁ、がんばれ。
いや、スピンオフ短編集を忘れてた。
どうやら「陰摩羅鬼」の前に
「百鬼夜行 陰」

を入れれば、京極堂シリーズとしては収まりがいいようだ。あと6冊、気合い入れてけぇ〜。
posted by アスラン at 13:00 | 東京 ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | あっ、これ読みたい | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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