カテゴリ記事リスト
「キャリア・ガールズ」「金田一少年の事件簿・上海魚人伝説」(1998年1月2日(金))(02/26)
「いますぐ抱きしめたい」「キッチン」(1998年1月4日(日))(02/17)
「タイタニック」(1998年1月6日(火))(02/10)
「エアフォース・ワン」「ラブ&ポップ」「CURE/キュア」(1998年1月10日(土))(02/04)
「この森で、天使はバスを降りた」(1998年1月15日(木)成人の日)(01/28)
「HANA-BI」「マッド・ドックス」(1998年1月25日(日))(01/22)
「フラバー」(1998年1月27日(火))(01/17)
「カルラの歌」「スリング・ブレイド」(1998年1月31日(土))(12/24)
「草原とボタン」(1998年2月1日(日))(12/14)
「ポネット」「G.I.ジェーン」(1998年2月2日(月))(12/04)
「ゲーム」「チャイニーズ・ボックス」(1998年2月7日(土))(11/19)
「ラブ・ソング」(1998年2月8日(日))(11/11)
「緑の街」(1998年2月11日(水)建国記念日)(10/30)
「ハムレット」「ユキエ」(1998年2月14日(土))(10/12)
「トゥー・デイズ」「スポーン」(1998年2月15日(日))(09/17)
「ジャンク・メール」「アートフル・ドヂャース」(1998年2月22日(日))(09/04)
「素襖落(すおうおとし)」「バタフライ・キス」(1998年5月3日(日))(08/26)
「ピースメーカー」「フェイス/オフ」(1998年2月28日(土))(08/25)
「川のうつろい」(1998年3月1日(日))(08/20)
「アミスタッド」(1998年3月2日(月))(08/13)

2007年02月26日

「キャリア・ガールズ」「金田一少年の事件簿・上海魚人伝説」(1998年1月2日(金))

 明けて1998年最初の映画はシャンテシネの「キャリア・ガールズ」(no.2)

 これまたイギリス映画だ。昨年末からイギリス映画の奥の深さに圧倒されっぱなしだ。

 タイトルの「キャリア」には二つの意味がある。

 文字通りの意味の二人のキャリアガールが10年ぶりに再会する。再会したてはぎこちない二人だったが、過去の思い出が蘇ってくるにしたがって打解けていく。

 描かれる彼女らの学生時代の共同生活はみじめったらしく悲しい。自分がかたまってなくてコンプレックスばかり。それでもお互いがいたから今の自分がある。言わば人生のキャリアを重ねて自分を探して来た。その意味でもキャリアガールなのだ。

 今の自分たちも決して明るいとはいえないが、前向きに生きている。それだけでも二人の未来は明るい。

 日比谷映画で「金田一少年の事件簿・上海魚人伝説」(no.1)を観る。

 奇しくも向いの宝塚劇場では、劇場サヨナラ記念公演でキンキ・キッズのコンサートで人がごった返していた。

 このシリーズもこの映画で完結らしいが、テレビシリーズが醸していたB級の派手さとあざとさが見られず、映画向けにちんまりまとまってしまっている。

 犯人やトリックの意外性もとってつけたようで、それこそ「じっちゃんが泣くぞ」と言いたくなる

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2007年02月17日

「いますぐ抱きしめたい」「キッチン」(1998年1月4日(日))

 ユーロスペースで「いますぐ抱きしめたい」(no.4)を観る。

 今を時めくウォン・カーウァイのデビュー作。

 香港映画ではよくあるチンピラヤクザのラブストーリーで内容自体はとりたてて観るべきものはない。それよりファーストシーンのテレビのブラウン管に反射される曇り空に流れる雲や、スピーディなバイオレンスシーンに挿入されるスローモーションなど、現在の彼の映像手法につながる映像表現を観ればいい。

 シネ・アミューズで「キッチン」(no.3)を観る。

 吉本ばなな原作で、かつて森田芳光も映画化した。今度は香港映画でヒロインのみかげ(こちらではマギー)を富田靖子が演じている。

 森田の方はほぼ原作どおりだったが、こちらはセリフはすべてオリジナル、設定もかなり変っている。ただ心の奥底で求め合う人間の寂しさと優しさといったテーマだけが同じだ。

 後半は(原作で言うと「キッチン2 満月」になってからは)ぐっと良くなるが、前半は退屈だし話が奇妙すぎる

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2007年02月10日

「タイタニック」(1998年1月6日(火))

 1:00頃に私用が終って神楽坂で昼食。その後有楽町に出て「タイタニック」(no.5)を観る。

 混雑を避けて平日を狙ったがマリオンは既に立ち見。向いのニューシネマ東宝でもやっているとのことであわてて移動して観る。

 全体としてはまあまあの出来。やはりラブストーリーを重視した結果、タイタニック事件そのものを描き切れなかった恨みが残る。そのうえダイヤにまつわるエピソードや、それを引き上げようとする現代のトレジャーハンターのパートは舌足らずでさしみのツマにもなっていない。

 特に問題なのは、前半はラブ・ストーリーで後半は「ポセイドン・アドベンチャー」を思わせるようなパニック映画と、監督の興味が移ってしまい、おのずと観客の興味も二分されてしまうところだ。つまりラブ・ストーリーに感情移入している人間には、後半のパニックぶりは過剰な映像・過剰な演出で一気に興ざめする。逆に後半のCGを駆使したパニックものに興味を合わせると、前半のラブ・ストーリーは停滞しているとも思えるだろう。

 僕としてはラブ・ストーリーの前半は及第点。後半でケチがついた。とにもかくにも、僕の前の列の女性のように、しゃくりあげて泣くほどの映画ではない。

 タイタニックは沈み過去の遺物となった。現代のビデオカメラが映し出す海底のタイタニックに、当時のタイタニックと人々がオーバーラップし、ケイト・ウィンスレットとディカプリオが楽しそうに踊りながら再開(回想)するエンディングは素敵な演出だ

 それにしても3時間14分は長すぎる

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2007年02月04日

「エアフォース・ワン」「ラブ&ポップ」「CURE/キュア」(1998年1月10日(土))

  スカラ座で「エアフォース・ワン」(no.8)を観る。

 アメリカ合衆国大統領をこれ以上の適役はないと言えるハリソン・フォードが演じている。

 テロリストにハイジャックされた大統領機エアフォース・ワンから大統領をいかに救い出すかという難題を大統領自身が立ち回って解決するという非常に明快なストーリにしているところがミソ。一見ストーリは単純だが、機内という限られた空間を観客にいかに観せていくかとか、大統領がいかに機転を効かせて事態を収拾していくか等、見どころは一杯ある。

 「レオン」のゲイリー・オールドマンの信念を貫くテロリスト役も、ハリソン・フォードに負けず劣らずの適役だ。



 銀座シャンゼリゼで「ラブ&ポップ」(no.7)を観る。

 今日が初日。庵野秀明監督作品。やはり学生らしい男が多い。

 上映を待つ間に場内はアニメおたくっぽい会話が飛び交う。映画が始まっても時折失笑が起こる。どういう時かというと例えばヒロインの女の子が心の中のもうひとりの自分と対話するシークエンスで、映像はなく字幕が出てそれに音声がかぶる。言うまでもなくエヴァンゲリオンで使われた手法だ。

 彼等は映画を期待して見に来てはいないようだ。私はと言えば、ラストを除いてほぼ全編ビデオ撮りしてからフィルムにおこすやり方をとっているのが納得がいかなかった。リアルさを出したり無気質な映像を作ったりするのに一部ビデオで撮るというのはいいと思うけど。

 それと村上龍の原作そのままのセリフと思えるところと、エヴァそのもののような庵野オリジナルのセリフとがはっきり区別できるようなアンバランスが感じられた。

 東劇で「CURE/キュア」(no.6)を観る。

 頚動脈を左右X型に切るという殺人が連続で起きる。いずれも身近の普通の人が動機もなく殺している。犯人どうしに何の関連もない。

 実は萩原聖人扮する心理学専攻の元大学生が暗示をかけていた。役所広司扮する本庁の刑事が追い詰めていくが、やがて自らも犯人に魅入られていく。

 暗示をかけられた人々がいつもと何も変らない日常生活の中で突然何の前触れもなく人を殺すシーンがなかなか怖い。ただ犯人について何も明かにされず、ほとんどの謎が解決されずに終るのは観る者にかなり不満を残すところだろう。

 唯一、刑事の友人の精神科医が「彼(犯人)は伝道師なのかも知れない」という謎はラストのワン・ショットで明かされる。このラストの怖さもじわーっとくる。

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2007年01月28日

「この森で、天使はバスを降りた」(1998年1月15日(木)成人の日)

 深夜から雪が降り続け、8日に引き続き大雪の一日。祝日だが、こういう日は空いているだろうなと思ったら、つい出かけてしまった。

 シャンテ・シネで「この森で、天使はバスを降りた」(no.11)を観る。

 初日だがやはり雪で6、7分の入り。

 刑務所を出所して田舎町の小さなレストランで働くパーシー。よそものが来た事で町は動揺する。彼女は暴力を振るう夫を殺した罪で刑務所に入っていた。その時おなかにいた子供も夫の暴力がもとで流産していて深い心の傷を負っている。

 レストランには偏屈でガンコな老婦人が一人で切り盛りしている。彼女もベトナムで失った息子について隠された心の傷を持っている。

 彼女たちはお互いに徐々に心を開いていくが、婦人の甥の心ない行為に阻まれて悲劇が訪れる。しかしそれをきっかけに町中の人々がパーシーの優しさに気づく。

 一種の癒し(ヒーリング)の映画。内容もいいし出演者もいいし田舎町の風景もいいがストーリーの語り口がよくないし、見せ場の作り方がうまくない

 泣きたくても今一つ泣けない。ロバート・ベントンにぜひ撮らせたかった

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2007年01月22日

「HANA-BI」「マッド・ドックス」(1998年1月25日(日))

 銀座テアトル西友に朝一番で「HANA-BI」(no.13)を観に行く。

 30分前に着いたので行列は出来ていなかった。座れたので安心するとともにちょっと残念。賞もとって前評判も高いのだからもっと若い連中が来てもいいのに。もちろん最終的には立ち見になったけれど。

 タイトルの「花」は色鮮やかな生を、「火」は暴力的な死を象徴している。

 その名の通り刑事を辞めざるを得なくなった二人の男が、一方は半身不随の体を持て余しながらも絵を描く事で生きていく事を決意し、一方は不治の病で先のない妻と終焉の場所を求めて旅を続ける。その対比がくっきりと描き出されていて素晴らしい

 特に大杉漣扮する元刑事が、一度は自殺までしながらふと立ち止まった花屋で買い求めた「花」をモチーフにして自らの殺伐とした心象風景をひたすら描き続ける。やがて心の底から静かに湧きあがるように生きたいと願うまでの描き方が感動的だ。

 食事後、恵比寿に移動。恵比寿ガーデンシネマで「マッド・ドックス」(no.12)を観る。

 ギャングの大ボスが精神病院から戻ってくる。彼のいない間に好き勝手やっていた子分やライバルたちは戦々恐々として彼を待ち受ける。ギャング映画だけれどブラックユーモアが強いコメディになっている。

 ギャングのボスがあのリチャード・ドレイファスだし、ボスの女に手を出してしまった男にジェフ・ゴールドブラムだ。その他出てくる人がアクの強い個性派俳優ばかり。

 ストーリやカメラワークはちょっと誇張がすぎるが、昔のハリウッド映画のようで面白い

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2007年01月17日

「フラバー」(1998年1月27日(火))

 さくらカードの試写会が当って、有楽町よみうりホールで「フラバー」(no.14)を観る。

 天才発明家である大学教授が、弾力性にすぐれ自由に変形出来るフラバー(フライング・ラバーの略)を発明し、経営不振の大学の危機を救う。

 一言で「子供向け映画」だ。発明に夢中で恋人との結婚を3度もすっぽかす大学教授をロビン・ウィリアムスが演じている。こういう役は彼のはまり役だ。予算の都合なのか「フラバー」そのものが踊り出したり動くシーンは全体からすると少ない感じがした。

カチンコ
 ディズニー映画という事で子供向けと割り切るしかないが、いやに設定も展開も古くさい。と思ったら1961年の「うっかり博士の大発明 フラバァ」をリメイクしたものだそうだ。当時は大ヒットしたらしい。「メリー・ポピンズ」と同じ監督だというから、ファンタジーものがお得意だったようだ。

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2006年12月24日

「カルラの歌」「スリング・ブレイド」(1998年1月31日(土))

 新宿のシネマスクエア東急で「カルラの歌」(no.16)を観る。

 ロンドンの2階建てバスの運転手ジョージは、無賃乗車を車掌に問い詰められた女性を逃がしてやる。彼女カルラは内戦の続くニカラグアで恋人が傷つき別れ別れになっている。ジョージとカルラは親しくなるが、彼女は心の傷が癒えていない。そして元恋人を探すために二人はニカラグアに旅立つ。

 ジョージ役に「フル・モンティ」ロバート・カーライル。一見さえないあんちゃんだが、なにげない優しさがにじみ出てくる良い顔をしている。

 ケン・ローチ監督の骨太の演出でぐいぐい観せてくれるが、スコット・グレン扮する元CIAの設定はとってつけたようで納得がいかない。

 恵比寿ガーデンシネマで「スリング・ブレイド」(no.15)を観る。

 幼い頃、母親と不倫の相手とを鉈(スリング・ブレイド)で殺害して精神病院に収容されたカールは25年後に退院する。

 病院で穏やかな日々を過ごした彼は病院以外行く所がないが、知り合った少年フランクの家のガレージにすまわせてもらう。父の面影を求めて慕ってくるフランクと心を通いあわせるが、母親の恋人がひどい男でフランクやその母に暴力を振るうのを見兼ねて再び殺人を犯して病院に戻る。

 心の純粋さゆえに人を殺すクライマックスの緊張感、そして再び病院の単調で穏やかな日々。しかし窓の外を見つめる彼の心には、以前にはないあの親子の姿が刻まれている筈だ

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2006年12月14日

「草原とボタン」(1998年2月1日(日))

 「グループ満点の星」の芝居が終ってから、シネスイッチ銀座で「草原とボタン」(no.17)を観る。

 橋を隔てて隣り町どうしの子供たちの、毎日毎日繰り返される戦争(ケンカ)を描いている。

 捕虜となった子供からはボタンを奪い合うようになり、次第にあの手この手の戦略を用いて、ボタン戦争はエスカレートしてゆく。舞台となるアイルランドの自然と田舎町の風景、それに子供たちののびやかさが楽しく描かれている。

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2006年12月04日

「ポネット」「G.I.ジェーン」(1998年2月2日(月))

 神田で昼食後、渋谷に出てル・シネマで「ポネット」(no.19)を観る。

 交通事故で母親を亡くした幼いポネットは、その事が信じられず迎えに来るのをひたすら待ち続けて周囲を困惑させる。この手の話は少々退屈で、実はほとんどうつらうつらして面白さが最後までわからなかった。

 ラストで母親がさよならを言いに現れる奇跡が起こるのだが、どうしてもそういうシーンが必要なのか納得がいかなかった。

 キアロスタミの「桜桃の味」を引き続き観ようとユーロスペースに行ったが、上映開始間際で行列が出来ていたので断念。

 渋谷ジョイシネマで「G.I.ジェーン」(no.18)を観る。

 デミー・ムーア扮する海軍将校が、女性差別撤廃を求める女性上院議員の野望から海兵隊でもっとも過酷な訓練に参加する事になり、やり遂げるまでを描く。

 とにかくあまりにむちゃくちゃな訓練で会場からは笑いさえおこるのだが、丸坊主になってまで頑張るジェーンに次第に感情移入するようになってしまう。ただ終盤、訓練終了後に実戦になり不測の事態を解決するという流れになると、これは「トップガン」そのものでちょっと興ざめ

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2006年11月19日

「ゲーム」「チャイニーズ・ボックス」(1998年2月7日(土))

 日比谷映画で「ゲーム」(no.21)を観る。

 初日とあって初回(10;00)から結構入っている。

 デビッド・フィンチャー監督の前作「セブン」は内容も映像もともに暗く、後味の悪さから僕にとっては2度と観たくない映画だったが、「ゲーム」は内容がすっきりして好感がもてた。映像は相変らず演出過多のきらいがあるが、まあよくまとまっている。

 ただエンディングは前半あれだけ引張っておいておきながらという感じがして、少々消化不良気味

 シネスイッチ銀座で「チャイニーズ・ボックス」(no.20)を観る。

 「スモーク」ウェイン・ワン監督作品。

 中国返還直前の香港の混沌とした状況の中で、余命いくばくもないイギリス人ジャーナリスト(ジェレミー・アイアンズ)が自らの生きた証しを求めて街の風景をビデオで切り取っていく。

 香港返還とかぶさった主人公たちの話の意味が正直言ってよく分からなかったが、淀川さんの解説を後で読んで(聞いてか?)納得した。

 「(二人の男の間で)気持ちが決まらないコン・リー、不治の病でもう死ぬとわかったジェレミー・アイアンズ、出てくる人物みんなが、香港返還のムードを象徴している…。」

 それだから妙に重苦しい愛し方だったんだ。

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2006年11月11日

「ラブ・ソング」(1998年2月8日(日))

 シネセゾン渋谷で「ラブ・ソング」(no.22)を観る。

 「君さえいれば・金枝玉葉」のピータ・チャン監督の新作。

 久々に正統なラブストーリを見せつけられた。それも大陸(中国)の別の地域から香港にやってきた二人が、様々な障害をのりこえて最後にニューヨークで再会を果たす。

 ピータ・チャン独特のあか抜けた語り口も相変らずうまい。

 ラストで主人公の男(レオン・ライ)が香港に列車で到着するシーンが繰り返されるが10年前から二人は赤い糸で結ばれていた事がさりげなく明かされて感動的だ。

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2006年10月30日

「緑の街」(1998年2月11日(水)建国記念日)

 渋谷のシネ・アミューズで「緑の街」(no.23)を観る。

 小田和正監督の2作目だが、前作より出来は数段いい。

 今回も前作同様、思わせ振りなスローモーションや月並みな画面設定、過剰な演出など文句を言いたいところはたくさんある。けれど脚本作りに工夫の跡が見られ、実に映画的な場面がいくつかある

 例えば映画作りに息詰まった夏目(渡部篤郎)が助監督から

 「あなたがスタッフ皆を連れて船を出した。嘘でもいいからどこかに連れていってもらいたかった」

 と言われ、再び映画の完成を目指すべく奮起するシーンがいい。

 離れていったスタッフの心を繋ぎとめるため、絵コンテを入れた手紙をスタッフ全員に送る。絵コンテの表紙には帆を張った船がイラストされている。そして助監督の笑顔。言葉でなく目でわかる演出だ。

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2006年10月12日

「ハムレット」「ユキエ」(1998年2月14日(土))

 日比谷のみゆき座で「ハムレット」(no.25)を観る。

 4時間の大作で間に20分の休憩が入る。全席が日時指定の自由席という変則的な売り方なので一週間前に前売りを買っておいたが、いつも当日にその日見に行く映画を決めている僕としてはあまりうれしくない売り方だ。

 有名なハムレットの戯曲だが原作も読んでなければ舞台も見た事がなかったので、大変新鮮な気分で楽しめた。知らないなりに引用される事の多い有名なセリフ(「弱き者、汝の名は女」とか「生きるべきか、死ぬべきか」「尼寺へ行け」)がさりげなく出てくると、ケネス・ブラナーの演出がかなり現代的というか斬新だという事が分かる。

 「生きるべきか…」のくだりは鏡の前にハムレットを立たせ、自らの言葉に酔うかのように、それでいて不要な抑揚はつけずに言い放つ。しかも復讐の相手である国王が鏡越しにそれを見ている

 さすが映画にも精通しているブラナーだけあって単なる舞台の映画化でなく、見事に映像化に成功している。映像はオーソドックスに、演出は革新的に、という感じだ。

 シネスイッチ銀座で「ユキエ」(no.24)を観る。

 アメリカのルイジアナに暮す老夫婦の物語で、夫はアメリカ人で妻が日本人。その妻がアルツハイマーにかかり次第に重病になっていく過程を描いている。

 全編アメリカロケだが、監督は日本人、脚本は新藤兼人だ。

 これほど何も起らない映画も珍しい。何も起らないのに素晴らしい映画はたくさん観てきたが、この映画は本当に何も起らないのだ。確かに日本人妻の病状らしきものを描いてはいる。らしきものと敢えて言うのは、アルツハイマーという病気を本気で映し出そうという真剣さが画面から全く感じられないのと、老夫婦を含めて登場人物の描写がおざなりで単に脚本にある事をなぞっているだけだからだ。

 しかもユキエが故郷である萩を回想する場面ではモンタージュを多用しているが、意図が不明だし気取っていて不愉快だ。

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2006年09月17日

「トゥー・デイズ」「スポーン」(1998年2月15日(日))

 有楽町スバル座で「トゥー・デイズ」(no.27)を観る。

 何度か見た予告編で前々から観たいと思っていたが期待にたがわぬ出来。

 とにかく10人もの登場人物の設定がおもしろいし、それが一つの殺人事件を契機にして互いにかかわりあっていく偶然の描き方も楽しい。あんまり見事な脚本なので舞台劇なのかと思ったら、脚本兼監督がテレビ作品を手掛けてきた人だった。なるほどスピーディな演出はテレビで鍛えられたものだ。

 ハリウッドの裏側に当るヴァレーで暮す10人の人々。万年4位のオリンピック選手、落ちぶれた映画監督、ピザ屋になった元殺し屋、成り上がりで神経質な若きアートディーラー、そのわがままにひたすら耐える忠実な秘書、殺人課になりたくてしかたがない売春取締りの刑事。

 それぞれが胸に秘める挫折感が交差し、「2日間」で思わぬ方向へと彼等の運命を変えていく。

 松竹セントラルで「スポーン」(no.26)を観る。

 オープニングのタイトルロールが非常に凝っていて変っている。キャストなどの文字がラテン語風でところどころ滲んでいる。バックは紅蓮の炎に包まれて黙示録のような宗教画がフラッシュバックで映し出される。それにパンクロックの曲がかぶる。こけおどしとしてはまずまずの出だしだ。しかしこの部分はカイル・クーパーというアーティストによるものとの事。本篇のイメージとはギャップがある。

 映画自体はやはりコミックスの域を出ない。説明的なナレーションが陳腐だし、魔界の悪魔がコミックスそのもので実写だと笑ってしまう。そもそもアメリカのコミックスの画があまり好きになれないので、それほど楽しめなかった。

 魔界から蘇ったヒーローというのは斬新な設定で面白かったが、悪魔の手先のクラウンのジョークが下品で笑うに笑えないし、ウジのわいたピザをごみ箱から拾い上げて食べるシーンなんかは妙にリアルに撮っていて二度と観たくない。

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2006年09月04日

「ジャンク・メール」「アートフル・ドヂャース」(1998年2月22日(日))

 日比谷シャンテ・シネで「ジャンク・メール」(no.32)を観る。

 ノルウェーの新進監督ポール・シュレットアウネの作品。

 郵便配達員ロイは重い手紙の束を列車のトンネルにあいた穴にほうり込んだり、気に食わない配達先の男の封書を開封して盗み見たりしている。そんな彼が一目ぼれしたクリーニング店の女性リーナの部屋のカギを手に入れてしまい、留守中に部屋に忍び込む。そして彼女がある強盗事件に関係している事を知ってしまう。

 小心でさえない男が自殺未遂をおこすリーナを助けたり、共犯の男から彼女を救ったり、一途にリーナに思いを寄せる奇妙な純情ラブストーリーになっている。

 中島みゆきのツアー・チケットが今朝幸運にも電話予約できたので、さっそくソニービルのチケットぴあで受け取り、その足で六本木に移動。

 シネ・ヴィヴァン六本木で「アートフル・ドヂャース」(no.31)を観る。

 タイトルの意味は「やりたいようにすりぬけて生きる奴」という事らしい。ニューヨークで思い思いに暮す画家、ポルノ作家、ストリートミュージシャンの3人の若者。野心をもってニューヨークに来たというより日本を離れて放浪するためにここに来たようだ。だから熱い思いではなく、冷めたまなざしと一人で生きる強い意志が要求される。それが持続できなければ画家のように故郷・日本に戻るしかない。

 低予算で作られたオールアメリカ・ロケの日本映画。石田一成扮する画家は、偶然であった幼馴染みの紗於里のためにノイローゼになった彼女の姉綾乃を探し、海辺で茫然自失している綾乃を見つける。彼女の心の叫びをまのあたりにして自らもボヘミアンの生活に幕を降ろして帰国を決意したのだろう。

 とは言え、このエピソードも中々分かりにくい。演技陣が幼く気持ちが今一つ伝わってこないからだ。

カチンコ
 「演技陣が幼く」と当時の映画評には書いているが、そういえば今思いだそうとすると画家役の石田一成よりも、ポルノ小説家の西島秀俊の顔の方が先に浮かぶ。例の事件で人気も地に墜ちてしまった石田とは対照的に、今や堂々たる中堅キャリアの西島。ではストリートミュージシャンは誰か?佐藤タイジとキャストされている。はて誰だろう?何のことはない、ミュージシャン役は本当にミュージシャンだったのだ。

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2006年08月26日

「素襖落(すおうおとし)」「バタフライ・キス」(1998年5月3日(日))

 「ビヨンド・サイレント」を観ようと思ったが、30分前で既に立ち見。連休中なのでやむを得ない。代わりの映画が見当たらないので歌舞伎を観る事にした。

 幕見席(4階)で、「素襖落(すおうおとし)」を観る。今月は團十郎菊五郎との特別公演で、この一幕にも両人が登場する。話は落語のようなユーモラスな内容で大変に分かりやすく、観ていて全く飽きない。小一時間があっと言う間だった。

 昼食後、シネ・ラ・セットで「バタフライ・キス」(no.66)を観る。

 この映画館も初めて。有楽町ミラノだった頃はよく来たが、やはりきれいになった。ロビーが狭いのは相変わらずだが、席はまずまず。空調は以前と同様、ゴォーと音をたててものすごく冷している

 映画はイギリス映画。自ら神に見放されたと言い切る女が次々とヒッチハイクをしては人を簡単に殺してしまう。一方、年老いた母と暮しているおとなしい女が彼女を慕ってついていく。彼女を救えるのは私だけだと言って。

 悪魔と天使。そして最後に彼女たちは一つに融合するのだ。悪魔も天使もない。互いにないものを求めあってひとつになるのだ。映像はかなり強烈でちょっと抵抗があるが、ラストに持っていくにはやはりあれだけやらないと意味がないんだろう

 しかし、ちょっと久々に胸焼けがする映画だった。

カチンコ
 本作がマイケル・ウィンターボトム監督の初長編映画だった。とにかく鮮烈な映画でこういうモラルを破壊するような映画を作りたい監督なのかと思ったら、その後のフィルモグラフィーを見ると非常に器用な映画職人というイメージもある。とにかく本作以降目の離せない監督の一人になった。

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2006年08月25日

「ピースメーカー」「フェイス/オフ」(1998年2月28日(土))

 シャンテ・シネで「ピースメーカー」(no.34)を観る。

 自分の好みじゃなさそうなので今まで敬遠していたのだが、予想外の出来

 監督のミミ・レダーは、TVドラマ「ER/救急救命室」の演出・プロデュースを手掛けた。この作品も「ER」の手法が充分活かされている。目まぐるしく対象を追うカメラワーク。マシンガンのように畳みかける会話のやり取り。そして何より人と人とのぶつかりあいをリアルに切り取るクールなまなざし

 二コール・キッドマンジョージ・クルーニーという組み合わせは、普通のハリウッド映画ならばラブ・シーンの一つもありそうなものだが、予想は最後まで裏切られる

 事件が解決してキッドマンがまたいつものようにプールで泳いでいる。

 そこへクルーニー。「軍の仲間ならば共にビールで乾杯するんだが」。
 キッドマンがクールに突き放す。「あと10往復しなきゃ」。
 クルーニーが苦笑い。「待つよ」
 ここでエンド・クレジットが入る。

 まさしく「ER」そのものだ。素晴らしい!

 丸の内ルーブルで「フェイス/オフ」(no.33)を観る。

 香港からハリウッドに進出したアクション監督ジョン・ウーの作品。

 テロリスト・トロイが仕掛けた細菌爆弾の所在をさぐるため、彼の顔を自分の顔に移植するFBI捜査官アーチャー。しかし意識を取り戻したトロイはアーチャーの顔を移植してすべての証拠を抹殺し、アーチャーを監獄へ落とし入れる。

 顔を取り替えた事で窮地に追い込まれてゆくストーリーは、ヒッチコック映画のような不条理な恐怖を連想させる。そして鏡を多用する事で、自らが最も嫌悪する顔が常に目の前にあるという怒りと恐怖をうまく演出している。

 今日観た2本は対極にあるアクション映画だが、どちらも人間ドラマであり上質のアクション映画になっている。

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posted by アスラン at 01:23 | Comment(2) | TrackBack(1) | 映画評(1998年) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月20日

「川のうつろい」(1998年3月1日(日))

 朝から雪。ものすごい勢いで吹雪いていたのでまた大雪かと思われたが、昼前に雨に変った。新宿の新星堂から前日「筒美恭平HISTORY」の入荷の知らせがあり、受け取りに新宿に出た。

 ついでにシネマ・カリテで「川のうつろい」(no.35)を観る。

 よく知らずにフランス映画というだけで見に行ったらコスチューム物だった。フランス革命を真近かに控えた18世紀のフランス。決闘でルイ16世の友人を殺したばかりに国外追放となり、西アフリカの植民地に総督として追いやられる貴族の話。

 恋人とも別れ、世捨て人のように退廃的な生活を送る。アフリカのエキゾチックで憂鬱な暮し、退廃的で不正がまかりとおる辺境の軍隊。その中で彼は黒人の奴隷として送られた女の子を寵愛し、人間として教育も受けさせる。成長した彼女は男の人形としての自分に矛盾を感じて男の元を去る。その時初めて男は彼女を一人の女性として愛している事に気づいて追いかける。

 異国での波乱万丈な大河ロマンスであり、繊細で情感あふれる映画だ。

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2006年08月13日

「アミスタッド」(1998年3月2日(月))

 平日を利用して「アミスタッド」(no.36)を有楽町の日劇プラザに観に行く。

 もちろん空いている。スピルバーグが「カラー・パープル」に引き続いて黒人差別を取り上げた映画を作った。

 奴隷船が出てくるというので、大昔の黒人が初めてアメリカに連れてこられた頃の話かと思ったら、南北戦争すこし前の話だった。既に奴隷制撤廃の問題がアメリカでも問題にされつつあった頃、アミスタッド号で違法にアフリカから連れ去られた黒人が反乱を起こして船を乗っ取った。この事件の裁判は様々な人々の思惑から、単なる地方裁判から最高裁へと舞台を移し、論点も単なる違法行為から人権侵害へと形を変えながら、合衆国自体を撼がす事件になっていく。

 今回、スピルバーグに手際は簡潔で、しかも題材に対して誠実な映画作りに徹している。派手な演出はないが丹念に映像を作っているし、黒人とそれを支援する白人達の言葉を越えたコミュニケーションをうまく描いている。




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posted by アスラン at 03:24 | Comment(2) | TrackBack(0) | 映画評(1998年) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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