2005年05月28日

1999年7月19日(月) 「マイ・ネーム・イズ・ジョー」

 昼食後に有楽町のシネ・ラ・セットで「マイ・ネーム・イズ・ジョー」(no.76)を観る。

 イギリスの名匠ケン・ローチ監督作品。

 前作の「カルラの歌」は海外の内戦の影響で心情的に亡命している女性カルラに恋をするイギリス男が、故国に戻るカルラに付いてホンジュラスを旅して現実の過酷さを知るまでを描いていた。正直分かりにくいし政治的なメッセージが匂ってきてあまり好きにはなれなかった。

 今回はイギリスの小さな町で暮らす普通の中年男を描いて好感が持てる。ジョーはアル中だが断酒を決意して立ち直り断酒会で告白する。

 「俺はジョー。アル中じゃない。そう思っていたがまた戻ってきた。今度は『俺はジョー』と威張って言えない。だから断酒を決意した」。


 37歳の彼が一度築いた家庭も失い、一人きりで人生の再スタートを切る。それは決して楽な道ではない。僕と同じ歳の彼が自分を見つめ直して手に入れた新たな人生。それは失業手当を受けながら、こっそりとアルバイトに精を出し、市民サッカーチームのコーチに楽しみを見いだし、偶然出会った中年の女性セーラとともにすごすことに生き甲斐を感じる、そんなささやかな人生だ。

 それが甥のしでかした不始末の尻拭いからあっけなく崩れてしまう。もちろん背景には働き盛りのジョーたちをアル中に追い込む失業というきびしい英国の現実がある。

 それを政治的にコメンテートするのではなく、市井の一人間にスポットを当てて生きることの切なさを謳いあげている。
posted by アスラン at 17:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画評(1999年) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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