2005年08月12日

1998年10月24日(土) 「ダイヤルM」「カンゾー先生」

 松竹セントラル1で「ダイヤルM」(no.148)を観る。

 マイケル・ダグラス扮する実業家が、破産寸前の事業を立て直すため美しい妻グウィネス・パウトロウの資産を狙って殺人を企てる。それも妻の不倫相手の新進画家に殺人を依頼する。

 「ゲーム」に引き続いて孤独でエキセントリックな実業家を好演するマイケル・ダグラスといい、今が旬のグウィネスといい、配役はなかなかいい。

 ただヒッチコック作品のリメイクにしてはサスペンスの演出が不十分。夫と妻と不倫相手の3者入り乱れての心理戦が物足りないし、驚きがない。

 それに刑事役のデイビッド・スーシェが絡んでくると面白いのにそれも肩すかし。彼は今回は非常にストイックな刑事を演じているが、どうしてもポアロのとぼけた表情が思い出されてしまう。彼をあえて刑事にするのはミスキャストだろう。

 丸の内東映で「カンゾー先生」(no.147)を観る。

 今村昌平監督の「うなぎ」に次ぐ新作。「うなぎ」で狂ったように主人公の男を付けねらうムショ仲間を好演した柄本明が「カンゾー先生」こと赤城風雨を演じている。

 敗戦間近の日本、瀬戸内の田舎町で肝臓炎撲滅に奔走する町医者の奮闘記をユーモラスに描いていく。今村監督独特の人物造形によるアクの強い人々との奇妙な付き合いから、ユーモラスだがそれでいて戦時中の日本に対する軍部への反発を織り込んでいる。

 しかも意識したかどうかは判らないが、黒沢明を意識したかのような大胆で骨太な演出が随所に観られる。息子の戦死通知を仏壇の前で紙吹雪にして号泣する赤城に山ほどの紙吹雪が降りかかったり、ラストの広島に落ちる原爆のキノコ雲が病んだ肝臓の形に見えたり、赤城が町中を患者宅へ走るシーンにジャズの激しいリズムがかぶったりだとか、なんともほほえましいくらい大胆な映画作りをしている。
posted by アスラン at 00:19| Comment(2) | TrackBack(2) | 映画評(1998年) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TBありがとうございます♪
ストーリーはオリジナルの方が好きですが、
キャストはリメイクの方が大好きです。
余裕のマイケル・ダグラスがだんだんと追い詰められていく表情がいいです。

PS、ブログを引越したので、
新しいブログからTBさせていただきました。
Posted by 奈緒子と次郎 at 2005年08月18日 11:34
TB返しありがとう。

キャストについては僕も好きですね。パルトロウもダグラスも好きな役者です。
あの無骨な無名の若者が、今をときめくビィゴだったとはね。そういえばと思い当たりました。
Posted by アスラン at 2005年08月19日 00:37
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Tracked: 2005-08-13 15:29

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Tracked: 2005-08-18 11:29
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