2005年07月25日

「発見。角川文庫(2005)」VS.「発見。角川文庫(2004)」

 さてこの夏の読書キャンペーンの「昨年(2004年)VS.今年(2005年)」シリーズも今回が最後。

 角川文庫のキャンペーン名称は「発見。角川文庫」。なんだかインパクトがあるんだかないんだがよく分からない。「ナツイチ」と比べると爽やかさや若々しさに欠けるが、「新潮文庫の100冊」に比べると重々しさに欠ける。逆にそれなりにオーソドックスなタイトルだ。

 ところが当の角川文庫自体にも「発見」というコピーの意味づけに重きを置いている節が感じられない。なにしろ「発見=ディスカバー」から「カバ」のだじゃれにつなげて、マスコットキャラがカバの「ディスくん」というていたらくなのだ。

 本の品揃えという点ではさすがに集英社「ナツイチ」と違って、層の厚さが感じられるが、新潮文庫のように作品で真っ向勝負という潔さはない。どちらかというとその昔の角川映画の戦略を引き継いで、メディアミックスによるあざとい売り込みが目立つ。

 具体的に見ていこう。まず今年の作品総数は104冊で、新しく入った本は48冊。一方昨年の作品総数は111冊で今年消えた本は55冊。昨年のほぼ半数が消えた事になる。これは「ナツイチ」ほどではないが、かなりの入れ替わりだ。

 今年消えた本をざっと眺めると一目瞭然なのは、ドラマや映画とのタイアップ作品が結構な数にのぼるという点だ。

 ウォーターボーイズ
 木更津キャッツアイ
 機動戦士ガンダムSEED
 ジョゼと虎と魚たち
 着信アリ
 僕の生きる道
 ほたるの星

これらはタイアップの性質上、一年で消える事が約束されたも同然だ。
では今年入った本にもタイアップがあるかなぁと探したら、あるある。

 新装版 戦国自衛隊
 モーターサイクル・ダイアリーズ
 ゲバラ日記
 オペラ座の怪人


まあ昨年のタイアップが尋常じゃない数で、今年は普通かもしれない。
その代わり、受賞作家や話題の作家にはそれなりに目配せしていて、
第1回本屋大賞「博士の愛した数式」の小川洋子や「負け犬」ブームを巻き起こした酒井順子はそれぞれ2冊ずつ入っている。

 ちょっと驚きだったのが、消えた本に林真理子の作品が4冊も入っている点だ。いや「東京小説」(オムニバス)の中の短編も含めると5点だ。その上、林真理子作品がすべて今年になって消えているのだ。

 このあまりと言えばあまりな仕打ちは何故だろう?

 答えは明快だ。直木賞作家・角田光代が林真理子のスペースを奪ったのだ。半年前の第132回直木賞を受賞した角田光代が1/3ページから2ページ見開きの扱いになったのに対し、林真理子は2ページ見開きから撤退に追い込まれた。

 つまり角川文庫にとって必要だったのは林真理子でも角田光代でもなく、直木賞作家だという事になるだろう。

 以下に、「今年新しく入った本」と「今年消えた本」のリストを挙げる。
リストの太字は「今年新しく入った作家」と「今年消えた作家」のそれぞれ作品である。

[今年新しく入った本]

黒い家 貴志祐介
ぼっけえ、きょうてえ 岩井志麻子
氷菓 米澤穂信
愚者のエンドロール 米澤穂信
夏休みは命がけ! とみなが貴和
バッテリー 2 あさのあつこ
バッテリー 3 あさのあつこ
平家 1 池宮彰一郎
私たちは繁殖しているピンク 内田春菊
感傷の街角 大沢在昌
刺繍する少女 小川洋子
偶然の祝福 小川洋子
DZ 小笠原慧
世界で一番ロマンチックな海 鎌田敏夫
セカンド・ショット 川島誠
ピンク・バス 角田光代
あしたはうんと遠くへいこう 角田光代
家ができました 銀色夏生
ビューティフルライフ 北川悦吏子
続巷説百物語 京極夏彦
新耳袋 第一夜 木原浩勝・中山市朗
新耳袋 第二夜 木原浩勝・中山市朗
インド怪人紀行 ゲッツ板谷
女の旅じまん 酒井順子
女の仕事じまん 酒井順子
不自由な心 白石一文
すぐそばの彼方 白石一文
忘れ雪 新堂冬樹
勇気凛々 高杉良
ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ 滝本竜彦
家出のすすめ 寺山修司
ポケットに名言を 寺山修司
新装版 戦国自衛隊 半村良
夜の果てまで 盛田隆二
絶対泣かない 山本文緒
女子大生会計士の事件簿DX.1 山田真哉
ゲバラ日記 エルネスト・チェ・ゲバラ
モーターサイクル・ダイアリーズ エルネスト・チェ・ゲバラ
東京アンダーワールド ロバート・ホワイティング
オペラ座の怪人 ガストン・ルルー
平家物語 ビギナーズ・クラシックス 角川書店
アジアンタムブルー 大崎義生
つれづれノート(14) 銀色夏生
疾走(上・下) 重松清
アーモンド入りチョコレートのワルツ 森絵都
ファースト・プライオリティー 山本文緒
GOTH−夜の章−/−僕の章− 乙一
NHKにようこそ! 滝本竜彦


[今年消えた本]

アー・ユー・ハッピー? 矢沢永吉
アナザヘヴン2 VOL1,VOL2  飯田譲治 梓河人
ウォーターボーイズ 矢口史靖
海と毒薬 遠藤周作
木更津キャッツアイ 宮藤官九郎
キッチン 吉本ばなな
きっと君は泣く 山本文緒
機動戦士ガンダムSEED 後藤リウ
銀河鉄道の夜 宮沢賢治
銀の匙 中勘助
グミ・チョコレート・パイン グミ編 大槻ケンヂ
結婚願望 山本文緒
恋をする人しない人 北川悦吏子 柴門ふみ
午前零時の玄米パン 群ようこ
主婦は踊る 青木るえか
湘南人肉医 大石圭
ジョゼと虎と魚たち 田辺聖子
捨て犬を救う街 渡辺眞子
青年社長 (上・下) 高杉良
そしてまた 波音 銀色夏生
タイ怪人紀行 ゲッツ板谷
竹取物語(全) ビギナーズ・クラシックス 角川書店
ダメな女と呼んでくれ 中村うさぎ
堕落論 坂口安吾
知識人99人の死に方 荒俣宏
着信アリ 秋元康
東京小説 林真理子 椎名誠 村松友視 藤野千夜 盛田隆二
藤堂志津子 恋愛傑作選 藤堂志津子
泣かない子供 江國香織
なぜ仕事するの? 松永真理
庭を森のようにしたい つれづれノート13 銀色夏生
眠たい奴ら 大沢在昌
ばかおとっつぁんにはなりたくない 椎名誠
薔薇いろのメランコリヤ 小池真理子
美女入門 林真理子
美女入門 PART2 林真理子
美女入門 PART3 林真理子

氷点 (上・下) 三浦綾子
葡萄が目にしみる 林真理子
不夜城 馳星周
僕の生きる道 橋部敦子
ほたるの星 宗田理
坊っちゃん殺人事件 内田康夫
本能寺 (上・下) 池宮彰一郎
三毛猫ホームズの推理 赤川次郎
もういちど走り出そう 川島誠
もの食う人びと 辺見庸
ルージュ 柳美里
不倫(レンタル) 姫野カオルコ
私たちは繁殖しているイエロー 内田春菊
少女パレアナ ポ−タ−
新版 人生論 トルストイ
青春とは、心の若さである。 サムエル・ウルマン
新訳 ハムレット シェイクスピア
僕の心臓を盗まないで テス・ジェリッツェン
posted by アスラン at 00:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 夏の文庫フェア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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