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    2025年11月17日

    英文解釈教室の訳文を書き直す(15.1.7)

    Chapter15 挿入の諸形式「@語句の挿入――andとif」より。
    15.1.7 Few, if any, Americans grasped the significance of what had been accomplished.
    (訳) 達成されたことの意義を理解したアメリカ人がたとえいても、その数は少なかった。
     伊藤先生は「ifは、あとのS+Vを従属節にまとめる役目をする」と考えることはできるが、if possibleのような省略には一般的な規則がないものも多いので、「if possible、if necessary、if anyなどの挿入的な表現は熟語としてその意味を記憶するにとどめ、それ以上掘り返さないのがよい」と書いている。
     しかし、さすがにそれでは説明が淡泊すぎる。それに、ifに限らず従属節を形成する接続詞(whenなど)からして既に省略が発生するので、もう少し省略表現について最低限の事はふまえておくべきだろう。そこで江川泰一郎『改訂三版 英文法解説』に登場ねがおう。
    §267 副詞節における省略
    A. 「主語+be動詞」の省略 時・条件・譲歩などの副詞節に見られる。
    (1)基本形
     When (I was) a child I had a habit of blinking my eyes. (子供のころ、私は目をパチパチまばたきする癖がありました。)
       (略)
    (2)実例検討
     When eating soup, you must sip the liquid quietly from the spoon. (スープを飲むときには、音がしないようにスプーンで少しずつ飲みなさい。)
       (略)
    B. it is/was の省略 この場合のitは主節の内容を指す。
     I'll check the list again if (it is) necessary/possible. (必要ならば/できれば、リストをもう一度チェックしよう。)
       (略)
    C. その他 ifとalthough(though)には「主語+一般動詞」の省略がある。
     Drop that gun ! If not (= If you don't), you'll be sorry. (銃を捨てろ。さもないと、後悔するぞ。)
     He seldom, if ever (=if he ever does), goes to church. (彼は教会に行くにしても、ごくたまにしか行きません。)
       (略)
     《参考》if の場合は、次のような例にまで及ぶ。
      Correct errors, if any (= if there are any). (誤りがあれば訂正せよ。)
        (略)
     とりあえず、これくらいふまえておけばいいだろう。『英文法解説』の「A.(2)実例検討」には様々な実例が挙げられているし、if anyは《参考》で特殊な形式として取りあげられている。確かに一般的な規則に該当しないものも多いのだろうが、基本的なものを押さえておけば、熟語扱いしないで考えることができる。

     そこで、あらためて例文の検討に戻ろう。
    (a)Few Americans grasped the significance of what had been accomplished, if any.
    (b)If any, few Americans grasped the significance of what had been accomplished.

    (a')Few Americans grasped the significance of what had been accomplished if there are any Americans who did.
    (b')If there are any Americans who grasped the significance of what had been accomplished, few Americans did.

    (c)Few, if any, Americans grasped the significance of what had been accomplished.
     挿入形式を除外すれば(a)(b)のいずれかになるはずだ。パンクチュエーションとしては(a)はカンマで区切らず、(b)のみカンマで区切るはずだが、省略表現になると副詞節の認定が難しくなるので、どちらもカンマで区切る事になるようだ(あくまで僕の推測に過ぎないが)。
     いずれにしても(a)(b)の省略前の原文は、さきほどの『英文法解説』によるとif there are anyだが、これ自体も省略されているので本例文ではif there are any Americans who grasped the significance of what had been accomplishedとなる。しかも、従属節と主節の順番によっては代名詞や代動詞(does/didなど)の使いどころが変わってくるので、それぞれが(a')(b')になる。
     (a')または(b')のような従属節の省略表現に挿入形式を組み合わせると(c)、要するに例文そのものになる。

     まずは(a)または(b)について考える。「(a)主節 if 従属節」が正順で「(b)If 従属節, 主節」は逆順と考え、カンマの有無が異なるだけで意味は変わらないと、パンクチュエーション(句読法)では教える。しかし、推敲のレベルで文章を考えたら「どちらを前にするか」にまったく意味が無いとも思えない。ニュアンスを日本語に移し替えると、以下のような違いに対応するのではないだろうか。
    ((a')の推敲訳)たとえいたにしても、成し遂げられてきた事がどれほど重要な事だったか把握できた米国人はほとんどいなかった。
    ((b')の推敲訳)成し遂げられてきた事がどれほど重要な事だったか把握できた米国人がたとえいたにしても、ほとんどいなかった。

     伊藤先生の訳文は(b')に対応する。これでは日本語として不十分だと思う。何故なら、(a)系列と(b)系列の文は従属節の省略表現を解決しただけで、挿入形式についてはなんら手心が加えられていないからだ。そうなると訳さねばならないのは(c)だ。
     この16章の例文で何度も検討してきたが、日本語の場合は英語のように無理に文章の途中に副詞句を挿入すべきではない。主節を日本語として言い切ってしまってから、従属節を追加(補足)する形にした方がよい。
    (推敲訳)成し遂げられてきた事がどれほど重要な事だったか把握できた米国人はほとんどいなかった。たとえいたにしても、だが。
     さらに日本語を推敲する。had been accomplishedなので時制は過去完了形だ。しかも自分以外が成し遂げる訳なので、時間的な観点を顕在化するために「あの当時に成し遂げられた事」になる。その事の重要性(意義)をいつ把握したかと言えば「あの当時」なので、「(あの当時に)成し遂げられた事を(あの当時)どれほど重要だったかをあの当時把握できた」のように、「あの当時」がどんどん後ろに掛かっていく事になる。最終的には「あの当時、ほとんどいなかった」になるので、「成し遂げられた(完了)」以外はすべて現在形にしても問題ない.逆に今のようにすべて過去にしてしまうと、日本語としてはうざったい。
     また、if anyはこれまで通り添加(補足)を意味する。主節では「ほとんどいない」だが、その上で「まったく存在しない」可能性も追加している。なので「存在したとしても」を後ろから挿入する。
    (推敲訳) 成し遂げられた事がどれほど重要なのかを把握する米国人は、あの当時ほとんどいなかった。もちろん、いたとしての話だが。
    posted by アスラン at 23:05| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 英文解釈教室を書き直す | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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