7.3.9 It was my teacher's genius, her quick sympathy, her loving tact which made the first years of my education so beautiful. It was because she realized the right moment to impart knowledge that made it so pleasant and acceptable to me. perish.この例文のポイントはIt is … that構文が2つあるように見えて、2番目のIt was because… thatの方はそうではないという点だ。特に強調構文としては、焦点部には(a)副詞的要素もしくは(b)名詞(句)が来る。(a)ならばthat以下は完全な文でなくてはならないし、(b)の場合はthat以下の文の主語もしくは目的語が欠けていなければならない。この例文の場合because…は副詞的要素なのでthat節には完全な文がこなくてはならない。ところがmadeの主語が欠けているため、このthatは関係代名詞でなければならない。つまり強調構文ではないという事になる。もちろん形式主語の構文でもないのは明らかだ。
(訳) 私が受けた教育の最初の数年間をすばらしいものにしてくれたのは、私の先生の非凡な才能、その素早い共感と愛情にあふれた技量であった。それは、先生が知識を与えるべき時を心得ていて、そのおかげで知識が私にはおもしろく受け入れやすいものとなったからであった。
これを踏まえた上で訳文を推敲していく。前半の強調構文では焦点部は3つの名詞句で構成されている。これらはすべて述部表現に変えよう。それと私と先生とがどういう人となりなのかも考えておく必要がある。「私」は普通に学校に通っているのか、それとも「私」はいいとこのお嬢さんで、家で家庭教師の先生がついているのかどうか。先生は女性である事を考えると、私も女性で子供の頃から家庭教師の先生に教わってきたというように考えてもよさそうだ。ただし、そこまで昔の思い出を回顧していると考えるのはさすがに英文解釈の例文としては相応しくないかもしれない。あくまで学校の先生との出会いだと考えよう。となるとeducationは「学校教育」すなわち「学校の授業」「学校生活」ぐらいに書き直したい。
(前半の推敲訳) 最初の5年間の学校生活があんなにも素晴らしいものとなったのは、私の先生が非凡な才能の持ち主であって、私の言う事に即座に共感してくれたし、愛情をもって臨機応変に接してくれたからだ。
後半の文では、thatはおそらくthe right moment (to impart knowledge)の先行詞だと思われるし、made it so pleasant…のitはknowledgeではなくてmy education(学校生活、学校の授業)を指していると思う。そうでないと先生が授ける「知識」ばかりが私の楽しさの根源のように読めてしまう。
(後半の推敲訳) 何故かと言えば、先生は私たち生徒にどのタイミングで知識を授けたらいいかをよく分かっていて、そのおかげで私は授業が楽しくて、進んでやりたいと思えたからだ。
以上をまとめると、このようになる。
(推敲訳) 最初の5年間の学校生活があんなにも素晴らしいものとなったのは、私の先生が非凡な才能の持ち主であって、私の言う事に即座に共感してくれたし、愛情をもって臨機応変に接してくれたからだ。何故かと言えば、先生は私たち生徒にどのタイミングで知識を授けたらいいかをよく分かっていて、そのおかげで私は授業が楽しくて、進んでやりたいと思えたからだ。
さらに推敲する。前半も後半も「〜からだ。」という理由に解釈すると「AがPだったのはBだからだ。それが可能だったのはCだからだ。」のようになって、次々に理由が続く事になる。だからちょっと変えて「AがPだったのはBがあったからだ。(Bがあると)Pが可能になるのはCだからだ。」のような接続関係を日本語で表現する必要がある。
(推敲訳) 私が最初に学んだ先生は特別な才能を持っていて、私の言う事にたちどころに賛成してくれたし、その場その場で臨機応変に対応する事に骨身を惜しまなかった。その結果として最初の5年間の授業は私にとってあのようにかけがえのないものとなったのだ。何故それが可能だったかと言えば、先生がここぞというタイミングで私たち生徒に知識を授けようと考えていて、そのおかげで私は授業が楽しくて自分から受けたいと思えたからだ。



