2005年07月17日

『ナツイチ2005』VS.『ナツイチ2004』

 さて「新潮文庫の100冊」の昨年との比較が一部で好評を博したので、その続編。

 というのは嘘で、好評かどうかは別にして最初からやろうと思っていたのだ。なにしろ手元には集英社文庫角川文庫も2004年版があるのだから、性格上きっちりやらずにはいられない。

 あらためて集英社文庫。昨年のタイトルは正確には

ナツゼロ? ナツイチ!


というものだ。冊子に書かれたキャッチコピーによると、

ゼロは何倍したって、ゼロしかない。だけどイチには何かがある。可能性がある。…


という意味で「ナツイチ」。なるほどね。

 そもそも「夏の一冊 集英社文庫」というのが当初のキャンペーン名称だったようだ。いつから「ナツイチ」になったのかは分からないけど、案外昨年からかもしれない。

 2004年版と2005年版との比較でまず挙げなくてはいけないのは、キャンペーンキャラクター

 昨年は玉木宏で、今年は佐藤隆太。どちらも夏が似合うキャラだ。

 なにしろ玉木は映画「ウォーターボーイズ」で妻夫木とともにブレイクしたわけだから、もってこいのキャラだった。
 佐藤の方はドラマ「海猿」にも出てるし、やっぱりキャラそのものが旬だからかな。

 で、肝心の本の品揃えだ。

 そもそも集英社文庫って僕が中学の頃から実は影が薄い感じがしてた。新潮や角川が、現代小説から名作・古典まで幅広く対応してたのに対して、集英社は取り立てて新しい作品には力を入れてなくて、古い名作(次郎物語といったたぐい)を揃えているという感じだった。

 まあ実は力を入れてないんじゃなくて、新潮や角川ほど著名作家の本を出版できる力も予算もないというのが当時も今も変わらぬところなんじゃないだろうか。

 その証拠に著名作家の作品は入っているが、代表作はなかったりする。(たとえば江國香織や宮部みゆきの品揃えを見れば一目瞭然)

 だから出版社の事情を反映してなのか、この「ナツイチ」でも定番というのがあまりないのだ。

 調べたところ、今年の87冊(100冊ないんです。ちょっと悲しいね。)のうち2004年と共通だったのが33冊。よって残りの54冊が今年新しく入った本。なんと62%が入れ替わるというすさまじさ。

 そのせいか新しく入った本も消えていった本もリストアップした中に見たことも聞いたことも、さらには著者も知らないという本が結構あって、少々この企画向きではなかったかも。

 定番の33冊を挙げた方がよかったのかとも思うが、まあ行きがかり上、同じ趣向を貫く。

 面白いのは読んだこともないサンドラ・ブラウンという外国人作家の作品が昨年も今年も入っていて、集英社文庫の海外文学の層の厚さ(!)がそれだけで分かるというものだが、彼女の作品(2004年2冊、2005年2冊)がいずれも重ならない。

 つまり毎年新しい作品が紹介されているのだ。こうなると体のいい新作紹介のような気がしないでもないが、見るとハーレクイーン・ロマンスそのものなので、どれを読んでも同じなのかもしれない。

 前振りが長すぎた。

 以下に、「今年新しく入った本」「今年消えた本」のリストを挙げる。
リストの太字は「今年新しく入った作家」と「今年消えた作家」のそれぞれ作品である。

[今年新しく入った本]

天切り松 闇がたり 第三巻 初湯千両 浅田次郎
オー・マイ・ガアッ! 浅田次郎
プリズンホテル 1 夏 浅田次郎
神隠し三人娘 怪異名所巡り 赤川次郎
レックス・ムンディ 荒俣宏
コンビニ・ララバイ 池永陽
スローグッドバイ 石田衣良
泳ぐのに、安全でも適切でもありません 江國香織
斬られ権佐 宇江佐真理
東京物語 奥田英朗
天帝妖狐 乙一
みどりの月 角田光代
山背郷 熊谷達也
漂泊の牙 熊谷達也
どすこい。 京極夏彦
柩(ひつぎ)の中の猫 小池真理子
岳物語 椎名誠
蘭 竹西寛子自選短篇集 竹西寛子
エミリー 嶽本野ばら
谷川俊太郎詩選集 1 谷川俊太郎
あふれた愛 天童荒太
お父さんのバックドロップ 中島らも
反乱のボヤージュ 野沢尚
ダーク・ムーン 上・下 馳星周
曼荼羅道(まんだらどう) 坂東眞砂子
裸足と貝殻 三木卓
ジョッキー 松樹剛史
夜明けまで1(ワン)マイル somebody loves you 村山由佳
天使の卵 エンジェルス・エッグ 村山由佳
キスまでの距離 おいしいコーヒーのいれ方I 村山由佳
坂の途中 おいしいコーヒーのいれ方 VII 村山由佳
ものいふ髑髏(どくろ) 夢枕獏
神の手 望月諒子
肩ごしの恋人 唯川恵
病む月 唯川恵
イブの憂鬱 唯川恵
どしゃぶりの時代 魂の磨き方 落合信彦
おわらない夏 小澤征良
まる子だった さくらももこ
さるのこしかけ さくらももこ
たいのおかしら さくらももこ
不敵雑記 たしなみなし 佐藤愛子
恋する歌音(カノン) こころに効く恋愛短歌50 佐藤真由美
救命センター当直日誌 浜辺祐一
21世紀サバイバル・バイブル 柘植久慶
爆笑問題の今を生きる! 流行と事件のアーカイブ二〇〇一〜二〇〇三 爆笑問題
マーシーの夏 ドロシー・ギルマン
存在の耐えられない軽さ ミラン・クンデラ
虚飾の愛を逃れて サンドラ・ブラウン
夕暮れに抱擁を 上・下 サンドラ・ブラウン
ナイロビの蜂 上・下 ジョン・ル・カレ
CUTTING リストカットする少女たち スティーブン・レベンクロン


[今年消えた本]

マドモアゼル、月光に消ゆ 赤川次郎
天切り松 闇がたり 第一巻 闇の花道 浅田次郎
王妃の館 上・下 浅田次郎
ホテル カクタス 江國香織
暗黒童話 乙一
平面いぬ。 乙一
ザ・ラスト・ウォー 落合信彦
雨鱒の川 川上健一
彼が狼だった日 北方謙三
ジハード 1 猛き十字のアッカ 定金伸治
カルチェ・ラタン 佐藤賢一
春画 椎名誠
インコは戻ってきたか 篠田節子
日本語の乱れ 清水義範
姥ざかり花の旅笠 小田宅子の「東路日記」 田辺聖子
昔の恋人 藤堂志津子
白い薔薇の淵まで 中山可穂
崩れる 結婚にまつわる八つの風景 貫井徳郎
かかし長屋 半村良
砲撃のあとで 三木卓
地下街の雨 宮部みゆき
働く女 群ようこ
墜ちていく僕たち 森博嗣
天使の卵 エンジェルス・エッグ 村山由佳
海を抱く BAD KIDS 村山由佳
緑の午後 おいしいコーヒーのいれ方V 村山由佳
遠い背中 おいしいコーヒーのいれ方VI 村山由佳
落花流水 山本文緒
海色の午後 唯川恵
孤独で優しい夜 唯川恵
夜に忍びこむもの 渡辺淳一
銀河鉄道の夜 宮沢賢治
ああ言えばこう食う 阿川佐和子・檀ふみああ言えばこう嫁×行く 阿川佐和子/檀ふみ
私のギリシャ神話 阿刀田高
ニッポンの子育て 井上きみどり
肉体のファンタジア 小池真理子
生き方のコツ 死に方の選択 鎌田實/高橋卓志
あのころ さくらももこ
まるむし帳 さくらももこ
もものかんづめ さくらももこ
不運は面白い 幸福は退屈だ 人間についての断章326 佐藤愛子
寂聴 生きる知恵 法句経を読む 瀬戸内寂聴
南極のペンギン 高倉健
わたしの古典 竹西寛子の松尾芭蕉集・与謝蕪村集 竹西寛子
スターと私の映会話! 戸田奈津子
爆笑問題 時事少年 流行と事件のアーカイブ 一九九九〜二〇〇一 爆笑問題
笑ってる場合 原田宗典
すべての女は痩せすぎである 姫野カオルコ
どこかで誰かが見ていてくれる 日本一の斬られ役 福本清三 福本清三/小田豊二
作家の花道 室井佑月
明日はじめる恋のために 唯川恵
ブラザーフッド カン・ジェギュ ノベライズ/上之二郎
ラスト・ラヴァー ローラ・V・ウォーマー
キャノン姉妹の一年 ドロシー・ギルマン
愛はワシントンの休日に ジャネット・デイリー
あの銀色の夜をふたたび サンドラ・ブラウン
復讐のとき愛は始まる 上・下 サンドラ・ブラウン
ラーラはただのデブ シェリー・ベネット


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