7.3.6 It is not what people eat, but what they digest, that makes strong.強調構文で主語、目的語、副詞的要素の順に例文が出てきたが、今度は主語に戻ってandやorで並列関係(共通関係)になっている例文を扱う。伊藤先生は、
(訳) 人間を強健にするのは、食べるものではなく消化するものである。
(a) Not A but B is P. (AではなくてBがPである。)のように訳しているが、日本語としては主語の部分が頭でっかちになっていて適切ではない。しかも強調構文ではない形では、この英文は題説構文+対照文と見なすべきなので「AはPではないが、BはPである。」のように訳すのが自然だ。
(a') It is not A but B that is P.そうすると、強調構文として本書が挙げている上記の二種類のパターンのうち、日本語として適切な訳文に近いのは(a'')の方になる。これは「PなのはAではない。Bである。」と訳す事になる。これに沿って日本語を考えてみる。make strongは「強健にする」のような日頃使わない言葉ではなく、単に「健康にする」と考える。それと「食べるもの、消化するもの」のようにわざわざ現在形に訳しているが、慣習あるいは習慣を表すのであれば「食べたもの、消化したもの」と表現した方が日本語としてしっくりくる。
(a'') It is not A that is P, but B.
(推敲訳) 人を健康にしているのは食べたものではない。消化したものである。
さらに日本語として推敲していく。「人を健康にする」よりも「人が健康になる」の方が日本語として適切だ。そうなると「健康にするのは〜だ」よりも「健康になるために必要なのは〜だ」のように解釈する事になる。
(推敲訳) 人が健康になるために必要なのは食べた内容ではない。摂取した内容だ。
最後にもう一手間加える。whatを用いた関係代名詞節は要するに名詞なので「食べた内容」「摂取した内容」としたが、日本語としてはなんとなく気持ちが悪い。日本語の疑問代名詞節とみなした述部表現に変換する。
(推敲訳) 人が健康になるために重要なのは、何を食べたかではなく何を摂取したかだ。



