2005年07月15日

『新潮文庫の100冊(2005年)』VS『新潮文庫の100冊(2004年)』

 毎年この季節になると、夏休みの読書を当て込んでキャンペーンが始まる。書店にはコーナーが設けられてずらっと平積みの本が並ぶ。

 なんと言っても「新潮文庫の100冊」が有名だし知名度は抜群だが、最近では集英社文庫の「ナツイチ」が夏らしい雰囲気を全面に押し出していてなかなか楽しい。

 僕もこれらの企画に乗せられてずいぶん本を購入した記憶があるが、最近の楽しみはひたすらキャンペーン用カタログを集める事にある。

 集めたカタログをながめてどんな本が入ってるか調べてまわるのも楽しいし、自分が読んだ本がどれくらいあるかどれだけ未読の本が多いかで一喜一憂するのも趣向があって面白い。もちろんカタログの中から何冊かは読みたい本を見つける事が一番の楽しみではある。

 ところで毎年思うのだが、定番の小説を見かける反面、最近の話題作からここ数年のスタンダードなど様々な本が含まれている以上、多少の入れ替わりがあるはずだ。

 そう思って、昨年のカタログを本棚から引っ張り出してきて比べてみる事にした。
「多少の入れ替わり」がどんなものか。消えた本新しく入った本も興味があるのだが、調べてみて入れ替わりが「多少」でないのに驚いた。40冊も違うのだ。

 しかも昨年の作家数と今年の作家数を比べると圧倒的に今年の方が増えている。これは比較するには違いすぎる。

 そこで実は本当に驚いた事がある。

 「新潮文庫の100冊」は100冊ではないのだ!

 みなさんは知っていただろうか。「新潮文庫の100冊」はキャンペーンの総称であって、100冊は品揃えの目安に過ぎない。しかも昨年と今年とではキャンペーンの趣向がガラッと変わっている。

2004年は103点を自信をもっておすすめします。
2005年は100人の作家の作品を自身をもっておすすめします。


 昨年と今年のカタログにそれぞれ明記してある。そうなのだ。つまり作家数の違いは、今年が作家100人の作品を揃えたからに違いなく、ほぼ一人の作家から1作づつしか選ばれていない。

 それとは対照的に昨年は
 夏目漱石3冊 江國香織4冊 宮部みゆき4冊…
のように特に人気の作家から充分以上の本が103冊の分け前をあずかっている。

 コンセプトが違う以上は単に違いだけを取り出しても意味がないとは思うが、結果的に「消えた本」「新しく入った本」の中からそれぞれ選んで読書するという趣向も面白いかもしれない。

 なお、以下のリストで太字なのは「今年新しく入った作家「今年消えた作家」のそれぞれ作品である。

僕としてはこの太字の本の中から攻めていきたいな。

[今年新しく入った本]
あすなろ物語 井上靖
嵐が丘 エミリー・ブロンテ
インディヴィジュアル・プロジェクション 阿部和重
海辺のカフカ 村上春樹
オーデュボンの祈り 伊坂幸太郎
悲しみよ こんにちは フランソワーズ・サガン
キッドナップ・ツアー 角田光代
きよしこ 重松清
薬指の標本 小川洋子
恋 小池真理子
こころの処方箋 河合隼雄
小僧の神様・城の崎にて 志賀直哉
最後の喫煙者―自選ドタバタ傑作集 1― 筒井康隆
さぶ 山本周五郎
屍鬼〔一〕 小野不由美
指揮官たちの特攻 ─幸福は花びらのごとく─ 城山三郎
死者の奢り・飼育 大江健三郎
しゃばけ 畠中恵
人生は一度だけ。 唯川恵
深夜特急1 沢木耕太郎
ターン 北村薫
智恵子抄 高村光太郎
停電の夜に ジュンパ・ラヒリ
できればムカつかずに生きたい 田口ランディ
天国の本屋 松久淳+田中渉
点と線 松本清張
図書室の海 恩田陸
にごりえ・たけくらべ 樋口一葉
二十四の瞳 壺井栄
野菊の墓 伊藤左千夫
蠅の王 ウィリアム・ゴールディング
花埋み 渡辺淳一
パニック・裸の王様 開高健
ハムレット ウィリアム・シェイクスピア
ブランコのむこうで 星新一
ぶらんこ乗り いしいしんじ
夜間飛行 サン=テグジュペリ
黄泉がえり 梶尾真治
ロックンロールミシン 鈴木清剛
若きウェルテルの悩み ゲーテ


[今年消えた本]
伊豆の踊子 川端康成
命 柳美里
海と毒薬 遠藤周作
エイジ 重松清
エンジェル エンジェル エンジェル 梨木香歩
神の子どもたちはみな踊る 村上春樹
彼らの流儀 沢木耕太郎
きらきらひかる 江國香織
恋人たちの誤算 唯川恵
恋文 連城三紀彦
校庭に、虹は落ちる 赤川次郎
潮騒 三島由紀夫
斜陽 太宰治
しろばんば 井上靖
すいかの匂い 江國香織
スキップ 北村薫
砂の器 松本清張
そういうふうにできている さくらももこ
小さいときから考えてきたこと 黒柳徹子
注文の多い料理店 宮沢賢治
つめたいよるに 江國香織
七つの怖い扉 阿刀田高など
涙 乃南アサ
人間の土地 サン=テグジュペリ
ねじまき鳥クロニクル 村上春樹
白痴 坂口安吾
フランダースの犬 ウィーダ
ボッコちゃん 星新一
坊っちゃん 夏目漱石
魔術はささやく 宮部みゆき
魔性の子 小野不由美
みだれ髪 与謝野晶子
友情 武者小路実篤
欲望 小池真理子
羅生門・鼻 芥川龍之介
理由 宮部みゆき
レベル7 宮部みゆき
ロミオとジュリエット シェイクスピア
吾輩は猫である 夏目漱石


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posted by アスラン at 02:02| Comment(6) | TrackBack(2) | 夏の文庫フェア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
あの小冊子、見かけたら必ず取ってきてしまいます。
毎年読むのを楽しみにしてますよ。
今年は、集英社のナツイチに佐藤隆太君の読書感想文が
載ってた事が新鮮でした。

去年と今年の比較なんて調べるの大変だったのではないでしょうか?
結構変わるものですね。
Posted by toki at 2005年07月15日 23:13
 こんばんは。
今日行った本屋さんに「新潮文庫の100冊」がおいてあって、もう夏休みの季節だなって思ったところです。
それにしても、新しく入ったものと消えたものにチェックを入れるなんて・・・。
すごい!
Posted by とも子 at 2005年07月16日 21:31
tokiさん、いよいよ「姑獲鳥の夏」公開ですね。

ところで佐藤隆太君の感想文は傑作でしたね。
それにしても集英社も中島らもの作品を彼の感想文にあわせて入れちゃうんだからフットワークたるやたいしたもんです。

比較全然大変じゃないですよ。通勤の行き帰りにローテクで書名や著者名にチェック入れては何度も数えたり(汗・汗・汗)…。

ハハハハ。おかしなやつと思われてるだろうな。
Posted by アスラン(ナツイチはこちら!) at 2005年07月17日 00:43
とも子さん、確かに夏らしさ全開の平積みなんだけど、あれを見ると書店や出版社の苦労が忍ばれるって感じがしてなりません。

だって平積みするスペースってばかにならないし、以前は新潮文庫だけだった気がするのに、いまや集英社も角川もやるし、やるならキャンペーンの本全部並べたい。でもそりゃ無理だろう、とかね。

ちなみに行きつけの書店では、最近流行の店員さんの手作りPOPが無数に立っていて、あれじゃかえって逆効果じゃないかと思うんだけど、意気込みは伝わってきてなんか楽しいです。
Posted by アスラン at 2005年07月17日 00:52
ブログ見ました。

私も「新潮文庫の100冊」の変遷に関心を持ち、自分のHPにまとめました。何かの参考にしてください。

Posted by トコラモ at 2005年07月18日 01:20
トコラモさん、コメントありがとうございます。

HP見ましたが、ものすごいコレクションですね。
僕の思いつきの記事とは違って時代の変遷がわかるので、とっても面白かったです。
Posted by アスラン at 2005年07月23日 00:28
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