2005年07月02日

1998年12月19日(土) 「ナイトウォッチ」「アンナ・マデリーナ」「ルル・オン・ザ・ブリッジ」

 松竹セントラル3で「ナイトウォッチ」(no.176)を観る。

 法学生のユアン・マクレガーが死体安置所の夜警のアルバイトを始める。人気のない暗く静かな安置所の中で、死者の重苦しい雰囲気が空間を支配している。

 仲間うちには強がってみせるマクレガーのびくびくした夜警姿がなんとも似合っている。マクレガーは、おどけたりびくついたりする時にみせる愛嬌のある表情がとてもいい。

 しかも単にサスペンスやサイコホラーという味もそっけもない筋立てではなく、死体そのものが醸し出すなんともしれない恐怖を独特なクールな感覚で描き出した監督の手腕も買える。

 デンマークの監督ボールネダールが自身の作品「モルグ」をハリウッドでリメイクしたそうだ。

 解説を読むと「モルグ」の方が若者の若さゆえの逸脱みたいなところにポイントがあり一種の成長物語的な要素が強いのだそうだ。こちらのほうも機会があれば観てみたい。

 シャンゼリゼで「アンナ・マデリーナ」(no.175)を観る。

 金城武ケリー・チャン主演。とくると「世界の涯てまで」を思い出すが、今回は奇妙なテイストをもったファンタジーだ。

 金城武は調律師で、依頼者のもとに出かけてピアノを調律している。行った先で出会った女性と別れたばかりの男アーロン・クォックがいそうろうを決め込んでしまい同居生活が始まる。そして同じアパートにケリー・チャンが引っ越してきて一目ぼれするが、彼女はアーロンと結ばれてしまう。

 というよくある展開なのだが、後半はケリーに振られた金城が自分が書く小説の中に自分の思いを込めて、作品の中で二人は結ばれてゆく。

 その作品がファンタジーなので、いきなりストーリーは、お化け屋敷に賊された財宝を求める男女二人がかつて教会の前で棄てられていた二人の赤ちゃんだった話になってしまい、観ている方がとまどってしまう。

 前半がオーソドックスなラブストーリだっただけに残念な気がする。

 シネスイッチ銀座で「ルル・オン・ザ・ブリッジ」(no.174)を観る。

 ポール・オースターという作家がどんな作家が僕にはわからないが、あの「スモーク」の脚本を書いているというだけでも観る価値はあるだろう。

 「スモーク」では、マンハッタンにおける現代のおとぎ話のようなあたたかさがどのエピソードにもあふれていた。今回もハーベイ・カイテル演じるサックス演奏者が暴漢に撃たれてサックスが吹けなくなり、自分の人生を見つめ直している時期に思いもかけず運命の女性ルルの出会ってしまうという童話のような話だ。

 ルルはやがて女優として花ひらくが、ハーベイは不思議な生命力に満ちた石を手に入れたがために、謎の組織から追われ監禁されてしまう。ルルが泣きながらニューヨークを探し回るエンディングは、ほろ苦いせつなさに満ちていると同時にじわっと暖かさが伝わってくる。
posted by アスラン at 23:33| Comment(2) | TrackBack(1) | 映画評(1998年) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ブログのタイトル,変更されたのですね。わかりそうな,わからなそうなタイトルですが,右のカンガルーの顔と合わせて,なかなか素敵です。
こちらも,狭い選択肢の中で,昨夜からデザインの変更を始めたところです。
Posted by donmabo at 2005年07月03日 00:41
まあぼさん、お久しぶりです。

タイトルの意味を書こうとして先回りされてしまいました(笑)
なかなか愛らしいカンガルーでしょ。檻の格子がなければもっとよかったのですが…。
でも逆にこのページ用に「囚われのカンガルー」のイメージを利用してしまいました。
Posted by アスラン(タイトルの意味) at 2005年07月05日 02:07
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モルグ
Excerpt: 「モルグ」と言う題名よりも、「ナイトウォッチ」と言った方が知っている人が多いだろう、だがそう言うと何だ!となるだろう、「ナイトウォッチ」はあまりヒットしなかったし、確かにハリウッド色に染まってしまって..
Weblog: Patsaks
Tracked: 2008-05-10 13:08
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