2007年06月17日

「39−刑法第三十九条」「大阪物語」(1999年5月2日(日)

 「39−刑法第三十九条」(no.39)を観る。

 濃密な緊張感を描いた「ときめきに死す」のような映画を期待したいところだが、商業映画としての成功が課せられている森田芳光監督の現状からはかなわぬ夢かもしれない。

 しかし岸辺一徳、樹木希林ら登場人物すべてが乾いた演技をしていて、社会的な問題(心神耗弱者の犯罪)を扱ってはいるが従来の社会派推理ドラマとは一線を画した作品になっている。

 前半の森田独特の乾いた演出がよかっただけに、ラストの真実がそれほど驚かされる内容ではないのが残念。最近気づいたのだが、テレビや映画館で盛んに流れた予告で香深(カフカ)を演じる鈴木京香のセリフには事件の真実が明かされている。まあ、なんと大胆な!

カチンコ
 ネタバレしないように当時書いた感想には、CMでの鈴木京香のセリフは書かなかった。今となっては、CMの内容自体思い出せないのが残念だ。

 テアトル新宿で「大阪物語」(no.38)を観る。

 市川準が自ら演出した「三井のリハウス」のCMに起用した少女・池脇千鶴を主演に据えて大阪を描いた。前作「たどんとちくわ」から急激に本領を発揮し出したと僕には思える市川準が、本作ではCMディレクタの実力を余すところなく出して市井に生きる大阪の人々を見事に描き出した。

 コテコテの関西人を描くでもなく単なる人情ばなしでもない。それでも大阪という街がもつぬくもりと、明るさの裏に隠された切なさみたいなものがストーリにうまく織り込まれ、池脇千鶴演ずる霜月若菜の視線を通して生き生きと描かれている。森繁と淡路の「夫婦善哉」の世界だな、これは。

 沢田研二と田中裕子の夫婦もすばらしい。

カチンコ
 何故かamazonではDVDが見あたらない。仕方なくビデオのURLをのせているが肝心のイメージがないのは残念。どうしてこの名作のDVDがないのか?そもそもDVDが発売されていない?関係ないが、市川準でたどっていったら、斉藤由貴主演のフジテレビ番組「斉藤さんちのお客様を抱きしめて」のビデオがあるんでビックリ! 

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posted by アスラン at 06:35| Comment(6) | TrackBack(0) | 映画評(1999年) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
市川準が監督して、斉藤由貴が主演した短編ビデオ・ドラマ「漂流姫」が、市川準が映画監督に進出するきっかけになった作品なんだよ。
Posted by 通りすがり at 2007年06月18日 13:27
通りすがりさん、コメントどうもありがとう。

ただ、ちょっと斉藤由貴のビデオに驚いたという記述が舌足らずで誤解されてしまったようです。僕が驚いたのは斉藤由貴と市川準の意外なつながりの事ではなく(もちろん後述するように意外ではないので)、「斉藤さんちのお客様を抱きしめて」というビデオが出てたことへの驚きと、あれが市川準プロデュースだったのかという驚きです。

通りすがりさんの年齢が分からないのでなんとも言えませんが、僕自身は斉藤由貴のデビュー当時(講談社のミスマガジン掲載時)からのファンでしたから「斉藤さんちのお客様」はほぼ毎週見てましたし、まだ普及したばかりのビデオで録画したりしてました。一部永久保存版になっているのですが、さて実家に置きっぱなしのそれをどうやって見たらいいのかが、もっかの悩みです。

 そういえばと言ってはなんですが、「家族の食卓」という佳作が斉藤由貴の歌にあります。あれのプロモーションビデオが番組で流れました。夕食時の何気ない都会の風景を切り取ったそれは、紛れもなく映像作家・市川準の手になるものです。

 「漂流姫」も当時普及し出したレンタルビデオ屋で借りて見た記憶がありますが、市川準が監督だった事はさすがに思いいたりませんでした。貴重な情報ありがとうございます。
Posted by アスラン at 2007年06月19日 01:49
古いビデオはカビがはえて見られなくなる場合があるから、
早めにDVDなどにダビングして移し替えたほうがいいと思う。

由貴ファンなら知ってると思うけど、「家族の食卓」といえば今はこれでしょ。

http://wwwz.fujitv.co.jp/kikkake/theshortmovie.html
Posted by 通りすがり at 2007年06月20日 13:59
「大阪物語」を見ましたが、はっきりいって駄作だと思います。「東京兄妹」は素晴らしい映画でしたが、大阪は期待したほどのものではなかったのが残念でなりません。後半 池脇が父を探して大阪を放浪するシーンがだらだらと長すぎます。それにセガール息子の存在意義がわかりません。上映時間も2時間を超えているのかなと思えるほど後半は退屈極まりませんでした。もう少し編集でうまくまとめるべきだったと思います。
Posted by 赤い風車 at 2007年06月23日 13:26
通りすがりさん、再びコメントどうも。

そうは言っても実家にある結構大量のビデオ。おまけに実家には再生装置はすでになく、我が家にも壊れかかって居場所をなくして捨てられようとしている装置が一台。困りましたねぇ。

「家族の食卓」の件、もちろん知ってたよ。だからわざとコメントに入れたんだけどね。
Posted by アスラン at 2007年06月24日 01:44
赤い風車さん、コメントありがとう。

「大阪」は駄作ですか、なるほど。
考えるに、赤い風車さんと僕とでは映画に求めるもの・期待するものが違うのかもしれません。

 今となっては1999年5月に「大阪」に感動している〈僕〉を、その後一度も作品を見直していない今の僕が弁護する事はできませんし、市川監督を擁護する義理もあまり感じませんが、後半の〈退屈〉という意味は、僕の記憶では文字通りの退屈ではなかったように感じました。

 そもそも僕は淀川さんに倣って一箇所でもいいところがあれば大甘な評価をする時もあれば、一箇所でも許せないところがあれば大辛な評価を下す事もあります。

 僕にとっては「東京兄弟」は今でも最低ランクの評価は取り下げることのできない苦い作品です。あのような作品を撮り続けるような監督ならば、その後にお付き合いする作家ではなかったのですが、賢明にも市川監督は作風を修正したように思えます。

 「東京兄弟」は小津作品の醜悪な模倣以外のなにものでもありません。
Posted by アスラン at 2007年06月24日 02:10
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