2005年06月14日

ブレイブ・ストーリー 宮部みゆき

 読み始めはちょっと辛かった。
「模倣犯」のえらく長い中盤で、そば屋のあんちゃんが犯人扱いされる部分が辛くて辛くて、早く話が展開してくれぇ、と思ったんだけど今回もそれに似た感触。

 子供向けにしては辛すぎる話。いや逆に大人が読むと生々しくて辛い話。この現実なんとかしてくれぇと思った。だけど、幻界になってからは先を争うように読めた。

 で、気づいたんだけど、これは明らかに子供のためのファンタジーではない。
大人のためのファンタジーなんだよね。だから少々回りくどいけれど最初に現実を書き込んでいる。それが幻界のストーリーの伏線になっているし、ファンタジーである以上に少年小説になっている。忘れかけた少年・少女の心に、現実を生きる私たち大人が勇気づけられるわけだ。

ところで作中でてくる「ロマンシングストーン・サーガ」は架空のゲーム。
「ロマンシング・サーガ」というのはあったけど。

 それと出てくる魔道士やら杖やら剣は、RPGにおきまりのキャラやアイテムだけど、現実のRPGと一番違うのは、ワタルが最後まで未熟のままな事。その点、ミツルの方がRPGゲームの主人公を体現してる。

 ゲームの中では、どんな事をしてもプレイヤーの勝手だし、強い魔法や武器を手に入れれば思うがままの事ができる。でも試されるのは「それが本当の勇気か否か」という点。そこに宮部なりのRPG批評が入っている。

 ただ確かに「ブレイブ・ストーリー」にはRPGの文法を知っているとより楽しめるという要素はあるので、ゲーム好きでない人、RPGの作法を知らない人がとまどう部分は少なくないかもしれない。

 ところで未熟な方が勝つというRPGは、たとえば「Moon」というゲームがそうで、勇者(本来のRPGでの主人公)が倒したモンスターたちを助けて「ラブ」を集めるというもの。アンチRPGというアイディアが斬新だった。

(2003年5月15日読了)
posted by アスラン at 00:58| Comment(6) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「03/06/19」時の感想。「ワタルとミツルがヴィジョンへ行って冒険をする話。思ったよりも1本線で単純だった。」
ICOよりはおもしろかったが,宮部みゆきは「時代小説」のほうがあっているような気がします。

PS 今回,実験として(ごめんなさいね)「ホームページアドレス」に楽天のフリーページ(もちろん宮部みゆきがらみです)を入れてみました。
「確認する」でアドレスは出るのですが,そこに行けるかどうかの確認はできないのですよね。
Posted by donmabo at 2005年06月14日 04:19
確認できないですね。記事を投稿する際には確認できるんですがね。

ところで「ブレイブ・ストーリー」はストーリーに深みがないのは確かで弱点ではあると思いますが、RPGという枠組みに対する著者の思い入れがあっての戦略だと理解しています。あまり伏線張りすぎない方がいいんですよ、この場合。言いたいことは単純なんだから。

ところで「ICO」ですが残念ながら封印中です。ゲームの方がまだ終わってないので読めない。

それと時代小説はなかなか手が回らないです。これは宮部に限ったことでなく、老後の楽しみにとっておくさ、とうそぶいております。
でもせっかくのオススメなのでトライします。
「ぼんくら」の方ですよね!
Posted by アスラン at 2005年06月15日 00:37
>でもせっかくのオススメなのでトライします。
-----
「宮部みゆき」に興味があればぜひトライしてください。そうでなければ,「時代小説はなかなか手が回らない」ままでいいと思いますよ。こっちも,BLにはなかなか手が出ません(笑)。

ところで,ほんとうに失礼ながら「実験」させていただき,びっくりしました。
前回のコメントの「Posted by アスラン at 2005年06月15日 00:37」の「アスラン」をクリックすると宮部みゆきについて書いた「日記ではないページ」に行くことができるんですね。
「楽天」ではありえないことなんです。ブログのシステムってほんとうにいろいろありますね。
それとも,「よそ」から楽天に入る場合には可能なのかなあ? また,新たな疑問(大笑)!!
今回のホームページアドレスはおとなしく日記のトップページにしておきました。
Posted by donmabo at 2005年06月15日 01:17
やっとまあぼさんが言ってる意味がわかりました。

ホントにシステムが違うと目からうろこですね。
確かに楽天のページにおじゃましてコメント書こうとしてもこちらのページの参照をさせてくれない。
だからコメントの代価として自分の記事の中でリンクを張ってたわけですか。これどこにあるのか探しちゃいました。トラバからたぐれば一発だったんだ。

で、今回のPosted byアスランは、宮部の記事を指定しました。これって何リンクしてもいいみたいです。かなり融通の利く欄だとあらためて実感しました。
Posted by アスラン at 2005年06月15日 01:54
まだまだこちらも「目からうろ」だらけなので続行させていただきます。

>コメントの代価として自分の記事の中でリンクを張ってたわけですか。
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これは誤解で,「コメント」は相手の所に行って何かを書いて,相手の所で返事をもらうという姿勢です。したがって,楽天以外の人からコメントをもらったときにも,自分の所に返事を書いてそれで終わった気になっています。その人の所に行けなくて残念という場合もありますが,システム上しかたがないのと,「トラバ」と同時の場合が多く,あまり困っていません(1人だけ残念! がありましたというか現在も??)。

>Posted byアスランは、宮部の記事を指定しました。
-----
これについて2点。
1 たとえば「byアスラン」だけでは,投稿者がわかっていても,クリックする側ではどこに飛ばされるかわかりません。ということで,今回のこのコメントは「お名前」をやたら長くしてみました。
2 宮部みゆきの記事を指定したのは「失敗?」だったと思います。
クリックしたのですが,読んでいたものと同じページが別の窓で開き,ええっと思いました。「過去の関連記事」とか,ちょっと行ってほしい日記あたりのアドレスを指定されると有効だと思います。
Posted by donmabo(donmaboが京極夏彦をまとめたページ) at 2005年06月16日 00:52
まあぼさん、失敗でしたか。あんまり深く考えずトップページ以外を指定できることを伝えられればいいと思って記入したんですよね。

ところでまあぼさんの指定して記事が京極だとずいぶんあとになって気づきました。さっそく伺わせていただきます。
Posted by アスラン at 2005年06月21日 01:21
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