で、年明け最初に読了したのはアントワーヌ・ベロ「パズル」。
帯には実験的ミステリーとある。
タイトルだけ見ると恩田陸にも同名で同じ趣向のミステリーがある。一見すると繋がりのない章が一つ一つ謎をとく鍵になっていて、全体を見渡せば完成したジグソーパズルのように全てが解き明かされる。割とよくある趣向だ。
だが決定的に本作が他と違うのは、扱っている題材そのものがジグソーパズルである点だ。しかもスピードパズルというジグソーの組み立てる速さを競うツアーの関係者ばかりが殺される。
このスピードパズルという一見して実在するかのような競技がそもそも著者の頭の中で生み出された架空の競技である点だけでも、著者の独創性が見られて興味深い。
しかも純粋なパズルとしての哲学を追求するパズル学会と、娯楽に徹するスピードパズルツアーとの確執を描くストーリー展開はいかにもありそうで巧い!
そのためにジグソーパズルの哲学的考察が用意周到に散りばめられている。これだけでも著者の創作力が見て取れる。
例えば、
「ジグソーパズルは組み立て前にはジグソーとは言えない。同様に組み立てられた完成物も。本質は途中の段階に潜んでいる。」
とか、
「だから完成前の最後のピースがジグソーパズル全体を意味すると考えるむきもある。」
など。
(2005年1月5読了)



