2014年03月05日

2014年3月の新刊

 記録的な大雪を二週連続で経験した。東京で生まれ育って50年を超えるが、こんな事は未だかつてない。子供の頃には自分の長靴が埋まるほどの大雪(当時の自分にとっての)を体験したが、今の自分の印象と比較する事はできない。とにかく大変な冬だった。いや、まだ終わったと安心はできない。なにせ風は身を切るように冷たい。早く春になってほしい。いや、春になって欲しくない(花粉症がつらいから)。でも、やっぱり寒いのはイ・ヤ・ダ〜。

 とりあえず、先を急ごう。最近はこればっかりが取り柄のブログではあるが、大洋社調べ。3月の新刊チェックだ。
03/06  シャーロック・ホームズ全集 緋色の習作 アーサー・コナン・ドイル(河出文庫) 683
03/06  シャーロック・ホームズ全集シャ−ロック・ホ−ムズの冒険 アーサー・コナン・ドイル(河出文庫) 998
03/07  心理学的にありえない(下)  アダム・ファウアー(文春文庫)  819
03/07  心理学的にありえない(上) アダム・ファウアー(文春文庫) 819
03/10  バルセロナ、秘数3 中沢新一(講談社学術文庫) 未定
03/10  柄谷行人インタヴューズ2002−2013 柄谷行人(講談社文芸文庫) 1890
03/12  サクラ咲く 辻村深月(光文社文庫) 未定
03/20  ばらばら死体の夜 桜庭一樹(集英社文庫) 未定
03/25 霧越邸殺人事件(下) 綾辻行人(角川文庫) 588
03/25 霧越邸殺人事件(上) 綾辻行人(角川文庫) 546
03/28  黄昏の岸 暁の天 十二国記 小野不由美(新潮文庫) 746
03/下  リチャード・マシスン短編集(仮) リチャード・マシスン(扶桑社ミステリー) 未定


 アーサー・コナン・ドイル「シャ−ロック・ホ−ムズの冒険」。河出文庫でもシャーロック・ホームズ全集を出す。以前ならば、新潮文庫の延原謙訳全10巻が名著として知られていたが、さすがに古びたか。以前、会社の同僚から聞いた話を蒸し返すが、同僚の友人の息子で、中学生の男の子に読書感想文用に「シャーロック・ホームズの冒険」を勧めたが、差別的な表現に辟易したらしい。創元推理文庫の深町眞理子訳では、そういうところを現代風に脱色(ロンダリング)してある。気づいていれば、新訳の方を勧めるべきだった。光文社文庫では日暮雅通訳、角川文庫では石田文子訳だ。これらの訳を比べてみるのも面白いかもしれないが、まあ、やめておこう。

 アーサー・コナン・ドイル「緋色の習作」。ああ、そうか。やっと気がついた。河出文庫の全集は新訳とは言えない。以前に河出書房で出した単行本サイズの全集をそのまま文庫化したようだ。全集出版当時(1997年ごろ)に「緋色の習作」というタイトルがミステリーファンの興味を煽った。通常「緋色の研究」と呼称される同書が、なにゆえ「習作」となるか。原作のタイトルが「A study in scarlet」で、このstudyが「研究」ではふさわしくなくて「習作」の方がぴったりくるというのがタイトルの主張するところらしい。ふーむ、やっぱりよく分からないなぁ。

 アダム・ファウアー 「心理学的にありえない(上)(下)」 。うちの書棚に「数学的にありえない」の上下巻が眠っている。いや、つい最近まで上巻か下巻のいずれかがダブっていたので3冊が眠っていたのだが、さすがに部屋が本でうずもれてきたのでダブりは整理した。しかし相変わらず「数学的…」は眠ったままだ。そこへきて「心理学的」と来ましたか。これはとっとと蔵書を読むしかないな。すると、またまた一年後には「数学的…」に代わって「心理学的…」が眠る事になるかも。だからちっとも蔵書は減らないのだ。

 中沢新一「バルセロナ、秘数3」。先月「ミクロコスモス」の第一巻が発売されたばかりで、次は本書で、さらに今月は「ミクロコスモス2」が出るらしい。最近ずいぶんと中沢さんの著書はもてはやされているようだ。ようやく時代が著者に追いついたのか。著者が時代に合わせてきたのか。吉本・江藤二大巨頭亡き後に、彼らの衣鉢を継ぐのはナカザワくんとタカハシくんではないだろうか。フフフ。

 「柄谷行人インタヴューズ2002−2013」。カラタニさんは結構メディアに露出するのが好きなんだ。評論家同士が対談するのはよくあるけれど、インタビュー(「インタヴューズ」というのはずいぶん気どった表現だなぁ)をこれほど長期にわたって受け続けるのは、よっぽどの出たがりなんだと思う。そういえば最近の「文学界」だったか、いとうせいこうと対談していたし。

 辻村深月「サクラ咲く」。著者の作品を最後に読んだのは2011年の「オーダーメイド殺人クラブ」のようだ。どうやら直木賞をとってしまったので、純粋なミステリー以外の作風が混在してきたので、少し彼女の作品に力を注ぐのをやめてしまったようだ。家にも未読の初期作品があることだし、もう少し著者の作品へのフットワークをあげていきたいところだ。

 桜庭一樹「ばらばら死体の夜」。彼女が無類の読書好きな作家であるのは、よく存じ上げている。だから読書日記は好んで読ませてもらっているが、意外なほど作品の方は読んでいない。「私の男」と「青年のための読書クラブ」だけと言うのは、あまりに情けない読み方か。どうやら玄人受けする物語というところが、いまひとつ馴染めないのかもしれない。こんなに本を読んでいながらも、実はそれほど小説への愛着がないのかも。とは言え、無視しがたい作家ではある。今回のタイトルはちょっとそそられるではないか。

 綾辻行人「霧越邸殺人事件(上)(下)」。初出は1990年だそうだ。すでに24年前か。まだ大御所と言われる歳ではないだろうが、ベテラン作家というべきなんだろうな。この本が最初は新潮社で出版され、その後、新潮文庫に入り、四半世紀を経て今度は角川文庫入りを果たしている。どうしても綾辻というと講談社文庫か新潮文庫のイメージが強いが、角川文庫も著者の久々のスマッシュヒットホラー「アナザー」を文庫化したので、もうちょっと強力なラインナップを揃えたいというところだろう。最近、講談社文庫は「館シリーズ」を新装改訂版として続々と出版しているのを、次第に指をくわえて見ていられなくなった。久々に著者が躍動していた頃の作品をもう一度読み直してみるとしようか。

 小野不由美「黄昏の岸 暁の天 十二国記」。最近、書店で見かけたアラフォーかアラフィフぐらいの女性二人の会話。十二国記新潮文庫版を手にとって「この、完全版って何よ」と言っていた。どうやら十二国記は講談社X文庫ホワイトハート版で読んでいるような口ぶりだった。それでいて「同じ本を出しながら完全版って意味わからないね」という趣旨らしい事はわかった。実は新潮文庫にはシリーズNo.0(ゼロ)にあたる小説がひっそりと刊行されていた事に気づいてないのだ。「魔性の子」というのがそれだが、X文庫ホワイトハート版十二国記が刊行されていた当時は「十二国記」という冠をかぶせることは許されず、本当にひっそりと隠棲した作品だった。何しろその後「屍鬼」でホラー作家としても名をはせる事になった著者だからこそ、この作品をホラー小説だと思って手を出さなかった人も多いのではないか。僕自身もそうだった。ところが読んでみれば、紛れもない「十二国記」外伝だ。だからこそ、ついに新潮文庫版が刊行されて、名実ともに完全版「十二国記」ができあがるというわけだ。そして今月発売の「黄昏の岸 暁の天」に続いて短編集「華胥の幽夢」が出版されたら、ついに僕らファンが待ち望んだ新作長編の登場だ。

 「リチャード・マシスン短編集(仮)」。昨年、マシスンが亡くなったので、追悼記念出版と言えるだろう。どんなラインナップになるのか、出版元の扶桑社サイトにも情報が皆無なので分からない。映画「ヘルハウス」あるいは映画「激突!」のいずれも原作者であるというだけで、僕などは著者をリスペクトしてしまった。最近ではウィル・スミスが主演した映画「アイ・アム・レジェンド」の原作者という方が通りがいいだろう。原作は「地球最後の男」というタイトルで、こちらも読んだ。あとはダークファンタジー短編集と銘打った「不思議の森のアリス」にはスピルバーグの映画「トワイライト・ゾーン」の一編に採用されたストーリー「二万フィートの悪夢」まで入っていて、どれだけ昔から僕らを震え上がるほど感動させてくれてきたかが、よく分かった。
 扶桑社ミステリーには「奇術師の密室」「深夜の逃亡者」「縮みゆく男」の三冊がラインナップされ、うち「縮みゆく男」を除いた2冊は買いおいてある。今回の短編集も含めて「おくやみ読書」をするには、いい頃合いだろう。
posted by アスラン at 12:42| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | あっ、これ読みたい | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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