2014年01月14日

2014年1月の新刊

 仕事納め、大掃除、冬休みに入った子供の相手と、次々にあわただしく日々が過ぎていく年の瀬。元日は思いっきり寝坊していると、親が「新年のあいさつ」をするからと起こしに来て、お節料理と、日ごろは飲まない日本酒とで、ゆっくりと過ごした実家での「こたつのような」ぬくぬくとしたお正月は、もう僕の記憶の中にしかない。今は、僕の用意したお節やお雑煮や刺身を我が物顔に食べまくる息子の姿に、幼いころの自分の姿を重ねてみる自分がいる。

 あっという間に正月も終わり、いつものように仕事始めを迎える。仕方ない。まずは、いつものように大洋社のHP「Book Index」調べの新刊チェックからブログ始めとしようか。

01/08 永久運動の夢 アーサー・オードヒューム(ちくま学芸文庫) 1470
01/09 論理哲学論考 ヴィトゲンシュタイン(光文社古典新訳文庫) 未定
01/10 偶然の科学 ダンカン・ワッツ(ハヤカワ文庫NF) 882
01/15 岡本太郎という思想 赤坂憲雄(講談社文庫) 未定
01/15 黒猫館の殺人〈新装改訂版〉 綾辻行人(講談社文庫) 未定
01/24 ザ・ベスト・オブ・コニー・ウィリス 混沌ホテル コニー・ウィリス(ハヤカワ文庫SF) 882
01/24 無伴奏ソナタ〔新訳版〕 オースン・スコット・カード(ハヤカワ文庫SF) 1050
01/29 殺人者と恐喝者 カーター・ディクスン(創元推理文庫) 903


 正月の書店は、どこかよそよそしい顔をして落ち着かない。平積みになっているのは、ありきたりのベストセラーと、こたつにぬくぬくとくるまってテレビに興じるためのテレビ番組雑誌や子供用の雑誌などなど。出版社も冬休みを見越して動きを止めてしまうので、一月の中ごろにならないと平静を取り戻さない。それにしても、クリスマスの12月25日以来、ずっと気にかけているのは「ビブリア古書堂の事件手帖」の新作のゆくえだ。第5作となる新刊がクリスマスに合わせて出版される。前回の「新刊調べ」ではそうなっていた。きっとクリスマスネタのお話が含まれるに違いないと考えたのだが、どうやら邪推だったらしい。いま公式サイトにアクセスすると、いつの間にか1月24日発売予定に変わっている。久々に発売が待ち遠しいシリーズ本となっている。

 ヴィトゲンシュタイン「論理哲学論考」。ニーチェの「善悪の彼岸」のように、断片的な箴言に満ちた著作。柄谷行人が「探究T」「探究U」で、行き詰った思考の隘路を抜け出るために本書で著者が言及している「言語ゲーム」に注目していた。僕もわからないなりに、この著作の印象的で魅力的な、でも難解な言葉たちに好んで惑わされたくなる。

 ダンカン・ワッツ「偶然の科学」。最近、とみに自然科学のノンフィクションの文庫が刊行されている。「四色問題」が出て、翌月には「ケプラー予想」が出た。こういう本に目がないので逐一買ってしまいそうで怖い。「四色問題」は、あの茂木さんが丁寧に翻訳していると知り、俄然興味が湧いて買ってしまった。「ケプラー」も「ポアンカレ」も「リーマン」も、いま店頭で出くわしたら買ってしまいそうだ。ところで「偶然の科学」はタイトルに惹かれてピックアップ。どんな本なんだろうとググってみると、なんと松岡正剛の千夜一夜で取り上げられている。あの有名な「自分に近い6人の他人」の逸話を紹介したのも本書の著者なんだそうだ。この記事のアップをぐずぐずしていたら、一昨日書店の店頭で見つけてしまった。なかなか硬派な内容だが面白そうだ。

 赤坂憲雄「岡本太郎という思想」。岡本太郎と言ったら僕らの世代ではなにより「太陽の塔」をデザインしたアーティストだ。東京オリンピックが1964年のではなくて「おもてなし」の2020年のになっていくように、万国博と言えば「愛知万博」の記憶に塗り替えられていくのは仕方ないが、僕らの世代にとっては絶対的に「エキスポ70」の大阪万博しかありえない。その中でも絶対的シンボルだったのが太陽の塔であり、「人類の進歩と調和」というあの当時なら許せた理想を見事に体現していた。その岡本太郎という人物も思想も、実は意外なほど知っていない。あの頃の僕ら少年(だけでなく多くの大人も)にとってはかなりの変人に見えた岡本太郎が今生きていたら、引っ張りだこの人気者になっていただろう。そろそろ「岡本太郎」の内面を知っておくべきだ。

 綾辻行人「黒猫館の殺人〈新装改訂版〉」。僕が最初に彼の「館シリーズ」を発見したのが、1987年9月刊行の「十角館の殺人」ノベルス版だった。あれから丸26年もたってしまったわけだ。保存版にしていたはずのノベルスも結婚を機に実家を出る際にうっぱらってしまった。文庫版で買いなおす余裕はなかったのでそのままになってしまったけれど、この新装改訂版をぼちぼち買い集めるころ合いなんだろうか。この新装改訂版という企画は、26年も経って、その後文庫も順次発売された名作ではあるが、今の若い世代には「忘れられた名作」になりつつあることを鑑みて企画されたという位置づけになるはずだ。僕のように最初から綾辻のファンだった人間には、あまり関係のない企画だけれど、さすがに僕も26年前に購入して何度も読み直した作品であっても、そろそろ記憶を新たにしておくべきシリーズだとも言える。

「ザ・ベスト・オブ・コニー・ウィリス 混沌ホテル」。特に詳しい作家ではない。とにかく「航路」がすごかったのだ。このミステリーとSFが等分に合体したかのような絶妙なリアリティを伴った作品の核心に、僕は心底衝撃を受けた。そして結末にそこはかとなく悲しいヒロインの運命に涙が止まらなかった。こんな不思議な感動はおいそれとは手に入らない。そんな作品を書く著者なのだから、今に至るもポスト「航路」となる著作をまだ一冊も読んでない自分の怠惰を、そろそろ責めるべきだろうな。

オースン・スコット・カード「無伴奏ソナタ〔新訳版〕」。「エンダーのゲーム」の吹き替え版の予告がさかんにテレビで流れている。この予告編を見る限り、ただいま上映中の映画はかなり苦戦しているのではないだろうか。そもそもカードのひどくシニカルな筆致をそのまま映像化するのは難しいと思う。「エンダーのゲーム」はそのなかでもわかりやすい方の部類だろう。この「無伴奏ソナタ」のある種悪趣味ととられかねないニヒリズムの極北に、SFで描かれるヒーローのごくごく未来的な孤独が誠実に描かれていく。カードの著作につきあうという事は、それなりに覚悟が強いられる事に他ならない。

 カーター・ディクスン「殺人者と恐喝者」。これはすでに読んだはず。いや、読んでないけれど、単行本は実家に大切に保管されている。いや、もしや我が家の書棚に移動済みか。まあ、いい。たとえどこにあろうとも、どんな話であるかはまったく思い出せない。なんたって「殺人者と恐喝者」という平凡なタイトルだ。内容に想像がつかないし、面白そうだとも思えない。でも、逆に扇情的ではないタイトルに興味津々になってもいいかもしれない。なんたってカーター・ディクスン作品なんですもの。
posted by アスラン at 19:29| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | あっ、これ読みたい | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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