2013年12月10日

2013年12月の新刊

 暑いだとか寒いだとか言っているうちに、あっという間に師走だ。立川駅南口のシンボルとなっているケヤキの木にも毎年恒例のイルミネーションが点灯した。北口の方は、モノレール下の多目的通行スペースの並木がきれいにイルミネーションで飾られて、高島屋脇にはおしゃれなクリスマスツリーが人目を奪っている。もう何年も前からここにあったんだろうけれど、南口住民には気づきにくい。びっくりした。7時PMちょうどに居合わせたらラストクリスマスの音色が流れてきた。結構演出効いていてカップルたちの気分を盛り上げていた。以上、立川地元民のプチ情報。
では、いつものように大洋社のHP「Book Index」調べの新刊チェック。

12/03 シニアの読書生活 鷲田小彌太(文芸社文庫) 630
12/04 聖書の常識 山本七平(文春学藝ライブラリー) 1407
12/04 かわいそうだね? 綿矢りさ(文春文庫) 525
12/05 5分で読める!ひと駅ストーリー 冬の記憶 西口編 『このミステリーがすごい!』編集部(宝島社文庫) 680
12/05 5分で読める!ひと駅ストーリー 冬の記憶 東口編 『このミステリーがすごい!』編集部(宝島社文庫) 680
12/05 いつまでも考える、ひたすら考える 保坂和志(草思社文庫) 672
12/05 生命40億年全史(上) リチャード・フォーティ(草思社文庫) 945
12/05 生命40億年全史(下) リチャード・フォーティ(草思社文庫) 945
12/10 ぼくは本屋のおやじさん 早川義夫(ちくま文庫) 756
12/10 大山康晴の晩節 河口俊彦(ちくま文庫) 945
12/13 門【漱石コレクション】 夏目漱石(集英社文庫) 未定
12/17 存在と時間(4) ハイデガー(岩波文庫) 1260
12/20 予期せぬ結末(3)(仮) リチャード・マシスン(扶桑社ミステリー)
12/25 ケプラー予想 四百年の難問が解けるまで ジョージ・G・スピーロ(新潮文庫) 987
12/25 ビブリア古書堂の事件手帖(5) 三上延(メディアワークス文庫) 578
12/25 マザーズ 金原ひとみ(新潮文庫) 830
12/25 華胥の幽夢 十二国記 小野不由美(新潮文庫) 662
12/25 直観を磨くもの(仮) 小林秀雄(新潮文庫) 704
12/25 話し言葉の日本語 井上ひさし(新潮文庫) 662


 鷲田小彌太「シニアの読書生活」。シニアってどの年代かな。いわゆる初老と言われる年代をさしているのだろうか。僕も近づいているような気がする。「読書生活」と構えて言われても、すでに日常的に読書生活を始めているので、おそらくきっと「シニアのリタイア生活」みたいな心構えで読書をライフスタイルの中に組み込みましょうという事のような気がする。うーん、いるのだろうか、僕に。僕の決めていることと言えば、時代小説の大作などは、歳をとってから読めばいいかなと思っているんだけれど、意外と外見と中身とではどんどんずれが大きくなっていくようで、僕が子供の頃、学生の頃に想像していたような老年はまだまだ訪れそうにない。だったら今のとおり、好きなものを好きなだけ読めばいいじゃん。

 山本七平「聖書の常識」。ちょっと気になっているのはイザヤ・ベンダサン名義で書いた「日本人とユダヤ人」だ。もう、僕が気づいた頃には、これがユダヤ人と自称している著者が書いたいわゆる偽書であることは明白な状況になっていた。ああ、確か6歳違いの兄の本棚にもあったような気がしたな。勉強好きというわけでもない兄が読んでいたくらいだから(読み切ったかどうかは疑わしいが)、出版当時(1970年)は結構売れたんだろう。まあ、とにかくユダヤ人作家を騙った事で山本七平という人物が山師のように見えてしまって、まだ一冊も読んでない。読まなくてもいいかもしれないが、まあ、一冊くらいはつきあってみてもいいだろう。

 綿矢りさ「かわいそうだね?」。えーと、デビュー作からずっとつかず離れず読んできている。「夢を与える」は、なかなかすごい話だった。「蹴りたい背中」で芥川賞を受賞した時はまだ高校生で文学少女然としていたので、「蹴りたい背中」のちょっと変態的な内面を持った女子高生という、一種の私小説のような作品に意表をつかれた人も多かったに違いない。でも「インストール」を読めば、芥川賞は伊達じゃないんだとわかるくらい、独自な内面と文体をもった、でも女の子だった。それが女子大生になり、今や何歳になったのかわからないくらい普通の女流作家に成長し、「夢を与える」を書いても違和感のない作家となった。だから今度は「かわいそうだね?」だね。おっと、そういえば「勝手にふるえてろ」があったんだっけ。図書館で借りて、読み切らずに返してしまったんだった。いやぁ、ファンのような顔をするのはおこがましい。もうちょっときちんと読んでいかねば。 「5分で読める!ひと駅ストーリー 冬の記憶」の二冊。タイトルの不思議さに惹かれた。だいたい電車の中は読書好きにとって貴重な読書タイムを与えてくれる空間だ。数駅乗って乗り換えなんて事もよくあるので5分で読めるというショートショートの気の利いた短編集というのは面白い。だけど、何故「西口編」と「東口編」に分かれているんだろう。そこに何か仕掛けを感じたのは僕だけだろうか。となると二冊両方読む事に意味があるのかもしれない。かといって買うほどの気持ちはないんだけどねぇ。

 保坂和志「いつまでも考える、ひたすら考える」。先日「未明の闘争」を借りて大切に2週間保管したまま返却してしまった。ジェフリー・ディーヴァーの新作「シャドウ・ストーカー」を始め、待ち続けた本が同時多発的に手元に届いてしまった結果、「未明の…」はあきらめた。小説論・文体論を書くほどの理論派の著者が、いわば無造作に推敲していないかのような文体で書き綴った、やわらかな小説。そんな話が耳に入ったので読みたいと思って予約したのに手放した。それはそれとしてまたの機会に譲ろう。とりあえずは書店の平積みで新刊に出逢うところから始めよう。12/5なんだけど、いまだ見当たらず。

 「生命40億年全史(上)(下)」。これって確か単行本が出たときに読みたいと思った本の文庫化だ。通常は人間が気づいてきた歴史とか、生命とは言ってるけれど、主に人類への進化をゴールにしたような進化史が当たり前のように描かれてきたけれど、この本は「生命」というものがどこでどのように発生して、人類もその通過点として、どのように変化していくかを見すえた形での「生命史」。これは、今まであるようでなかったなぁと、単行本を見て感じた。文庫になったのなら文庫で読みたいところだが、駄目なら単行本を借りればいいや。

 早川義夫「ぼくは本屋のおやじさん」。アレアレアの(といっても立川のジモティ以外は分からないだろうが)オリオン書房(といっても、やはり立川住民以外は慣れ親しまない本屋名だろうけれど)に、書店員が選んだ企画本のコーナーがあって、その一冊として選ばれた作品。僕自身もこのセンスのいいチョイスの中から、フォークシンガーとして知られた早川義夫さんが書いたエッセイの面白さに触れたいと思った。

 河口俊彦「大山康晴の晩節」。将棋ファンという新たな趣味の道が開けてしまってからというもの、将棋関連の書籍が刊行されると気になってしかたがない。今一番気になっているのは将棋連盟発行のムック本だ。谷川浩司、羽生善治、森内俊之までは順当としてVol.4が、あの「ひふみん」もとい、加藤一二三九段なのだ。フジテレビの「アウト×デラックス」を見ている人なら、どんなに飛び抜けたキャラなのか分かると思うが、実は将棋界では功成り名成りを遂げた「すっごい人物」なのだ。そのムック本は思った以上に「ひふみん」ワールドにかなりのページを割いた、実に異例な内容になっている。ほ、欲しい…。なんと谷川さんをスキップして羽生さんムックを買い、森内さんのを買うかどうか迷っているというのに、もう「次に買いそろえるなら加藤九段の方かな」などと、まっとうな将棋ファンからすれば不埒な事を考えている。ああ、「大山康晴の晩節」の話だった。川口俊彦という方は将棋界では知らぬ者がいないほどの将棋ライターであり、多数の著作をものしている。自身が元々は棋士だった。著者のエッセイをすでに新潮文庫で一冊持っているのだから、まずはそちらを読んでからだな。なんと言っても将棋関連の本は多い。多すぎる。

 「門【漱石コレクション】」(集英社文庫)。集英社文庫は、これまでに漱石の長編を一通り文庫にしてきたのじゃなかっただっけ?いや、違うのかな。どうやら「門」は今回が初めてのようだ。「漱石コレクション」というシリーズ名は、今回から付けたように思うが、さて何か変わったところが出てくるのかな。

 「存在と時間(4)」(岩波文庫)。まあ、あきらめが悪い人間としては、いまだに、この難解な哲学書を読む機会をうかがっている。この世紀末的な状況、人類としての閉塞感の漂う現代において、「ハイデガーを読まないでいいのか」とたえず問いかけられている気がするのは僕だけでしょうか?いや、単なるミーハー魂にすぎません。

 「予期せぬ結末(3)(仮)」。何故(3)なのか。すでに(1)(2)が刊行されているのだろうか。あれ?ひょっとして「リチャード・マシスン他」なのかな。マシスンが今年なくなったばかりなので、追悼の意味で未刊の作品を出版するのかと思ったのだけれど、そういう気の利いた企画ではなさそうだ。マシスンさん。「ヘルハウス」の原作者。すばらしいホラーをありがとう。合掌。

 ジョージ・G・スピーロ「ケプラー予想 四百年の難問が解けるまで」。著者は置いておくとして、翻訳が青木薫さんなんだよね。サイモン・シンの著作はすべて彼女の訳。僕はシンの作品同様に青木さんの訳に絶大の信頼を置いている。だから、「買います」と言いたいところなんだけれど、最近は、軒並み科学や数学のノンフィクションの文庫化を進めているようで、つい最近も茂木さんが訳した「四色問題」を購入したばかり。「ケプラー予想」も、となると、もうあきらかに買いすぎだ。財布の中身が寂しくなるだけではない。本が増えている事を家の者に感づかれてしまう。そもそも本当に読むのか、などなど。問題は山積みだ。

 三上延「ビブリア古書堂の事件手帖(5)」。まあ、いろいろ紹介してはいるが、今月の目玉はなんといってもこれだろう。剛力彩芽とAKIRAとでテレビドラマ化されたのをいい機会に、原作を今年読破した。文学作品を題材にしたミステリーのたぐいはたくさんあるけれど、この作品はあまり真正面から文学好きだけを対象に書き込む事はせずに、気軽に楽しめる。だけれど、作品のチョイスはなかなかに文学好きの人たちの好奇心をくすぐるようなセンスの良さを見せている。クリスマスに刊行。何か今回取り上げる文学作品に仕掛けがあるのだろうか。

 金原ひとみ「マザーズ」。以前に、借りようと思ったのはどういう経緯からだったろう。だれかの書評本で紹介されていたはずだ。いわゆる新聞の書評では厳しい事も書かれていたように思うが、芥川賞受賞作「蛇とピアス」以来の金原作品との邂逅になる。そういえば今月の新刊リストには、ダブル受賞で世間を賑わせた綿やりさの新作も含まれている。

 小野不由美「華胥の幽夢 十二国記」。ふーむ、ずいぶん出版されてしまった。これは長編が書かれなくなって久しく、十二国記ファンをやきもきさせ続けた挙げ句に、ようやく著者が重い腰を上げて書き上げた短編集。泰の国の麒麟「泰麒(たいき)」の過酷な運命が過酷なまま放置されて、次の長編で良き結末を待ち望んでいたファンを嘲笑うかのように(まあ、そんなに意地の悪い著者ではないにしろ、待てど暮らせどのファンの思いは皆同じ)、短編集が出て肩すかしを食らわせられたのが2001年の事。あれからすでに10年以上が経過している。本作が出版されれば、いよいよ新潮文庫「十二国記」完全版のオリジナル長編の登場だ。

 小林秀雄「直観を磨くもの(仮)」。はて、一体何を今度は切り売りして、新潮社は小林秀雄で稼ぐつもりなのだろうか。と口汚くののしったとしても、中身は小林秀雄その人の文章。買ってしまうんだろうな。でも表題からすると、前作「人間の建設」同様、対談集なのかもしれない。いっそのこと、全集を文庫化するということは無理なのかな。いや、無理だろうね、やっぱり。
 
 井上ひさし/平田オリザ「話し言葉の日本語」。Book Indexでは井上ひさしさんしか著者名に記されてなかったが、どうやら調べてみると劇作家の平田さんの共著。というか、紹介文を読むと「対話集」となっているので、対談の間違いかと思ったのだけれど、やはり対話集。たぶん話し言葉について書きたい事を書いて、相手の原稿を読んだ上で次を書き継ぐみたいなリレー論文的な事だろうか。いずれにしても「話し言葉」に焦点を絞った日本語評論ってありそうで結構ないので、二人の言葉の達人の話にはちょっと興味がある。
posted by アスラン at 19:27| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | あっ、これ読みたい | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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