今回、初めて読んでなかなか楽しめた。いや素直に面白かった。要は、妖怪もの(ホラーやオカルト)とミステリーをうまく融合した娯楽作品という感じだ。
確かに会社の同僚が読んで躓いたように、推理小説を期待すると躓く。必ず躓くだろうな。でも、なんとなく時代背景や大仰な探偵像からは、乱歩や横溝などが作り出した探偵小説の香りがする。
その上、うんちくを語りまくる京極堂は、ヴァンダインのような本格ミステリー黄金期の探偵そのものに見える。つまり、本作はケレン味たっぷりのエンターテイメントというわけだ。どうして女性ファンが多いのかは、もうちょっと読み継がないとわからないが、京極堂の訳の分からないうんちくに躓きさえしなければ、思いの外読みやすい。
しかしそれにしても、この内容で600ページも必要かと言われるとどうだろう。乱歩や横溝だったら、この半分以下で書けるんじゃないだろうか。饒舌すぎてサービス過剰なところが、この作品の数少ない欠点なのかもしれない。
「塗仏の始末」まで読み継いでしまった今となると、本作はそれほど厚くない。600ページ。いいんじゃないんですか。
もう一度読みに戻ってくるよ。
だって単なるミステリーじゃない。
単なる妖怪話じゃない。
単なる憑き物落とし、陰陽師の話じゃない。
人間群像なんだ。ゆめゆめ、サブキャラをサブキャラと読み飛ばすなかれ。
(2005/05/13初出)



