決して恩田陸が嫌いなわけではない。いやむしろ好きな作家だ。文章もうまいし、内容も幅広い。どれを読んでもよく出来てる。そう上手いのだ。巧すぎると言っていい。器用貧乏と言ったら言い過ぎだろうか。こう言えば分かるだろうか。恩田陸は屈指の読書家でもある。影響というのではないが読んだ本から試してみたい書いてみたい題材は無数にあるらしい。
そこに僕には腑に落ちるものがある。彼女の作品はいつも何かに似ているのだ。何かとは特定の小説を指すのではなく、無数の小説の空間とか登場人物そのものを指す。彼ら登場人物は予め本の世界に住む事を定められ本の中に住んでいる事に気づかない存在に見える。この印象が作品に与える影響は小さくない。例えば宮部みゆきのどの作品をとっても、描かれる人物や社会の外側がたとえ書かれなくても存在してるように感じられる。しかし恩田陸の作品は作者が作った箱庭のようだ。その外側には何もない。
だから「夜のピクニック」も歩行祭という限定された空間の外側はないし、歩行祭が終われば主人公たちのその後も本当は存在しなくなる。それが物足りなくもあり、寂しくも感じる理由だろう。ならば期待はずれであったかというとさにあらず。出色の出来と言っていい。ここには高校生活に置き去りにしてきた若さ故の醜さやもどかしさ、無関心、うしろめたさ、恥ずかしさ、怒り、戸惑い、それらすべてが描かれているのだ。
主人公の融(とおる)が振り返るように、ひょっとしたら誰しもが高校生で味わいつくすべきだった事をやりすごして後悔するのかもしれない。少なくとも彼の述懐は僕自身のものだ。
(2005/05/09初出)




「お気に入りリンク」の登録、ありがとうございます。
デザインがお揃いになってしまいました・・。
前使っていたピンク色のは、何となくくどい感じがして、新しいのを探していました。
あんまり、いいのないんですよね・・・。
この間までアスランさんが使っていた「若葉」にも挑戦してみた事もあったのだけれど、いまいち私には似合わない?感じがして。
それで、この新作!「ガーベラ」にしました。
これからも、どんどん新しいデザインが出来ればいいですね。
デザインを新しくしたら、今までおいていたリンクがなくなってしまったので、今度お休みの日にでも、また登録しようと思います。
その時は、こちらのBlogも登録させてくださいね。
コメントではなく、ただのおしゃべりになってしまいました。
すみません・・・。
題名に惹かれて六番目の小夜子を読んでから、多分、小説は全部読んでいるのですが、ストーリーとして収束しているのは、六番目の小夜子・月の裏側・Q&Aくらいしか思い浮かびません。きっと好きなんだと思うのですが、いつも不完全燃焼感が残ります。
夜のピクニックも収束した感はあるのですが、こぢんまりしている気がして、私的には少し物足りなかったです。
MAZEは序盤から中盤にかけて、かなりワクワクしながら読みました。でも、あのラスト・・・
私はもしかすると、恩田陸の広げるだけ広げてなげっぱなしな未完成感に惹かれているのかもしれません(笑)
そういえば図書館で検索してみたら「月の裏側」って題名の海外作品がありました。「ねじの回転」もヘンリー・ジェイムスと同名だし、やはり何かに似ているという気がするのは当然なのかもしれません。
分ります。そう思ってネクロポリスまで来てしまったのですが、私的にはちょいといまいち(笑)
それにしても恩田さん次々と新作を出しますねぇ。ちょっと読むのおろそかにしてるとどんどん置いていかれるので困ります。