2012年02月16日

平積みに魅せられて(2011月12月号)

 年末年始は怒濤のようにスケジュールが詰まっていて、当然ながら諸事つまらない事からどんどんどんどん置き去りになってしまう。一方で期末に近づくに連れて、仕事の忙しさは加速度的に激しくなっていく。となると終電近くに立川駅に降り立ち、そのまま家路につくのではなく、夜の12時までやっているオリオン書房アレアレア店に立ち寄って、平積みを楽しむ事だけがささやかな楽しみだと言っていい。

 というわけで、以下の平積みリストにもアレアレア店はなんども登場する。しかも日付が入っていない。こそこそとタイトルを書店で携帯に写し取る(誤解を招く言い方だ。決して撮影している訳ではない。携帯でメモを取っているだけです)際に、日付と店名を書き込む約束になっているのにその余裕すらなかったに違いない。だって店内に赴くとまもなく閉店まぎわの「蛍の光」が流れてしまうからだ。こちらも慌てて店内を経巡り、魅惑的な平積みを見つけては、とるものもとりあえずタイトルだけ書き取る。そんな当時の状況がメモに封じ込められているわけだ。やれやれ。

[2011/12/21武蔵小杉・北野ブックランド]
 タイムマシンのつくりかた ポール・デイヴィス(草思社文庫)
 忘れられる過去 荒川洋治(朝日文庫)


 「タイムマシンのつくりかた」はれっきとした科学ノンフィクションだ。こういうタイトルのSFオムニバスなどが結構あるので、僕も最初は表紙を見て??と思った。別にSFならSFでも良いんだけど、どんな面白い物語が読めるのかと思えば、最新の現代物理学理論で、今考え得る「タイムマシンとは何か」を紐解いてくれる。かつて講談社のブルーバックスで分かったような分からないような宙づり気分を味わった。あれをもう一度、もうちょっと大人向きに、でも素人に分かるように楽しく堪能させてほしいものだ。

 「忘れられる過去」。荒川洋治さんのエッセイは、言葉の持つ真の力に気づかせてくれる。そんな感じがする。例えば高橋源一郎さんの書評本は、本そのもの、小説そのもの、あるいは作家そのものに直接関わらせてくれて、僕らに文学の楽しさを教えてくれるのだが、荒川さんの方法論はそれとは全然違う。なんだか、僕は荒川さんの文章を読むと、勇気のようなもの、希望のようなものを受け取る事ができる。それはたとえ荒川さんが現代詩の状況を憂えて鋭く現代詩に切り込んでいくときでさえ、荒川さんのような人がいれば、別に心配するにはあたらないんじゃないだろうか、などと思ってしまう。

[2011/12/??オリオン書房アレアレア店]
 ミステリアスデイズ
 失踪入門 人生はやりなおせる! 吾妻ひでお(徳間文庫)


 不思議だ。たしかに「ミステリアスデイズ」と書いてある。自分が書いた(正確には携帯で打った)のだ。でも、今となってはどんな本か全然覚えていない。どうせウェブで検索すればたちどころに著者も出版社も値段もわかるはずだ。そうなんだよね…。でも、どうやら今現在に至るも、「ミステリアスデイズ」というタイトルの本は出版されていない。そういえばカタカナで打ってはあるが、本当は英語で書いてあったような気がする。でも、ヒットしない。やっぱり疲れて寝ぼけてたのだろうか?

 「失踪入門」は、今や失踪専門家ともいえる漫画家・吾妻ひでおさんの実用書です。失踪の方法を手ほどきしてくれるのかな?副題が「人生はやりなおせる!」をあるから、失踪するくらいであれば、人生のやり直しの方がまだましということだろうか?読みたいなぁと取り上げたが、自宅の書棚に吾妻さんの「失踪日記」が何気なく待ちぼうけを食っているのに気がついた。まずは手元の書籍を消化しないとね。


[2011/12/??オリオン書房アレアレア店]
 徒然草REMIX 酒井順子(新潮社)
 舟を編む 三浦しをん(光文社)
 謎解き名作ミステリ講座 佳多山大地(講談社)


「徒然草REMIX」は、あの「負け犬の遠吠え」の作者による「自意識の人・兼好」のガイドブック。遠吠えを聞かされるよりも楽しそうだ。


「舟を編む」。すでに昨年12月に予約したけれど、時すでに遅く、いまだ91人待ちの状況。辞書の編纂の話なんて全く知らなかったし。本屋大賞の候補だったって知らなかったし。早く読みたいなぁ。


「謎解き名作ミステリ講座」は装丁はしごく地味なんだけれど、内容には惹きつけられる。古今東西のミステリを講義してくれるのだが、この「古今東西」には最近のリアリティあふれるミステリーではなく、ドイルに始まる名作を多く取り上げている。アイリッシュの代表作「幻の女」の講義なんて、この後におよんで滅多に聞けるものではない。ああ、楽しみだ。と、まだ予約してなかった。


[2011/12/?鹿島田・北野書店]
 詩羽のいる街 山本弘(角川文庫)
 透明人間の告白(上・下) H・F・セイント(河出文庫)


山本弘は、昨年「去年はいい年になるだろう」と「アリスへの決別」の2冊を読んだ。「神は沈黙せず」同様、期待をはずさないシュアな面白SFを提供してくれる。なんと言うか、絶妙なオタク成分が注入されていながら、素人にもわかりやすい「科学ノンフィクション」的な肩の凝らないSFエンターテイメントと言えばいいのだろうか。きっと「詩羽のいる街」も楽しめそうだ。


「透明人間の告白」は以前は新潮文庫で出版されていた。その本の帯に「本の雑誌が選ぶ30年間のベスト30」の第一位に選ばれたと堂々と書かれていた。その新潮文庫本上下2巻が、会社最寄りの古本屋で210で購入できる。ずっと気になっていたけれども買うのをためらっていた。そうしたら河出文庫で新刊が出版された。たしか椎名誠が解説を書いている。いや、これはもう読めということだろう。さっそく売れそびれていた上下巻を購入しました。あとは、いつ読むか、だ。
 

[2011/12/02立川・オリオン書房サザン店]
 電化文学列伝 長嶋有(講談社文庫)
 アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ ジョー・マーチャント(文春文庫)



「電化文学列伝」。「作品中の家電製品の描かれ方を軸に文学を語る」という方法は、家電という切り口が目新しいけれど、小道具から作品全体を読み解く映画評論などを考えると従来からあった方法論だと思う。でも、やはり家電という身近な存在に僕らの生活は慣れすぎていて、こういう風にとりあげてくれると、あらためて家電と人間との関係性から現代の人間の本質が浮かび上がってくるのだと思える。


「アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ」は、あらすじを読み出すと「ああ、SFエンターテイメントか、いやファンタジーかな」などと思うのだが、末尾に科学ノンフィクションと書かれている。あれ?これって現実の話なの?いやぁ、一気に昔のUFOやミステリーサークルやキャトル・ミューティレーションなどにはまっていた時代を思い起こしてしまった。でも、まじめにノンフィクションなんだよね。とにかく読むしかない…か。
posted by アスラン at 19:13| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | あっ、これ読みたい | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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