2006年07月29日

『発見。角川文庫2006』VS.『発見。角川文庫2005』

 夏の文庫キャンペーンのVS.シリーズ第3弾。今回は角川文庫の「発見。角川文庫」を取り上げる。

 メインキャラは、昨年から引き続いて宮崎あおいだ。ナツイチの蒼井優みたいに何かの作品と関わりがあるわけではなさそうだ。単にもう一年という事でしかないようだ。彼女のナチュラルさは蒼井優にひけをとらないが、旬の女優という点でやや劣るのは否めない。

 思えば角川文庫だけが、パンフの作品紹介がアイウエオ順やジャンル分けではない。要するに話題性に富む作家や作品優先と言えばいいか。だからメディアミックス路線と芥川賞・直木賞偏重主義は相変わらずだ。

 今年は「ダ・ヴィンチ・コード」「ブレイブ・ストーリー」があるのがラインナップとしては何より心強い。昨年の筆頭・宮部みゆきの作品を見ると、いわゆる彼女の代表作がひとつもなくて短編ばかり。角川のラインナップは弱いと指摘したのだが、今年は「ブレイブ・ストーリー」は加入した事でラインナップに芯がとおった。ただし大本命ダ・ヴィンチ・コードにはさすがに勝てず、筆頭の位置を明け渡すこととなった。

 さて、では角川の露骨な商業主義によって恩恵と犠牲を強いられた作家たちの盛衰を以下に見てみよう。まずは躍進組だ。

[躍進]
(昨年無し)→ダン・ブラウン(2,紹介)
森絵都(半)→森絵都(2,紹介)
東野圭吾(半)→東野圭吾(2,紹介)
山本文緒(2,紹介)→山本文緒(2,紹介)
(昨年無し)→華恵(1,紹介)


 括弧内の数字は掲載スペース(頁数)で「紹介」は著者紹介有りを意味する。初登場で作家紹介付きなのは、ダン・ブラウンと華恵の二人だ。もっともブラウンの写真は無くてモナリザの顔と映画情報が占めている。華恵は15歳のモデルでありながら天才作文家として脚光をあびたそうだ。名前どおり華が感じられる。

 宮部、あさのあつこの次という、ある意味躍進組の掲載位置最高位を占めるのが東野圭吾だ。言うまでもなく今年「容疑者Xの献身」で直木賞を受賞した結果がこれだ。

 森絵都はパンフレットの構成決定時には直木賞受賞してはいないが、それぞれに児童文学賞を取った3作品が並んだ。そしておそらくは直木賞の可能性を見据えた編集部の英断だったと思う。

 山本文緒は頁数からみると変化なしだが掲載位置が東野圭吾と森絵都の間に割り込む。特に話題性をもった結果とは思えないので、堂々たる実力で勝ち取った位置と考えるべきだろう。

 では躍進組の影で後退を余儀なくされたのは誰だろう。

[後退]

角田光代(2紹介)→角田光代(1)
京極夏彦(2紹介)→京極夏彦(1紹介)
大崎善生(2紹介)→大崎善生(1)
白石一文(2紹介)→白石一文(半)


 まずはなんと言っても角田光代だ。昨年の直木賞受賞者だ。掲載位置は実はそれほど悪くはない。森絵都の次だから。いや考えようでは最悪か。新・直木賞作家と直木賞ノミネート作家の次点に甘んじて、頁数は減り著者紹介もない。あまりに酷い仕打ちと言えるだろうか?

 いえいえ、これが「発見。角川文庫」の現実なのです。何故なら昨年角田自身もかつての直木賞作家・林真理子を撤退に追いやって割り込んできたのだから。林真理子は今年半頁の復活を果たしたが、いわゆる冷飯食いの境遇は変わらない。

 京極夏彦の境遇も似たようなものか。昨年の「『京極堂』と『巷説』どちらから読む?」という新潮文庫に挑戦状を叩きつけた煽情的なコピーは鳴りをひそめた。新作が出ない作家はこんなものか。

 大崎善生は著者紹介がなくなったが2作品は変わらず。まずまずか。一番割りを食ったのは実は白石一文かもしれない。著者紹介なし、作品も3つから1つに減っている。しかしなんとなく残った「一瞬の光」のタイトル同様、昨年が一瞬の輝きだった気がしないでもない。

 以上が躍進・後退の作家それぞれだが、今回大御所が二人返り咲いているので紹介しておこう。

[返り咲き]
(昨年無し)→星新一(1紹介)
(昨年無し)→筒井康隆(1紹介)


 筒井康隆の作品はあの名作「時をかける少女」だ。角川映画の人気を不動のものとした大林宣彦監督作品の原作だ。今回は初のアニメ化に合わせた戦略だが、なんどもなんどもリバイバルされる名作であることは間違いない。

 一方、星新一は特にメディアミックス戦略というわけではない。しかし、筒井同様これまた名作「きまぐれロボット」である。本作はもう日本のSFファンタジーの古典と言っていいだろう。なんとも懐かしく中学の頃に文庫をむさぼるように読み出した際に、手始めに買ったのが星新一だった。

 では最後に恒例の「今年新しく入った本」と「今年消えた本」のリストを挙げる。リストの太字は「今年新しく入った作家」と「今年消えた作家」である。

[今年新しく入った本(38冊)]

愛がなんだ 角田光代
秋に墓標を 大沢在昌
@ベイビーメール 山田悠介
ある愛の詩 新堂冬樹
板谷バカ三代 ゲッツ板谷
失はれる物語 乙一
かっぽん屋 重松清
キッチン 吉本ばなな
きっと君は泣く 山本文緒
きまぐれロボット 星新一
狂王の庭 小池真理子
グミ・チョコレート・パイン グミ編 大槻ケンヂ
クリムゾンの迷宮 貴志祐介
ザ・エクセレントカンパニー 新・燃ゆるとき 高杉良
殺人の門 東野圭吾
詩集 すみわたる夜空のような 銀色夏生
小学生日記 華恵
処刑列車 大石圭
ジョゼと虎と魚たち 田辺聖子
聖家族のランチ 林真理子
DIVE!! 森絵都
探偵倶楽部 東野圭吾
着信アリ/着信アリ2 秋元康
つきのふね 森絵都
時をかける少女 筒井康隆
泣かない子供 江國香織
夏のこどもたち 川島誠
眠れるラプンツェル 山本文緒
氷点 三浦綾子
ブレイブ・ストーリー 宮部みゆき
マンゴー・レイン 馳星周
楽園のつくりかた 笹生陽子
新版 人生論 トルストイ
ダ・ヴィンチ・コード ダン・ブラウン
天使と悪魔 ダン・ブラウン
新訳 ハムレット シェイクスピア
ペギー・スー i 魔法の瞳をもつ少女 セルジュ・ブリュソロ
新訳 ロミオとジュリエット シェイクスピア


[今年消えた本(43冊)]

あしたはうんと遠くへいこう 角田光代
家ができました 銀色夏生
家出のすすめ 寺山修司
インド怪人紀行 ゲッツ板谷
おとな二人の午後 五木寛之/塩野七生
女の仕事じまん 酒井順子
女の旅じまん 酒井順子
哀しい予感 吉本ばなな
川のむこう つれづれノート14 銀色夏生
感傷の街角 大沢在昌
きみにしか聞こえない―CALLING YOU 乙一
愚者のエンドロール 米澤穂信
黒い家 貴志祐介
刺繍する少女 小川洋子 疾走 重松清
失踪HOLIDAY 乙一
13のエロチカ 坂東眞砂子
新撰組血風録 新装版 司馬遼太郎
すぐそばの彼方 白石一文
セカンド・ショット 川島誠
絶対泣かない 山本文緒
新装版 戦国自衛隊 半村良
続巷説百物語 京極夏彦
夏休みは命がけ! とみなが貴和
成りあがり 矢沢永吉
新装版 人間の証明 森村誠一
ビューティフルライフ 北川悦吏子
氷菓 米澤穂信
ピンク・バス 角田光代
不自由な心 白石一文
ブルーもしくはブルー 山本文緒
平家(一) 池宮彰一郎
勇気凜々 高杉良
冷静と情熱のあいだ Blu 辻仁成
冷静と情熱のあいだ Rosso 江國香織
恋愛中毒 山本文緒
忘れ雪 新堂冬樹
私たちは繁殖しているピンク 内田春菊
わらう伊右衛門 京極夏彦
オペラ座の怪人 ガストン・ルルー
ゲバラ日記 チェ・ゲバラ
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