2006年07月18日

「アッスンタ・スピーナ」(淀川長治映画塾にて,1998年3月28日(土))

 アテネ・フランセで3ヶ月ぶりに淀川長治映画塾が開かれた。淀川さんは少々痩せたように見えたが、講演を始めると元気に話し続けた。

 今回はイタリア映画の魅力についてのお話。アメリカ映画は初めからエンターテイメントを撮り、イタリア映画は初めから芸術映画を撮っていた。

 サイレントの「アッスンタ・スピーナ」(no.44)は、戦後現れたネオ・リアリスモの源流とも言えるリアリスム映画だ。何より驚かされるのは登場人物の背景に描かれるナポリの海の美しさであり、その生々しさである。サイレントと言えばセット撮影が当たり前の時代にいち早くロケを前面に押し立てた前衛性に心がうたれた。

カチンコ
 と何を偉そうに書いていると言われそうだが、淀川さんのガイドがなければサイレントムービーに触手がのびることは滅多にないだろう。今となってはこれが淀川さんの話をじかに聴けた最後だったかな。映画塾が水道橋のアテネ・フランセの3階にある多目的ホールで開催されるようになって最初の方こそ、毎回欠かさず聴きに行くぞと意気込んでいたが、自分の体調や仕事の忙しさなどもあり、半分も行けなかった。

 行くたびにホール前で並ぶ映画ファン、淀川ファンの前に淀川さんは機嫌よく姿を現す。あそこはエレベーターがないため、淀川さんは3階まで人の手を借りずに登ってくる。そこらへんの事情は、本になった「淀川長治映画塾」のあとがきに書かれている。僕が出た最後の方の回では病気のために衰えが誰の目にも明らかであったにもかかわらず、やはりいつものように階段を上がってくる淀川さんをみんな息をひそめて、しかしいつもと変わらない淀川さんの笑顔が現れると、とたんにみんなニコニコと迎えるのが常だった。

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posted by アスラン at 01:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画評(1998年) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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