2006年06月22日

「アンナ・カレーニナ」「ゲット・オン・ザ・バス」(1998年4月19日(日))

 有楽町スバル座で「アンナ・カレーニナ」(no.56)を観る。

 トルストイの同名の小説の映画化だ。原作は残念ながら読んでないが、厚手の文庫3冊からなる大長編を2時間足らずにまとめたバーナード・ローズ脚本・監督の手腕が光る。

 この手の大河ロマンは、オールスターキャストの紋切り型の映画になりがちだが、この作品はキャスティングも玄人受けする人ばかりだし、演出もオーソドックスを旨としているし、映像も派手々々しくなく品の良さを漂わせている

 何よりソフィー・マルソー演じるアンナの美しさ、若々しさが素晴らしい。禁じられた恋に身を焦がす時の上気した頬と一途な思いを訴えかけるまなざし。「ブレイブハート」の王妃役といい、気高い美しさを感じさせる旬の女優に成長している

 山手線、中央線、総武線と乗り継いでBox東中野で「ゲット・オン・ザ・バス」(no.55)を観る。

 この映画館に来るのは初めてだ。中野というだけで遠くていつもは敬遠していたが、スパイク・リー作品とくれば致し方ない。普通の小さな駅近くのビルの地下にあり、席数102のミニシアターだが、中々立派できれいな劇場だ。ロビーがほとんどない事をのぞけば、意外と広々としている。

 映画はワシントンで黒人のために開かれる「百万人の大行進」にロサンゼルスから丸3日かけて参加するツアーバスに乗り合わせた13人の黒人たちの道中記だ。年齢も職業も生活も全く違う彼等は互いをブラザーと呼び合い、行進に参加するという共通の目的のもとに連帯しあう。しかし当初の高揚感から冷めると、黒人の置かれた現実はバスの中にもはっきりと見えてくる

 裁判所命令で息子を手錠で繋ぎとめる親。孤独な老人。ゲイのカップル。共和党支持の白人意識まるだしの成り上がり。警官に元ストリート・ギャング。バスの中は黒人社会の縮図と化している。しかし様々な現実をあらわにして互いに衝突しながら彼らの心は次第に一つになってゆく。

 彼等の旅は老人の突然の死によって目的を果たせずに終る。しかし老人の死が、老人の残した祈りの言葉が彼等の心に希望を与えてくれる。現実は救いようがないほど暗いのに全編明るくて楽しい。ラストはたまらなく切なくて、たまらなく心が温まる映画だ。

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posted by アスラン at 01:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画評(1998年) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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