2006年05月31日

おかしなおかしな翻訳書(電車でカフェ気分)

 このところめっきり気温が高くなり夏が近づいているのを実感する陽気だ。毎朝電車に持ち込む珈琲をブレンドにするかアイスにするか迷う時期になってきた。

 来月から6月だが梅雨らしくむし暑くなったらアイスコーヒーに切替えどきかもしれない。ただJR南武線の車両は結構冷房が効いていてジャケットなし麻混シャツ一枚だとじきに涼しくなる。まだホット珈琲が無難なようだ。

 最近書店でゆっくり本を物色する余裕がないのが残念だが、昨日は帰りの電車に乗る前にちょっとだけ時間があったので駅前の書店に立ち寄った。

 立て続けに科学ノンフィクションを読んでいるせいか、気になるタイトルが目にとまった。

 ポール・ストラザーン「メンデレーエフ 元素の謎を解く」

 科学書にしては軽装本なのがいささか気になるが、元素の周期表を発明(発見)した科学者メンデレーエフの足跡をたどる本らしいので読んでみたくなった。もちろん購入ではなく「心の積ん読リスト更新」のためである。さっそくメモ帳代わりに携帯を取り出し、タイトルと著者名を打ち込んでいく。

 それにしてもこの本、「おかしな」点が目立つ。

 まず扉を開けると1頁の差し紙がある。ゲッ!今どきめずらしい正誤表だ。どうもざっと見て10カ所以上はある。しかも科学書にありがちな用語の定義に関わる訳を間違えている箇所があるようだ。一体それって何なの?

 だってそもそも誤植程度ならどの本でもあるが、専門書や専門分野を扱った書ならば、あらかじめその筋の専門家に文章を見てもらった上で確認をとるでしょうが。そんな翻訳のイロハも知らない翻訳家と編集者なのかね、と思って翻訳家を見たら、あらまたビックリ!

 翻訳は6名の共訳になっています。しかもこれに監修者1名で計7名。しかも珍しいことに監修者代表で翻訳者とせずに7名すべての名前が扉にも背に入っている。「○○など」という表記も使われていない。

 数人で共訳するというのも確かにありだと思うけど大して多くない分量の本書では6名は多すぎるだろう。しかも監修付き。ということは6名分担で監修者が専門家なのだろうか?としたら正誤表が入ってるのはかなりかっこわるいねぇ。と思って、まず著者と訳者のプロフィールを探すことにした。

 ここで僕はあ然としてしまった。なぜなら…。

 著者紹介がないのだ。前回の日記にも書いたが科学ノンフィクションの信頼性は第一に著者の才能・能力、第二に翻訳者の能力の順でかかっていると書いたのだが、それをまず確認するために著者がどういう人なのかをプロフィールから読み取ろうとするのは常識だろう。

 メンデレーエフについて書いた著者は化学畑の人か、はたまたノンフィクションライターなのか。ただのメンデレーエフファン、いや周期表が好きなだけかもしれんぞ、などと想像を膨らませるわけだが、今回に限り想像はふくれっぱなし。なにしろないのだ、著者紹介が。見落としているのかと思ってなんども調べたのだが本当にありません。こんな本あっていいんですか?

 それなのに、ああ、それなのに〜。

 巻末に堂々と監修者のあとがき、監修者の紹介、それに続いて6名の翻訳者の紹介が続きます。それを読むと監修者はたんなる翻訳家でした。ベテランと見ていいでしょう。しかし6名は…。なーるほど。

 彼らは初心者マーク付きの翻訳者たちです。バベル翻訳養成講座出身をみなさん紹介に挙げています。6名の半分ぐらいはお里が化学畑らしいので、彼らが専門分野そのものの文責も負っているような気がします。だからあの正誤表の責任は彼ら6名にあるのでしょう、きっと。

 出版社はバベル・プレス。翻訳で有名なあのバベルですよ。まあ言わば関連会社なんでしょうが。それならば言わせてもらいますが、

 こんないい加減な事してゆるされるんですか?
 こんないい加減な本を出してゆるされるんですか?
 こんないい加減な本が著者紹介や正誤表を改めて改訂される可能性あるんですか?
 たれ流しの科学読み物のつもりなんでしょうか?

 言いたい放題ですが、それには理由があります。だってタイトル見た時点で読みたくなってるんですよ。それなのに訳文や出版の姿勢に読む前から疑問符がつきっぱなしなんです。これってどうしてくれるんですか?

 読みますけどね。読みますけど、読んだら読んだでまた文句言っちゃうかもしれないよ〜。

↓クリックの応援よろしく!
banner_04.gif
人気ブログランキング
posted by アスラン at 12:58| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記(電車でカフェ気分) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今時、大変珍しい本を購入されたみたいですね。
そこまでプロ意識に欠けていらっしゃると、ジョークの部類にはいりません?
これからの自分の評価を決める物に対して、そんんなぞんざいな仕上がりにしてもいいものかどうか・・・・・・。商品としての価値も、問われますね。
あ!でもこれって、話題性を求めて故意になされたことなのではありません?(違う 絶対違うw
Posted by rago at 2006年05月31日 20:57
なんか返事ばかり遅くなって申し訳ないです。

念のため言いますと購入はしておりません。
あくまで図書館に積ん読してる状態、つまり心の積ん読です。まだブログの方のリストにはのっけてませんが、そうするつもりです。

まあ買わないのは当然として読まないという姿勢もありますが、せっかくここで読まずに勝手な事を書いた手前、読んで正しい判断を残す必要があるかとも思います。話題性かどうかもそのとき分かると思います(笑)

ところでその後その書店に行ったところ、もう書棚からは姿を消していました。ホント本の回転ってはやいですよね。
Posted by エラリー at 2006年06月11日 13:52
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/18643328
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。