平林寺の境内林をぬけてしばらくは畑地が多かったが、70号鉄塔から次の鉄塔までは住宅地が続く。70号鉄塔のある駐車場から表通りにでる。
(A地点)
わたしたちは走って70号結界を後にし、最初にぶつかった十字路で、69号鉄塔方向へ延びている道路に飛び込みました。選んだ道は正しく、300mほど先で別の道路と交わった向こう側に洗練された男性型鉄塔が立っています。(P.97〜99)
なぜ69号鉄塔が〈洗練された〉鉄塔なのか一言も説明はないのだが、見晴が3段の腕金の長さが同じ事に注目するよう指摘している場面を見ると、このタイプの鉄塔に見晴は洗練された美しさを感じているらしい。
71号鉄塔の下で見晴がアキラにレクチャーしていたが、多くの鉄塔では一番上の腕金、一番下の腕金、真ん中の腕金の順に長くなっているそうだ。この標準タイプとは違って、69号鉄塔のようにほぼ長さが同一に見える鉄塔は、下にいくにつれて少しずつ腕金が長くなっている。しかしストリートビューでしげしげ見ても腕金の長さの違いは感じられない。下から見上げると遠近法も手伝って違いが判別できないのだ。ただし、長さの違いが判別できない分、すっきりとした印象を受ける。「洗練された」というのは、このすっきり感を指すのかもしれない。
グーグルのストリートビューで道筋をたどってみると、予想していた以上に細い一本道だ。右側には平屋か2階建ての民家が建ち並び、左側は空地が多くて遠くまで見渡せる。武蔵野線に併走して新座線の鉄塔がよく見える。一本道の先に目標らしき69号鉄塔が見えている。本来はそのまままっすぐ進めば、左手に神社(若宮八幡神社)が見えてくるはずだが、ストリートビューでは手前で右に折れて一つ右手の道から鉄塔方面に出る。地図では神社とお寺が軒を連ねているのが面白い。
「300mほど先で」交わった別の道路とは志木街道だろう。道を渡った向こう側に駐車場付きのラーメン屋(「バリバリラーメン」の看板!)が見える。その向こう側に69号鉄塔が待ち構えている。
(B地点)
道路を挟んだ69号鉄塔の向かいは、庭木専門の配送所で…(P.107)
小説ではこう書かれているが、地図ではよくわからない。ストリートビューで確認するとただの民家(かなり大きい)だ。あぁ、でももしかしたら庭木業者の事務所をかねているのかもしれない。
見晴たちは腕金の長さがなぜ微妙に違うのか、その理由について話し込んでいるうちに「畑の中に立つ69号鉄塔」(P.105)に到着する。でも、すでに69号鉄塔周辺の様子は変わっている。志木街道に面した角にはラーメン屋の店舗があり、その向こうに鉄塔。さらにその向こうに畑が開けているはずだが、今は工事現場のフェンスにおおわれている。おそらく今頃はマンションでも建っているかもしれない。
それはさておき、69号鉄塔に着くとその先におどろくべき光景が広がっていて、見晴もアキラも69号鉄塔どころではなくなってしまう。変則的な鉄塔が間近に何本も立っていたからだ。先を急ぐ二人は69号結界のメダルをどちらが埋めてくるかで言い争いになる。金網と有刺鉄線に囲われた結界に入るのにアキラは尻込みし、結局見晴がいかりにまかせて金網を乗り越え、メダルを埋めたのちに、急いで外へでようとして鉄線に太股をひっかけてケガをしてしまう。
気まずい仲違いをした二人が、ふと気持ちの整理をするひとときを過ごすのが68号鉄塔群なのだが、それは次のお話だ。いよいよ次回は前半の山場である4本の婆ちゃん鉄塔の登場だ。



