以前、図書館で借りて読んだことがあるので、今回は再読だ。当時、TOKYOの長瀬智也主演でドラマが話題になったので、その印象が強くて読んだ。もうひとつ大きな理由がある。池袋が「ほぼ地元」という土地勘が僕にはあるからだ。
板橋区で生まれ育ったので、池袋は子供の頃から親と一緒にお出かけの地だった。家族そろっての買い物や食事はすべて池袋の西武や東武ですませた。少し大きくなってくると、友だちと自転車で出かける遊び場だったり、中高生になってからは好きな映画を文芸座などの名画座で観まくるために足繁く通った。高校に入るとトースト食べ放題の喫茶に同級生たちと入り浸ったりした。
まあ、本当に地元民(ジモティ)ではないから、池袋西口公園にたむろすることはなかったが、それでも何度か通りかかった。ずっと前は、あの公園脇がバス乗り場だったので、なんとなくゴミゴミしているイメージしかない。いまや芸術劇場ができたり、西口の再開発などで周辺ともどもすっきりした場所になったのだろう。その分、この小説が書かれた時期から若者が入り浸るちょっと怪しげな魅力に満ちた空間「ウエストゲートパーク」に変貌していたというわけだ。
今回読み直したのは、携帯サイト「文庫読み放題」で、このシリーズの作品がほぼ全部読めると知ったからだ。実は初読時に2作目を古本屋で購入したからシリーズ通して読むつもりではいたのだ。だが、携帯で読むか本で読むかは悩むところだ。やはり紙の本で読む醍醐味は捨てきれないが、トイレの個室だとか満員電車の車内とかバスのつり革につかまりながらだとか、携帯でしか読めない状況は結構あるのだ。そのためのストックは用意しておくべきだ。
石田衣良作品の特徴は、読みやすく判りやすいシンプルな文章と、アイディア勝負のストーリー展開だろう。逆を言うと、背景や心理描写に深みはなく、即物的だ。だから後味は悪くないが、何か心に残るかと言えばそれはない。非常にクールな読み物が多いのだ。一期一会とはよく言われるが、会ってそのときを楽しめればそれでいい。バイバイしたらそれでおしまい。そんな感じだ。まるで作中の主人公「マコちゃん」のような読後感だ。それが携帯で読む読書スタイルにマッチしている。紙の手触りや装丁やあとがき、著者紹介、目次など、そういった諸々は必要ないという事だろう。
一度読んでいるせいで、話に驚きは少なくなったが、やはり面白い。使い捨ての設定やストーリー展開が多くてフットワークの良さが際だつ石田作品の中でも、シリーズとして長続きしている理由が分かるような気がする。
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2010年03月11日
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