2006年03月07日

第27回吉川英治文学新人賞に今野敏「隠蔽捜査」!

 なんと絶妙なタイミング。ひな祭りの3月3日に読み終わって昨日書評を書き上げてアップしたその日の夜に「隠蔽捜査」が第27回吉川英治文学新人賞を受賞したというニュースが飛び込んできた。受賞作を読むという姑息な読書は結構してきたが、読んだ本が賞をとるという経験はそう多くない。なんかわがことのようにうれしいものだ。いや、今野さんおめでとうございます。

 それにしてもさすが北上次郎。作品を見抜く目が鋭いというか、クリーンアップ任せられる作品と言ったとおりに面白かったし、賞までも付いてきた。それも吉川英治文学新人賞だ。

 まてよ。新人賞?

 今野敏って新人なの?あれほど練れた内容と文章なのに新人とは意外だが…。と思ってググってみたところ、なんと今野敏さん本人のホームページがある。著者近影に添えられた略歴によると1955年生まれ。結構歳いってるなぁ。兄と同い年か。そんなことより東芝EMIに入社してTMネットワークの前進バンドのディレクターや、ニューミュージックのアーティストたちの宣伝をやってた。1981年に退社して作家に専念。かなり異色な経歴の持ち主だ。

 ところで作家を専業にしてもう25年も経つわけだ。それなのに新人とは文学賞の世界は魑魅魍魎の世界だな。著作リストによると「隠蔽捜査」は最新作で126番目の著作にあたる。1年に平均5冊のペースで出しているから、かなりの多作と言っていい。だが「隠蔽捜査」のような警察小説を書き出したのは近年で、多くはSFやアクションものといった娯楽作品で、活躍の場も当初はノベルスが中心だった。その後角川や幻冬舎、中公文庫、徳間など多岐にわたって書きまくっている。

 「隠蔽捜査」は新潮社からの初めての出版なので、かなり本格的な警察小説を狙って書いたと思われる。つまりは出版社の色に合わせて書き分けられる腕を持つという事で、これはとてもじゃないが新人のなせる技ではない。

 では今度は吉川英治文学新人賞だ。そもそも吉川英治文学賞ってなんだろう?吉川英治の偉業を記念した賞だというのは当然だが、選考基準が知りたいのだ。こちらもググってみた。

 吉川英治文学賞は、(財)吉川英治国民文化振興協会が主催し、講談社が後援している賞で、年一回発表がある。文学賞の他に文学新人賞、文化賞がある。講談社のホームページの記載では、

 故吉川英治氏の偉業を記念して設けられた「吉川英治文学賞」は国民文学の権威ある賞。「吉川英治文化賞」は日本文化の向上に尽くしながら報われることの少ない人々を対象にしています。


 とある。文学新人賞の説明はないが、文学賞の「国民文学の権威ある賞」の新人部門というわけだろう。国民文学を書くほどの名だたる作家へ与える賞だから、今野敏の25年、126冊の実績もまだまだ青いという事かもしれない

 ちなみに文学賞の第1回受賞は松本清張第2回は山岡荘八だ。

 さらに昨年(平成17年)の文学賞・文学新人賞の受賞者は以下のとおり。

 第39回吉川英治文学賞   北原亞以子 「夜の明けるまで」
 第26回吉川英治文学新人賞 恩田陸「夜のピクニック」、瀬尾まいこ「幸福な食卓」


 ところで国民文学とは何だろうね。これはググってみたけど奥が深すぎてギブアップ。「万人の心をつかむ文学」というのは定義ではなく要望だと宮本百合子は書いている。要望でもなんでも分かりやすい事には違いない。

 第40回吉川英治文学賞は該当者なしだそうだ。 

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posted by アスラン at 01:11| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記(電車でカフェ気分) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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第27回吉川英治文学新人賞今野敏隠蔽捜査
Excerpt: 吉川英治文学賞の各賞が以下の通り決まりました。 【第27回文学新人賞】今野敏さんの「隠蔽捜査」   【第40回文学賞】受賞作なし 【第40回文化賞】 田村晧司さん(脳疾患による半身..
Weblog: 及川的大人のブログ
Tracked: 2006-03-08 21:42
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