「この鉄塔は75−1(のいち)なんだ。」(P64)
と話を切り出す。なんのことかわからないアキラの関心を誘うように、すかさず75号鉄塔に移動して、結界の解説をする。ポイントは「のいち」だ。見晴は、ここ数日の間に「七十五の一」と読むであろう枝番の鉄塔のことを「のいち鉄塔」と名付けてしまっていた。これは理屈抜きの少年らしいアイディアだ。
そして75号鉄塔の下で、「鉄塔をたどれば、1号までいける。そこに原子力発電所があるはず」と思いつきを言葉にしながら、この先がどうなっているか「調査しよう」とアキラに持ちかける。乗ってきたアキラと一緒に、続いて74号鉄塔に行き、金網の上に張られた有刺鉄線がゆるんだところから柵を乗り越えて、持って行ったメダルを埋めた。
このときに見晴はアキラの疑問に答えて、「メダルを埋める理由」をピラミッドパワーだと強引に理屈付けてしまう。四角錐という点で、鉄塔もピラミッドの仲間だという理屈だ。分からないでもないが、普通はそう見えないし、そう思わないだろう。その上で、頂点の真下に鉄塔のパワーが集中するので、そこにメダルを埋めていけば、全ての結界にメダルがおさまった時点で何かがおこる(はず)。もちろん、アキラを鉄塔探検にいざなう方便だとはいえ、見晴イコール成長した「わたし」も半分は信じているのかもしれない。
そして、ついになしくずし的にアキラをともなって、見晴はまだ見ぬ73号鉄塔へと、再び武蔵野線の鉄塔をさかのぼっていく。



