2006年02月17日

眠れぬ真珠は終わらない(電車でカフェ気分)

 本をいっぱい借りているせいで何冊かの本を平行読みしている。会社の行き帰りで読む本は鞄の中に入っていて、自宅では出す手間を惜しんで手近にある本を読んだりする。混乱するかと思いきや結構読める。

 さらには返却日が来た本はいったんは返してしまうので、途中まで読んでまた再度借り直すケースもある。予約が入ってなければ借り直す事は可能だが、同じ本をもう一度借り直し、さらにまた2週間後にもう一度借りようとすると、「いったん棚に戻すため借りられません」と言われる。同じ本を延々と借り続けると他の利用者が借りられなくなるからだろう。

 そういう事もあるので、返却された本を置く一時置き場に出てくるかどうかを待ってみることも多い。出てきたらしめしめと借り直す。出てこなければ予約待ちがあったと言うことだから、もう一度予約して順番が来るのを待つわけだ。そして余り間隔があかずに手に入ればまた違和感なく読み継ぐことができる。あまりに間があいてしまった場合にはストーリーがおぼろげになることもあるが、それより読書の盛り上がりが薄れるので再度頭から読み直す事もある。

 さっきから「ことも多い」「こともある」ばかりだが、要は最近の僕の読書はそんなのばっかりだということだ。

 例えば

 スティーブン・キング「スタンド・バイ・ミー」

 は、表題作の半分ぐらいまで読んで返却した。返した図書館の蔵書だったのでしばらく待って書架に戻ったところを回収。再度借りた。これは少しずつ読み継いだにもかかわらず、面白さと興奮が途切れなかった。いや、どんどんどんどん面白さと切なさが極まっていったと言った方がいいか。もっと早く読めばよかった。

 その間にも通勤電車の中で

 恩田陸「月の裏側」
 川端康成「山の音」

を読んだ。

 「月の裏側」は僕が読んだ恩田作品の中ではベストだと思う。僕はこういう郷愁に満ちた作品が好きなのだ。一方、川端作品といえば「雪国」や「伊豆の踊子」などのイメージを出ることのなかった僕が、友人に勧められた「眠れる美女」でなんだかはまりそうな予感がして「山の音」を読んだら、完全にはまってしまった。次は「千羽鶴」だぞ〜。

 行きは座って落ち着いて読めるので借りた本を読むことが多いが、バス停やホーム、帰りの満員の電車で立っている時などは、単行本などを鞄から取り出すのははばかれる。または面倒だ。そんなときは、携帯で本を読むこともある(また「こともある」だ)。

 最近ご無沙汰だったのはひとえに図書館で借りすぎだからなのだが、それだけではなくやはり紙の本で読む方が読みやすいという事もある。でもひとたび集中してしまえば媒体にそれほどこだわる事なく結構読めるものだ。

 以前から角川文庫のサイト「文庫読み放題」は毎月なにがしかのお金を払っていつでも読めるようにしている。なにしろ横溝正史の金田一耕助シリーズが読めるから僕にとってはお得なのだ。

 横溝正史「本陣殺人事件」

の中の表題作もだいぶまえに携帯で読んだ。あっ、もちろん再再再…再読だけれども。あの文庫は他に「車井戸が軋る」「黒猫亭事件」が入っていて、かなり棚上げしていたが、このたびめでたく「車井戸…」の方を読了。これは「犬神家の一族」を彷彿させるような中編だった。あとは「黒猫亭…」のみだな。

 さらにさらに、新潮文庫の携帯サイトも角川同様よく利用しているが、角川が本を読みに行く、すなわちブラウザ上でテキストを読んでいくのに対して、新潮文庫の方は購読希望登録をして、毎日少しずつ連載小説の一部が送られてくる形式だ。これだと新聞の連載小説のようなイメージで読めるから、さあ読むぞ〜と構えないですむ。ただし長編の場合はちょっと油断すると10回ぐらい未読メールがたまってしまうので要注意ではある。

 さて、ようやく記事タイトルのお話ができる。フーぅ。文章ってどうしたら短くできるんですか?(by 電車男)

 石田衣良「眠れぬ真珠」

はヴァレンタインデーでめでたく第12章の最終回を迎えた。小説の最終回ではない。まだ続くらしい。

 一体僕はいつからこの小説を読んでいるんだろう。恐らく昨年の春先ではなかったか?いやもしかしたら足かけ3年か?とにかく読み出した時は短編なんだろうなとタカをくくっていた。ところが終わらないのだ。

 内容は、湘南に仕事場をもつ女性版画家がヒロインだ。彼女は結婚もせず両親に先立たれ、更年期障害に悩まされながらも、孤独な生活に慣れ親しんでいる。セックス相手の愛人はいるが、心まで通い合わせるパートナーはいない。そこに年若く才能に満ちたオーラをもちながら何かに傷ついている青年が現れ、運命の出会いが描かれていく。

 正直、設定が陳腐かなと思ったが、短編で終わるのならやむをないかなぁと納得させていたが、内容は意外な(意外でもないが)方向に展開していく。だが、最初から年齢差・生き方の差から所詮かなわぬ夢であると知りつつ進むも退くもかなわないヒロインのとまどいが設定を超えてうまく描けているような気が今はしている。

 ただし、それもこれも連載がずっと続いて読書体験の高揚感が持続していればこそである。何しろ最初の数章は間隔があかずにすぐ配信だったのが、最近では章と章の配信間隔がどんどん広がっている。一ヶ月もあくと待ち遠しくもなくなる。しかもすでに読書開始時点の感情移入度がグッと下がっているのだ。

 配信先の新潮文庫も気づいているのか、年明けだったか第1章から第11章まで一挙ウェブ掲載に踏み切った。もう終盤に来ているのは間違いない。今回で終わるかもと思ったのだが、あとはヒロインと青年の別れのシーンをどう描くかでもう一章必要なようだ。だから山場にきて読者をもう一度惹きつける意味でも新しい読者を増やすつもりでも一挙掲載は無意味ではない。

 無意味ではないが、どうも僕はいまさらもう一度読む気がしない。それほど濃い読書体験ではなかったからだ。どちらかというとだらだらと連載につきあっているという感じだ。でもここまできたらやめる事はできない。とにかくラストで美味しい体験だと思わせる結末にして欲しいものだ。

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posted by アスラン at 01:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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