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    2009年08月29日

    鉄塔武蔵野線ウォーク(その2)

    [76号鉄塔]
    (C地点)
     …道路を挟んで反対側の自動車教習所の方へ走り出しました。(P.12)


     見晴はオートバイに乗った郵便配達人がうさんくさそうに自分を見つめたのに耐えられなくなり、自動車教習所がある通りへと走り出す。地図には教習所と一目で分かるレイアウトだけが引かれていて名前も何も書かれていないが、「東園(あずまえん)自動車教習所」のようだ。ホームページを見ると、身障者向けの訓練センターも併設されており、健常者も身障者も「どなたも入れる」と謳っているので、埼玉ではそれなりに有名な教習所ではないだろうか。

     見晴は教習所の裏門から敷地内に忍び込もうかと考える。教習所は通りから引っ込んだところにあるため、ストリートビューや航空写真では裏門の位置は確認できなかった。でも、結局は鉄塔が教習所の敷地の向こう側にあると気づいて、見晴は回り込んで鉄塔までたどり着く。ところが、それが右側からなのか、左側なのかが文章からはっきりと読み取れない。

    (D地点)
     教習所に隣接した畑や雑木林の方へ回ってみました(P.14〜15)


     と書かれているが、畑は両側にあり、それらしき木々もある。ただし右側の木は鬱蒼としており、雑木林と言えるかどうか。それに、あとの記述で分かるが、「表通り(P.19)」を通るならば、ここで言及していないとおかしい。やはり左側から回り込んだようだ。

     教習所が高台の突端で、そこから川に向けて傾斜している。見晴は「萱(かや)だらけの傾斜地を必死に掻き分け、足を取られて何度も躓いたり…」(P.15)とかなり悪戦苦闘しながら、76号鉄塔に辿り着いたようだが、ストリートビューで確認する限り、雑木林を抜けた先はそれほど足場が険しそうには見えない。しかし、当時の著者の実感から書かれた描写だろうから、実際にたどると見るとは大違いなのかもしれない。

     75−1号の次が何故76号になるのか、見晴は「納得が行きませんでした」と独白しながら、真下に辿り着いたことに充実感を覚える。76号鉄塔は女性形鉄塔だ。ここで鉄塔には男性・女性の区別があることが、初めて語り手によって披露される。電線を繋ぐ碍子という部材が鉄塔の継ぎ手から飛び出している。その碍子の連なり(碍子連)が前後に開いていると女性形で、両方とも下に向いているのが男性形だ。

     どうしてそうなるかと言えば、碍子連の先端どうしを結ぶジャンパー線が、女性形の場合は下向きに丸まって膨らむ。その形状が「女性の睫の長い大きな目」あるいは「装身具」(かなり婉曲な表現だがブラジャーの事か)を連想させるからだ。

     鉄塔の4本の脚で囲まれた正方形の領域を「結界」と名付けた事も、76号鉄塔の記述で説明される。「結界」という言葉は、友人から借りた中世を舞台にしたマンガからもたらされたと見晴は言う。残念ながら、ストリートビューでは76号の結界の様子は分からない。本文にはこう書かれている。

    76号鉄塔の結界内には、延びきった芝が青々と生えているだけでした。(P.17)


    鉄塔武蔵野線ウォーク(1).jpg
    posted by アスラン at 04:07| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | 鉄塔武蔵野線 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
    この記事へのコメント
    アスランさんこんばんは。

    市販地図には、鉄塔が載ってない。
    あんな大きいのに、不思議ですね〜〜〜
    2.5万図には鉄塔線のラインしか載ってない。
    2.5万図のラインを市販地図上に移して、全体のコースを把握しました。
    たどる前は、敢えて個々の位置の詳細は、調べません。
    鉄塔へのルートを探し、迷い、前へ進むのが、面白い。
    『鉄塔は地図と同じなんだ』
    行きつ戻りつ、回り道は当たり前、カンだけが頼り。
    どうしても、アクセス出来ない鉄塔は、後日再訪しました。
    Yahooの地図を拡大表示させ、拡大すると、
    鉄塔位置が『−□−』で表示されてるじゃないですか!!

    ルート上数カ所、他ルートの鉄塔ラインと、非常に近接、してます。
    実物ラインなら、武蔵野線ラインを見誤ることはないのですが、
    (武蔵野線はシンプルでゴテゴテしてないので、すぐ分かります)
    そんな時は、2.5万図のライン取りを参考に、
    無事、1号鉄塔までたどりついて下さい。

    >地図や本文を書くイマジネーションが萎えてしまうので
    アスランさんから、お問い合わせがなければ、
    私が体験した実際のコースについての言及はしません。

    僕らの夏は、まだまだ、これから続きます。
    Posted by さがわ at 2009年08月29日 19:40
    さがわさん、改めてコメントありがとう。

    実は僕もさがわさんと同様の逍遙を経験しています。そこらへんの事情、というか今回のウォークの下準備として「鉄塔武蔵野線のたどり方(その1)〜(その3)」を書いているので、もしよろしければ読んでみてください。右サイドのカテゴリ「鉄塔武蔵野線」からたどれます。

    そこにも書きましたが、実は武蔵野線全鉄塔の位置はすでに確認済みです。もちろん、もし現実に歩いて鉄塔ウォークをする場合は、見晴が言うように『鉄塔は地図と同じなんだ』となるわけですが、航空写真のように限られた視点で探すわけですから、同じようには行かないと考えたからです。

    今回の仮想ウォーキングで、最後の最後の楽しみである実際の「ウォーク」の驚きが減じてしまう恐れもあると、今回さがわさんとのやりとりで気づいてしまいました。

    でも、鉄塔を本当に歩くのはまだまだ先の事になりそうです。大好きなミステリーと同じで、なんど読んでも楽しめるように、また今回のウォークを忘れた頃に、最終の望みを達成したいと思います。
    Posted by アスラン at 2009年08月31日 06:42
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