なかなか文章に乗れなかった。慣れない関西弁だったからで、なんでも芥川賞受賞の選考理由の一つとして〈口語による語り口〉をあげた委員が多かったようだから、重要なポイントではあるんだろう。でも東京の人間には間が取りにくくて、しかも女性特有の延々と先に流れていくリズムが結構苦になった。
だらだらと頭の中のコトバを吐き出していくという点では町田康と似ている感じがしたが、あちらは乗りやすかった。やはり男の口調と女の口調の違いだろうか。それに町田の文体の方が軽妙な凄みがあったから分かりやすかった。こちらの小説は女性特有の生理が呑み込めないとたぶん感情移入しにくいのかもしれない。
とりたてて面白かったところをあげると、語り手の同僚だっただろうか。自らが化粧やファッションを好き勝手にやっているのをやっかんだ別の同僚が、女性らしく着飾る事が性差別を生み出す社会に荷担するふるまいだと非難するのに対して、語り手以上に明快かつ辛辣で毒を含んだつっこみをこれでもかというほど相手に浴びせかけて、了見の狭い浅はかな批判を完膚無きまでに打ち砕く場面の文章だ。この部分は非常に心地よくて楽しめた。こういう事を書くには、やはり著者のような関西弁の文体しかないんだろうなぁ。
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2008年09月19日
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