2005年12月11日

「ボンベイ」「不夜城」「ゴジラ(日本語吹き替え版)」(1998年7月28日(火))

 銀座テアトル西友で「ボンベイ」(no.109)を観る。

 「ムトゥ踊るマハラジャ」に続き、今年話題のマサラ・ムービー(あらゆる要素を取り入れた娯楽映画の意味だそうだ)だ。

 内容は歌あり恋あり戦いありだが、「ムトゥ」のように荒唐無稽で娯楽に徹したものではなく、かなりシリアスな内容だ。元々ヒンズーとイスラムとの宗教の違いを乗り越えて愛し合う男女が主役で、前半はコメディだが、後半は宗教絡みで実際に起ったボンベイの暴動に翻弄される主人公一家を描いている。

 音楽は「ムトゥ」と同じA.R.ラフマーンという人で、中々楽しめる。しかしこれだけ内容があると結構長さが気になる。盛り沢山も「ムトゥ」のようなハチャメチャ映画では気にならなかったが、今回は途中でややだれた。

カチンコ
 この年はマサラ・ムービー元年とも言うべき年で、芸術映画しか紹介されていなかったインド映画が娯楽映画を中心に公開されるようになった。その後この傾向は続くのかと思われたが、ブームは意外と早く終わってしまったようだ。やはりあか抜けない印象はぬぐえないからだろうか。

 松竹セントラル1で「不夜城」(no.108)を観る。

 招待券が当たったのでタダで観られるのはうれしい。「不夜城」というタイトルが出るまでのカメラワークがものすごく凝っている。冒頭で舞台の『歌舞伎町』がどんなところかをさりげなくしかし巧妙に見せつけている。

 やはり見慣れた歌舞伎町とは違う。ロケであるにもかかわらず日本らしくなくなるのは、香港の監督と撮影監督のゆえだろう。あたかもチャイニーズマフィアが暗躍しそうな街の雰囲気を作り出しているからおもしろい。

 ストーリー自体はふくらみがあるとは言えないが、金城武という役者の魅力をうまく引き出している。残念ながら相手役の山本未来が釣り合うくらいの魅力に欠ける。

カチンコ
 新宿駅から歩いて歌舞伎町の歓楽街に向かう。映画好きにはおなじみのコースだ。昼間に歩けばなんて事はない。そこがチャイニーズマフィアとヤクザと椎名桔平と金城武たちがぶつかり合う怪しげな街に変えられていて、笑ってしまう。ただし夜歩くならば話は別だ。映画を見て帰りが遅くなると、盛んに客引きに声をかけられる。酒も飲まない風俗もゴメンだという人間には映画以外に用はない。早々に退散するにしくはない。

 マリオンでYさんと待ち合わせて、日劇東宝で「ゴジラ(日本語吹き替え版)」(no.107)を観る。

 吹き替えの方を観るのは一緒に観るYさんの要望で、主役のマシュー・ブロデリックの吹き替え声優・森川智之の声を録音するためだ。だから僕のポータブルMDプレイヤーを持ち込んで、そっくり録音した。そのために最終回に入場したのでほとんどガラガラだったから、ほぼ雑音なしでクリアに録音出来た。

 問題のゴジラらしきものは、かろうじて背ビレがその痕跡を残すのみで正面から観るとT-REXとしか見えない。おまけに大量に生まれるミニゴジラは背ビレすらない(ミニラですらない!)。

 登場人物にも初代の「ゴジラ」の時のような緊張感はなく、アイディアはおもしろいがストーリーを作ることの出来ないローランド・エメリッヒ監督の限界がよく出ている。ラストで去っていくジャン・レノの後ろ姿に、「カサブランカ」で描かれたアメリカ人から見た紋切り型のフランス人が今更ながら描かれて思わず失笑してしまった。

 それはそれとしてゴジラはゴジラ。やはりゴジラファンとしては歓迎すべき事だと思う。次はぜひキングコングと戦わせて欲しい。

カチンコ
 残念ながらと言うか当然ながらというか、続編はできなかった。従来のゴジラファンがそっぽを向いたからなのか、東宝が一度で懲りたのか。とにかくキングコングやキングギドラとバトルを繰り広げる事はなかった。もっともゴジラや日本の特撮全般に対する愛が感じられないエメリッヒには、ゴジラという恐竜が存在する事は想像できてもキングギドラという宇宙怪獣が存在する映画は撮れなかったに違いない。
(ブログ「大いなる遡行」2005/10/24記事より転載)


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posted by アスラン at 02:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画評(1998年) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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