結局買っちゃいました、文庫版。ムック版の書評にも書いたが、クイーン作品を選ぶに当たって携帯できる便利さがあるから。でもざっと見ただけでこちらをあらためて買う価値は十分ある。結構細かいところまで手が入っているのだ。
以下、ムック版からの変更点を列挙する。ただし目次の比較と中身をざっとみて気づいた点だけだ。公式にはあとがきにあたる「クイーンを極めるためのガイド」にムック版との違いを編著者が一通り挙げている。こういうところの律儀さが実は文庫版の随所に現れていて、編者の良心が感じられる。
[装丁]
タイトルが変わった。英語表記部分がカナになった。
表紙が変わった。ムックの裏表紙にあった初版本の表紙のタイル張りを表紙に持ってきた。よってあの伊達男めいた探偵エラリーのイラストは無くなった。内容を書いた見出しも消えてシンプルな装丁になった。
初版本一覧(全46作品)が新たに追加。ここだけ色刷り。素晴らしい!
[扉]
ムック版の扉にあったアンソニー・バウチャーに始まるクイーンへの賛辞・惹句はあとがきの後ろに回った。
[目次・構成]
一番の違いは6つに分かれたガイドの中の作品一つ一つにページが入った点だ。ガイド本の本分をわきまえた見事な改訂だ。
第三部が追加され、二部構成から三部構成になった。
主要な文の合間に挿入されていたトピックス的な小文はすべて各部の後半にまわされた。
表紙のイラストだけでなく、挿絵的なイラストはすべてカットされた。正直違和感のある人物イラストだったので無くて正解。編者の英断だろう。
ただし各作品の解説にあった二コマ漫画(?)は、息抜きというだけでなく、本文とは別の見方をした言わば解説の一部でもあったので無くなったのは残念。
未刊「The Tragedy of Errors」が来月刊行予定の「間違いの悲劇」に変わった。
[第一部]
第一部の前にあったクイーン作品ランキングが取り込まれた。
「エラリー・クイーン秘宝館」がその1、その2に分割掲載。さらにエラリー・クイーンの名を冠したジグソー・パズルが「ジャーロ」2005年夏号に翻訳されたとの注意書きが小さな字で挿入されている! 凄いやぁ、文庫化に当たってのこのこだわり。
芦辺拓「セルロイドの国の名探偵と仲間たち」が追加された。コロンビア映画が作った一連のクイーン映画の紹介。すでに「銀幕のエラリー・クイーン」という小文が別にあるが、ラジオドラマ「エラリー・クイーンの冒険」から人気に火がついたニッキー・ポーターとエラリーとのコンビが活躍する連作映画についての解説が加わった。
ムック版の「エラリー・クイーン、世界を翔る」がカット。いろいろな国で出版されたクイーン作品の表紙を紹介していた。目先が変わって面白い企画ではあるが、編者主催のエラリー・クイーンファンクラブ会員秘蔵のコレクションというちょっと取り合わせに必然性がない紹介であったことは否めない。
[第二部]
アンケート「クイーンに魅せられて」に新たに4名の回答が追加された。天城一、有栖川有栖、笠井潔、光原百合の四人。ムック版のあとに回答が寄せられたからだろう。抜け目ないというべきか律儀と言うべきか。
「海外諸氏のクイーン作品ベスト」はムック版では目次が立ってないが、文庫版から目次が立った。ムック版の内容とムック版の「フレデリック・ダネイ 自選ベスト」が一緒になったのが《1》。《2》ではE・D・ホック選とD・G・グリーン選が追加された。
「エラリー・クイーン年表」に以下の項目が追加される。
2004年 「エラリー・クイーン Perfect Guide」刊行される。(さすが!)
2005年 エラリー・クイーン生誕百周年
「エラリー・クイーンの国際事件簿」邦訳刊行される。
「エラリー・クイーン著作リスト」に以下の項目が追加される。
「The Tragedy of Errors」-->「間違いの悲劇」(創文)で近刊予定である旨の記述あり
「Ellery Queen's International Case Book」-->「エラリー・クイーンの国際事件簿」(創文)の記述あり。ムック版のEQやHMMでの連載の記述は削除。
「亡命王族の首なし死体事件」(ジャーロ2005夏号)の記述が追加。前述のジグソー・パズルの翻訳の事。
コミック「荒れ狂う墓」がカット。
[第三部]
タイトルは「エラリー・クイーンの挑戦と好み」。ちょっと変なタイトルだ。
短編「サソリの拇指紋の冒険」「チェリーニの盃の冒険」の2編を本邦初訳。ラジオドラマの小説化との事。どちらも読者への挑戦付き。
エッセイ「クイーン好み」。クイーン編集の「ミステリー・リーグ」に連載したエッセイとの事。
[クイーンを極めるためのガイド]
「『エラリー・クイーン Perfect Guide』を読む」が追加。ムック版と文庫版の違いを解説。
ムック版の表紙がさりげなく掲載されている。
以上。
ただし極めて良心的で律儀な編者の事だ。まだまだ変更があるかもしれない。よくよく噛みしめて味わってみようではないか、クイーンファン諸君!
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2005年12月09日
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